ハワイというとビーチリゾートを連想しがちですが、それだけがハワイの魅力ではありません。山へ目を向けたことがあるでしょうか。ハワイ随一の観光地、ワイキキからレンタカーを20分ほど走らせると、手付かずの自然が色濃く残る熱帯雨林のハイキングコース「マノア・フォール・トレイル」があります。
マノア・フォール・トレイルはワイキキから見える山側、コオラウ山脈に囲まれた渓谷に広がる熱帯雨林の中のハイキングコースです。この地域は一年を通じて雨が多いことで有名。なんと、年間降水量はワイキキの20倍もあるのだとか。そのため、都市部からほど近い距離にあるにもかかわらず、開発の対象になりませんでした。一帯には鳥獣保護区にも指定され、手付かずの自然がそのまま残っています。
車を降りると、ワイキキの心地よい風とは違う、しっとりとした、そして濃い、緑のにおいが立ちこめています。辺りはとても静かで、さっきまでの繁華街の喧騒がうそのようです。
辺りは濃い緑に囲まれ、木々からは雨水がしたたり落ちています。葉が風に揺れる音に混じって時折、鳥の鳴き声が響いてきます。まさに自然の楽園といった雰囲気です。
さっそく豊かな自然に圧倒されてしまいましたが、ここはまだ駐車場。ハイキングコースを進み、終点であり最大の見所でもある滝つぼを目指します。小川に沿った、約1.3kmほどの平坦なコースです。体力に自信が無い人や運動が苦手、という人も散歩気分で気軽に楽しめます。
コース序盤で我々を出迎えてくれるのは、天まで届きそうなほど背が高い樹木。まだこのあたりは木々の密度が低いですが、しばらく進むと植生が次第に変化します。
まるで現代アートのように、幹が芸術的に絡み合った木々、ところどころで目にする色鮮やかな花たち。なかには、実をつけた木の姿も。まるでアマゾンのジャングルを歩いているような気分になります。
特に人目を引いているのは、コース中盤にあるバニアンツリーのトンネル。自然にこの形がつくられたというのですから、自然のパワーに驚きます。
目にする植物すべてが神秘的。そして、ワイキキビーチからそう遠くないにもかかわらず、こんなにも豊かな植生が見られることに不思議な感覚を覚えます。
さまざまな植物を眺めながら30分ほど歩くと終点です。滝は落差50メートル。風に乗って飛んでくる水しぶきが爽やか。心地よい満足感に包まれます。
途中ですれ違ったローカルのおじさんによると、晴れている日、運がよければ滝に虹が見えることがあるのだそう。残念ながら私はその様子を見られませんでしたが、想像するだけでも神秘的な光景です。
ビーチやショッピングだけでなく、いつもと違ったハワイを探しに、マノアへ足を向けてみてはいかがでしょう。
ますますハワイの魅力にひかれること間違いありません!
【データ】
マノア・フォール・トレイル(Manoa Falls Trail)
住所:Manoa Rd, Honolulu, HI 96822
アクセス:レンタカー20分、The BUS 25番系統「マノア・ヴァレー」停留所下車すぐ
備考:コースは整備されていますが、ぬかるみが多いです。滑りにくい靴で行くことをお勧めします。
ジェイ 桜井
観光関連の仕事に携わったのち、トラベルライターとして活動。独自の視点で集めた旅行の素晴らしさや醍醐味、そして感動をノーフィルターで皆様に届けます。暖かいところが好き。沖縄やハワイといった南の島々を訪れ、現地の人とワイワイやっています。