経済発展の著しい東南アジア諸国の中心都市の多くは交通渋滞に悩まされています。1900年代にタイの首都バンコクで、渋滞に巻き込まれた経験をもつ人は数多くいるでしょう。朝夕の通勤時間には何時間も同じ場所から全く動けないことも珍しいことではなかったのです。慢性化した渋滞を緩和するために1999年12月5日に高架式の鉄道が敷かれ、交通事情は大きく改善しました。
バンコク・スカイ・トレイン(BTS)は、メイン・ストリート上の高架レールを走るため、車の渋滞に巻き込まれることがなく市民の貴重な足となっています。沿線には観光のための施設も点在しており、時間をロスすることなく市内観光をすることができます。
バンコクの若者に人気のショッピング・エリアのサヤーム・スクエアに隣接するサヤーム駅がBTSの核です。2階建ての駅にはひっきりなしに電車が発着します。日中には6分前後の間隔で4つの方向に3両編成の車両が走り出します。スクンビット線、シーロム線の2路線の沿線にはバンコクの魅力が溢れんばかりです。
スクンビット線でサヤーム駅から東南の方角向かう列車は、バンコクきっての目抜き通りラーマ1世通りの上を走ります。ここからチットロム駅、プルンチット駅までは、バンコクきってのショッピング・エリアとなっており、いつも大勢の人で混み合っています。格安品から高級品までのグッズが勢揃いしています。
ラーマ1世通りはプルンチット駅を少し超えたところで鉄道の貨物線と交差し、スクンビット通りに名前を変えます。スクンビット通りに入ると、ナーナー駅、アソーク駅、プロンポン駅が続きます。このエリアには外国人向けのホテルやショップ、レストランが建ち並び、世界各国の人々が行き交います。日本料理店も数多く点在し、酸っぱくて辛いタイ料理を控えたいときにこのエリアに来れば、日本と変わらない料理を味わうことができます。
さらに前進するとトンロー駅、エカマイ駅が続きます。エカマイ駅の近くには東バスターミナルがあります。バンコクからタイの東海岸方面に向かう長距離バスに乗車する際は、エカマイ駅で下車するのが便利です。ここから2駅先のオンヌット駅が、スクンビット線の終点となります。
オンヌット駅方面とは逆にサヤーム駅からスクンビット線で北の方向に行くと、アヌサワリー・チャイ駅付近の戦勝記念塔のロータリーでゆっくりカーブします。終点のモーチット駅からは徒歩数分でタイの北部、東北部、中部方面に向かう長距離バスが発着する北バスターミナルです。またターミナルに隣接するチャトチャック・ウィークエンド・マーケットには、多種多様の店舗がぎっしりと詰まっており、掘り出し物探しに最適です。
モーチット駅とオンヌット駅を繋ぐスクンビット線は、サヤーム駅でシーロム線に接続します。シーロム線は西方向にはサナーム・キーラー・ヘン・チャート駅との1区間ですが、西南方向にはシーロム通りの上を走ります。サラデーン駅を降りるとバーやクラブが軒を連ねるタニヤ通り、パッポン通りが繋がります。終点のサパーン・タークシン駅はチャオプラヤー川に架かるタークシン橋の袂に位置します。チャオプラヤー・エクスプレス・ボートに乗り換え川面からバンコクの街を眺めれば、水の都バンコクを肌で実感することになります。