ここは、アメリカ東部ペンシルベニア州ランカスター(Lancaster)。現在のペンシルバニア州の州都はハリスバーグ(Harrisburg)ですが、ランカスターは、1700年代初頭ヒッコリータウン(Hickorytown)として始まり、植民地時代の内陸では最も大きな都市としてみなされていました。また、独立戦争時代の1777年の9月27日には1日だけ首都となり、また1799年から1812年まではペンシルバニア州の州都だったところです。赤煉瓦を基調としたこの建物は、鉄道で全米の旅客輸送を繋ぐアムトラック(AMTRAK)の駅で、アメリカ合衆国政府により国家歴史登録財(National Register of Historic Places;NRHP)として認定されている建造物です。 この駅からは、フィラデルフィア経由でニューヨークへ北上することが出来、またワシントンDCへ南下することもできますが、マサチューセッツ州ボストン - ニューヨーク - ペンシルベニア州フィラデルフィア - ワシントンD.C.を結ぶ話題の特急列車「アセラ・エクスプレス(Acela Express)」は、残念ながらここには停車しません。 この駅舎は1929年に建てられ、何度も改築を重ねて今日に至っていますが、当時の建築様式のオリジナル性を最大限に生かして修復されている上、構内にはちょっとした展示コーナーがあるので、電車の待ち時間に、アメリカ大陸の鉄道の歴史や当時の一般的なアメリカの人々の生活様式のみならず、現在もランカスターで受け継がれている「ティンスミス(Tinsmith)」と呼ばれるブリキ職工や「(Cooper)」と呼ばれるたる製造職人の技術が生み出す当地ならではの数少ない伝統工芸や、当地の芸術の変遷も十分に垣間見ることができます。 日本でもおなじみのアメリカの児童文学作家、ローラ・インガルス・ワイルダー(Laura Ingalls Wilder )が、1870年代後半以降のアメリカの家族の生活ぶりを描いた児童書「大草原の小さな家(Little House on the Prairie)」のシリーズの中によく幌馬車が登場しますが、19世紀後半にアメリカが本格的な西部開拓時代を描いた書物や映画にも頻繁に登場する「コネストーガ幌馬車(Conestoga wagon)」と呼ばれるスタイルの幌馬車や「ペンシルバニア・ライフル(Pennsylvania rifle)」は、実は、ここランカスターが発祥の地です。当時の旅行に不可決だった工具や金物等も、ここで供給されたと言われています。 ワシントンDCのユニオンステーションやニューヨークのペンステーションと比較すると非常に小さな建物ですが、ゆったりとした空間に建造物の風格や歴史の重みを感じさせるロマンあふれるランカスター駅の構内。チケット売り場の向かいには、小さなカフェもありました。 【データ】CITY OF LANCASTERURL:http://www.visitlancastercity.com/アムトラック(AMTRAK)/全米鉄道旅客公社(National Railroad Passenger Corporation)URL:https://www.amtrak.com/homeURL:https://www.facebook.com/Amtrak/?fref=ts&ref=br_tf&qsefr=1URL:https://twitter.com/Amtrak?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthorランカスター Lancaster(LNC)駅 住所:53 McGovern Avenue Lancaster, PA 17602URL:https://www.amtrak.com/servlet/ContentServer?pagename=am/am2Station/Station_Page&code=LNC 舞林鳥 恵80年代後半から日米間を往復する暮らしを始め、現在DCから小一時間の田舎町で夫とのふたり暮らしを満喫しています。カントリーライフの醍醐味をHappyNest in Americaにて配信中。ワシントンDC周辺の観光名所や魅力的な穴場スポットの情報をお届けします。