シチリアを語る上で食文化は重要な要素の一つです。シチリアは何千年も前から東西文化の交差点、地中海の十字路として栄え、周辺国から侵略されてきましたが、おかげで古代ギリシャ、アラブ、ビザンチン、ノルマンノ、など様々な文化が取り入れられ、北ヨーロッパ、アラブ、アフリカの影響を受けた独特の食文化が形成されました。今回はシチリアのお菓子をご紹介したいと思います。 アーモンドの種子(左)殻を除いた物(右) シチリアのお菓子に材料に欠かせないのがアーモンドとリコッタチーズです。アーモンドは紀元前4000年頃にはメソポタミア文明の各地で食されるようになり、その後地中海をつたってギリシャ、その他の地中海沿岸諸国に広がったと言われています。ギリシャ神話にも登場し、シチリアでも古代ギリシャ植民地時代から生産されているシチリア人の生活に欠かせない食材です。大量生産ではなく、現在も古来からの製法で作られているシチリアのアーモンドは世界最高品質と言われています。 アーモンドの花 2月になるとアーモンドの花が咲き始めます。桜に似ているので、間違える人も・・・開花時期にアグリジェントではアーモンド祭りが行われます。 アーモンドペースト パスタ ディ マンドルラ こちらは、アーモンドを挽いて砂糖を練り込みペースト状にしたアーモンドペースト(パスタ ディ マンドルラ)。あらゆるシチリアのお菓子のベースに使われています。シチリアのアーモンドは油脂分が非常に高く濃厚な香りや味を持ち、パスタ ディ マンドルラはアーモンドミルクやアイスクリーム、さまざまなお菓子で活躍します。 リコッタチーズの生成過程 もう1つ重要な食材リコッタはフレッシュチーズの一種。リコッタという名前は再び(ri)煮た(cotta)という意味で、生成過程でできた乳清を煮詰めて作ったものです。 そのままでもおいしいリコッタ イタリアでは羊乳、山羊乳、水牛乳製などいろいろあり、脂肪分が少ないのでほんのり甘くさっぱりとしていて、裏ごしした豆腐のような食感。そのままも食べられますが、料理、そして様々なお菓子の材料として使われます。 ブロンテのピスタチオ その他シチリア名産のお菓子の食材といえば、カターニア県の街ブロンテのピスタチオです。ミネラル豊富なエトナの火山岩の土地で育ったブロンテのピスタチオは、色鮮やかな黄緑色をして、世界で最も質が高いピスタチオとして知られ、食材として様々なお菓子に使われています。 モディカのチョコレート そしてもう1つシチリア名物でご紹介したいのが、モディカのチョコレート。スペイン王国がアステカ帝国を滅ぼした後、戦利品としてスペインにカカオを持ち帰り、砂糖を加えて飲みやすく改良し「飲み物」として、王侯貴族や上流階級の人々の間で愛飲されたものがスペイン王国支配下のシチリアにも16世紀に伝わりました。モディカでは今でも伝統的な製法で作られ、カカオバターは使わず、素材は、カカオ、粉砂糖、スパイスのみ。ガリガリとした食感で、溶けにくいのでお土産にもおすすめです。 カンノーロ(Pasticceria d'Amore) さて材料の話はこの辺にして、シチリアのいろいろなお菓子を紹介したいと思います。シチリアの2大伝統菓子といえばカンノーロとカッサータシチリア―ナです。カンノーロはカリッとした筒状のビスケット生地にリコッタチーズなどのクリームを詰めたものです。 カッサータシチリア―ナ(Pasticceria d'Amore) カッサータシチリア―ナは羊のリコッタチーズのクリームがベースになり、白く砂糖コーティングされ、上にフルーツの砂糖漬けを飾ったものです。 ピスタチオ味は緑です。こってりした濃厚な味です。 焼き菓子パスタ ディ マンドルラ 見た目はクッキーのようですが、小麦粉を使わずアーモンドパウダーで練り上げ、もっちりした食感の焼き菓子パスタ ディ マンドルラ。日持ちするので、お土産にもおすすめです。 フルッタ マルトラーナ(Pasticceria d'Amore) そして、こちらもシチリア伝統のお菓子「フルッタ・マルトラーナ」です。先ほどご紹介したアーモンドペーストを使って作るマジパンを、様々なフルーツの形をした木製の型か、手で形を作って色が塗られています。乾いては色を塗り、を繰り返して、本物のフルーツそっくりに仕上げられています。見た目にも美しい華やかなお菓子なので、シチリアのお菓子屋の店頭に必ず飾られています。 Pasticceria d'Amore店頭 こちらは、これまでの写真でもお菓子が登場した、タオルミーナのPasticceria D'AMORE ダモーレ(シチリア菓子店)。タオルミーナの中で一番生菓子が美味しい、地元の人ご用達の店です。 こちらはタオルミーナのイゾラベッラの景色を描いたイースターのチョコレートです。Pasticceria d'Amoreではシチリアの代表的なお菓子カンノーロや、コルネット(クロワッサン)はその場でクリームを詰めてくれます。ジェラートやグラニータなど夏のお菓子もあります。 ジェラート コン ブリオッシュ そして最後に、夏のお菓子。イタリアといえば、夏はもちろんジェラート。コーンではなく、ブリオッシュという甘いパンにジェラートをはさんで食べるのが、南イタリア流。 グラニータ(Bambar) シチリアの材料を使ったジェラートももちろんおいしいのですが、シチリアの夏のデザートの定番は何と言ってもグラニータ。シチリアの人は朝食にブリオッシュとともに食べます。イタリア版かき氷とも言えますが、かき氷よりなめらかで、ジェラートとも違い、味もコーヒー、レモン、アーモンド、イチゴ、チョコレート、ピスタチオ、ヘーゼルナッツなどの定番から、桃、キウィ、スイカ、メロン、ラズベリーなど季節の果物系など多種。タオルミーナのBambarはグラニータ専門店だけあり、地元の人や有名人も足しげく通う有名店です。 シチリアのお菓子、いかがでしたでしょうか。シチリアにおいでの際は、是非お試しください。 【データ】Pasticceria D'AMORE ダモーレ(シチリア菓子店)住所 Via Costantino Patricio, 98039 Taormina 電話: +39-0942 23842http://www.pasticceriadamore.it/ Bambar バンバ―ル (カフェ、グラニータ)住所 Via Di Giovanni, 45 ,98039 Taormina Tel: +39 0942-24355 ◆◆◆バビロニア イタリア語文化センター◆◆◆シチリア島で最も有名な街の一つであるタオルミーナで勉強してみませんか。バビロニアでの留学にご興味がある方は、地球の歩き方「成功する留学」の無料カウンセリングをご利用ください。バビロニア イタリア語文化センターHP Babilonia三角映子(みすみ えいこ)1993年に初めてイタリア留学し、その後2004年よりイタリア在住。声楽家、日本語教師として、そして通訳、翻訳を通して、日本文化をイタリアに、イタリア文化を日本に紹介している。シチリア タオルミーナのバビロニアイタリア語文化センターの日本語翻訳、通訳などに嘱託として携わっている。