去年9月、チャイナタウンIDに地元企業のバーテル・ドラッグスの支店がオープンしました。シアトルの中華街は第二次大戦前は日本町だったところで、中華系だけではない他の移民も多いため、インターナショナル・ディストリクト(International District)という呼称もあるものの、一見して中華色が濃いこともあり、シアトル民の間でもチャイナタウンのほうが通りはいいです。でも近年は2つを合わせて「チャイナタウン/インターナショナル・ディストリクト」と呼ばれることも多くなりましたし、フェイスブックもその名前で作られていますので、ここではイニシャルを取って「チャイナタウンID」と呼ばせていただくことにします。 それにしても、この地域には漢方はじめ東洋医学系の薬局はあっても、アメリカのごく普通のドラッグストアが出来たのは初めてではないかと思います。場所は4thアベニューとジェファーソン通りの角。アムトラックが止まるキングストリート駅の斜向かいで空港からのライトレールの昇り口もすぐそば、バス停も多いですし、坂道を海側へ下っていけばスタジアムのあるSODO地区とパイオニアスクエアに出る好立地。開店日には長蛇の列だったそうです。 和洋折衷、地域に溶け込んだサービス アメリカの普通のドラッグストアとはいえ、店の入り口脇の街路灯には龍が巻き付いていますし、店のロゴの下には赤々と「薬局」の文字が踊ります。昔からの住民も多くてお年寄り向けのアパート等もありますし、その多くがアジア系移民で英語が達者でない人達もいるということで、きめ細かいサービスが出来るよう、ストアマネージャーにはアジア系の社員を採用、私が行った時に働いていた店員もアジア系の人達ばかりでした。近くなら処方箋薬の配達もするそうで、地域に溶け込んだ店になればという狙いだそうです。 旅立つ人のために小さなサイズが豊富 中に入ればどこにでもあるバーテル・ドラッグス、でもなんとなく雰囲気が違う…と思ったら、一般的には床はタイル張りが普通のところ、ここでは敢えて木目調にして暖かみを出しているのだとか。 立地のよさからお客の出入りも多いと見えて品揃えも多い上、他店よりもトラベルサイズを豊富に揃えることに力を入れているのは、これから空港に向かう、これからアムトラックに乗車する人達のニーズにこたえるためだそうです。つまりバラまきおみやげにピッタリの小さなサイズのものが色々と揃うわけ。これは見逃せませんね。 また、もともとが「薬局」ですから、健康食品店やオーガニック専門店にあるような商品も揃います。こちらは日本でも人気のナチュラルコスメのセクションです。 地元の名物の品揃えが豊富 もともとどの店舗でも地産品の品揃えが豊富なことで有名なバーテル、その点は得意分野でもあります。こちらはローカルブランドのドライスープ。一箱にスープも具も全部入っていて、分量の水を入れて温めれば美味しいスープが出来る優れモノです。小瓶のジャムやお茶類など、ダウンタウンの反対側にあるパイクプレース・マーケットの代表的な商品も揃います。 小瓶のジャムでは少ないということでしたらこちら。北西部にしかないマリオンベリーやハックルベリーのジャムを、ぜひお試しになってみてください。 昔懐かしいゼネラルストアを目指す ところで敢えてこの店をチャイナタウンIDに出店した理由の一つが、コンビニとドラッグストアを合わせたような昔懐かしいゼネラルストアを開くという趣旨だったのだそうで、他の店舗ではあまり見ない新鮮な食品類も売られています。こちらのサンドイッチ、ここから旅立とうとする人達には大人気なのだそうです。 こちらはサラダ類。ドラッグストアは便利に色々なものが見つかりますが、こんな風に売り場がある店はたぶんここが初めてです。 そして極めつけがこのコーヒー、アイスクリーム、地ビールのバー・カウンター。バーテル各店舗で見られるサービスですが、他店舗ではどれか1つしか無いところ、3つ揃っているのはここだけだそうです。私がアメリカに来た頃にはもう見られませんでしたが、昔はドラッグストアでソーダやアイスクリームなど提供し、近所の子供達のたまり場になったりしていたそうです。確かノーマン・ロックウェルの絵にそういうのがたくさん描かれていたと思いますが、こういうところもレトロな昔懐かしいストアの雰囲気を醸し出しているのでしょうね。ファウンテンと書かれているカフェ部分は午後ぐらいから、地ビールのタップ・バーは夕方から店員が詰めるそうですが、開店すぐでもレジで頼んでくだされば出しますとのことです。薬局の朝は早いので、朝っぱらからビール?と思いましたが、スタジアムも近くて前日の野球やサッカー、フットボールの結果によっては迎酒の人もいるかもしれませんし、アムトラックで一杯やりながら旅立つ人もいるのかもしれません。 移民の多い地域柄、アメリカのごく普通のものを買うには宇和島屋に少し揃っているだけで、どうしても少し足を伸ばさなければならなかったのが、おかげでとても便利になりました。小ぢんまりとした可愛いお店なので、ぜひお越しになってみてください。【データ】店名:バーテル・ドラッグス 4th&ジャクソン住所:400 South Jackson Street Seattle, WA, 98104TEL:(206) 467-1550URL:https://www.bartelldrugs.com/store/4th-and-jackson/店舗営業時間:月〜金曜 6:00 - 21:00 土曜 8:00 - 19:00 日曜 7:00 - 23:00薬局営業時間:月〜金曜 9:00 - 21:00 土曜 9:00 - 18:00 日曜 10:00 - 18:00 Eko夫の転職に伴い渡米、シアトルに住み着いて、気が付けば20年になりました。仕事、子育て、学業と突っ走って来ましたが、2011年3月の震災をきっかけに、微力ながら復興のお手伝いをさせて頂いています。長年住んでいるからこそ知っている昔話など交えつつ、大人の、または家族で、そして子供向けと、シアトルの色々な楽しみ方をお届けします!