ロンドンから電車で2時間ちょっと、高速道路をドライブしても3時間あれば到着する、ウェールズ南東の街ニューポート。ここは中世の頃から港湾都市の役割を担っていましたが、特に産業革命時代には石炭出荷で急成長しました。 そしてこの街には、世界でも数少ない運搬橋(トランスポーター・ブリッジ)が現存するのです! といっても日本では建設されなかったタイプの橋なので、ちょっと説明が必要ですよね。 この運搬橋というのは1800年代末から1900年初頭にかけて、主にヨーロッパを中心に20数基ほど建設されました。普通の橋をかけると船の運航を妨げてしまう場合、代わりに馬車や人間を乗せたゴンドラが水平移動すれば良いじゃないか!という、当時のグッド・アイディアだったのです。 しかし技術の発達とともに必要性がなくなってしまい、今では世界で8基しか残っていません。だからこのニューポート運搬橋も、いわば近代産業史の遺物というわけです。 ここで私は連れと別れて、無難にゴンドラに乗って往復しました。こちらは往復£1.50(料金は2017年2月現在)です。では、連れはどこへ?という件については後述しますね! ゴンドラの動く速度はゆっくりペース。川風を感じながら、ニューポートの街並みを見渡しているうちに反対岸に到着です。同じくゴンドラに乗っていたバイクや車で移動中の人たちは、岸に着いたらそのままバイク等に乗り込んで去っていきました。でも私たちはこの運搬橋を体験する為だけに来たので(笑)、また帰りのゴンドラに乗ります! 反対岸に到着したら、係の人が「あの運転室にも入ってみませんか?」と言うので、別行動をしている連れが来るのを待つ間に入ってみました。 中には巨大な糸巻きのような機械があって、鋼鉄ケーブルでゴンドラを移動させているのでした。ケーブル作動中は「ガーッ」という音も凄くて、さすが産業革命末期の発明品だなぁ、という迫力。 一方、私の連れはというと…ゴンドラを吊るすレールの上を歩いて渡る事も出来るので、そちらに挑戦していました! そのためには、まず177フィート(約54メートル)の階段を上らないといけません。実は私の連れと相前後して、小学生くらいの少年とその父親らしき男性も上って行ったのですが…途中で少年が怖くなったそうで、引き返して降りてきました。かなりの高所好きでないと、ちょっと無理そう。 がんばって階段をクリアして高架レールに到達すると、足元がスケスケ網目の通路が現れます。そこを歩いて渡るのだから、正にお好きな方にはたまらない!? 先ほどまで私が乗っていたゴンドラも、運転室も、遥か下方に見えたそうです。鳥になったような視界に近いかもしれないですね。 こちらの高架レールを歩いて渡れるチケットは£3.00ですが、片道はゴンドラに乗ってもOK。だから連れも、さすがに帰りはゴンドラに乗って戻りました。ウェールズの首都カーディフからも近いので、もしニューポートに寄る機会があったらチャレンジしてみませんか?!【データ】ニューポート運搬橋(Newport Transporter Bridge)住所:64 Cardiff Rd, Newport NP20 2UATel:01633 656 656URL:http://www.newport.gov.uk/heritage/Transporter-Bridge/Transporter-Bridge.aspx 小野 雅子ロンドン西郊外に住む会社員、職場はヒースロー空港周辺です。在英20年以上の経験値を発揮して、初めてイギリスへいらっしゃる方にも興味深く分かりやすいロンドン観光&生活ガイドとしてお役に立てれば…と思います。個人ブログ「ロンパラ!」はこちら♪