
日本は島国ですが、最も大きな本州は南北の方角に約1300キロメートルの海岸線を作っています。世界の海に浮かぶ島々の中で第7位の広さです。地球上には数々の島国がありますが、モルディヴは極めて特徴的です。約1200の島々から成りますが全ての島は小さく、首都マーレが置かれるマーレ島でも1時間前後で海岸線を一周することができます。

モルディヴは、スリランカの南西約675キロのインド洋上に首飾りのように点在する群島です。35万人あまりの人々は約200のローカル・アイランドに暮らしています。国土の最高海抜は約2.4メートルで海面すれすれのところで生活を営んでいるのです。地球の温暖化による海面の上昇や環境破壊による珊瑚礁の死滅は、モルディヴの人々の生活環境を根こそぎ奪いかねません。海面が1メートル上がると、国土の80パーセントが失われると試算されています。

小さな島では農業や工業は発展せず、大半の人々は漁業か観光業を営んでいます。中でも観光収入がGDPの約3分の1を占めています。無人島の内100前後の島々が一島まるごとホテルのリゾート・アイランドとなっており、ヨーロッパを中心に数多くの外国人が訪れています。

海の上にせり出した水上コテージで、贅沢なリゾートを楽しむのがモルディヴの最大の魅力と言えますが、ローカル・アイランドに暮らす人々と接しながら時を過ごすのも興味深いことです。
マアフシ島は南マーレ環礁の北端に位置するローカル・アイランドです。南北約1.3キロ、東西約260メートルの細長い島です。西海岸に設置されたフェリー・ターミナルを中心に集落が広がります。波打ち際にはヤシの樹が並木を作る遊歩道が整備されています。

遊歩道の東側はホテルが隣合わせで建ち並びます。隅々まで徒歩で移動できる島内では車を見かけることはありません。バスやタクシーもありません。マアフシ島を訪れるときには宿泊するホテルに島への到着時間を知らせておけば、荷物を乗せる台車を引いて迎えにきてくれます。

島の南部には少し岩場が見られますが、島の海岸線の大半は白砂が続くトロピカルなビーチとなっています。モルディヴはイスラム教国であるため肌の露出が制限されていますが、マアフシの西部、北部の浜辺ではビギニの着用も許可されています。きめ細かな砂の上に寝転がったり、透き通る水の中で海水浴を楽しんだりすることができます。



アクティヴな人はマリン・スポーツを楽しみたいでしょう。島内の3軒のレンタル施設では、シュノーケリングやダイビング、セーリング、カヌー、ヨット、ジェットスキーに必要なグッズを全てレンタルすることができます。船で沖合に漕ぎ出してウミガメ、イルカ、マンタなどと一緒に泳いだり、ホエール・ウォッチングなどのアクティビティ・プランも充実しています。




海は多種多様の楽しみを提供してくれますが、眺めているだけでも飽きることはありません。場所、時間によって色彩が大きく変化するのです。エメラルドグリーン、ターコイズブルーなどの色名をいくら並べても海の色を表現することなどできません。浜辺に打ち寄せる波すら、色とりどりの縞模様を作りながら向かってきます。


海の深さ、海底のサンゴ礁、太陽光の入射、反射が、まばたきする瞬間ごとに新たに創造するアートを形容する言葉など見つけようがありません。



【データ】
<マアフシへのアクセス>
マーレ島のヴィリンギリ・フェリー・ターミナルからフェリーで約1時間45分、スピード・ボートで約40分