2016年12月1日、ワシントンDCのプレジデント パーク(President's Park)内のホワイトハウス（White House)のレジデンスの南側のエリプス(The Ellipse)で「ナショナル・クリスマスツリー・ライティング(National Christmas Tree Lighting)」と呼ばれるクリスマスツリーの点灯式が催されました。
1923年にアメリカ合衆国第30代大統領カルビン・クーリッジ(Calvin Coolidge)が最初のナショナル・クリスマスツリーを点灯して以来、90年以上にわたりこのイベントはこの時期恒例のワシントンDCの最大イベントとなっています。
アメリカ合衆国国立公園局(National Park Service, NPS) の担当者の方のお話によると、今日では、毎年ホリデーシーズンには約200,000人の人々がエリプスのナショナル・クリスマスツリーを訪れるようになったということです。
ホワイトハウスのレジデンスの南側のエリプスで煌々と輝くこの木は、2012年10月にバージニア州から運ばれ植樹された約30フィート（約9.15ｍ）のブルー・スプルース(Blue spruce)。ツリーの周りにレイアウトされた鉄道模型の街では、様々なモデルの列車や機関車が賑やかに汽笛を鳴らしながら走り回っています。
ところで、これだけ大々的なイルミネーションが施されていると環境への影響が心配になりますが、公園管理局の方のお話によると、ホリデーシーズンの間、日暮れから午後11時まで毎日イルミネーションを点けても電気代は(1ヶ月)$200以下、トータルの電力量は約7500ワット、LEDライトでない従来のフィラメント電球の使用と比べると約 1/5の消費量で、 LEDライトの使用により7000ポンドの温室効果ガスの排出が軽減出来るそうです。
ナショナル・クリスマスツリーの電飾用のライトは、過去54年にわたりGE社(ゼネラル・エレクトリック)が提供しており、今年2016年のイルミネーションは、愛国心を表すために、(星条旗と同色の)赤、白、白と青のライトが幾多の星といっしょに流れるようにデザインされています。
ツリーを灯すためにLEDライトのみが使われ始めてから、今年で8年目。小さな電球の数の合計は定かでないけれど、約310の白色のミクロライトのセットと、350位の赤、白、青のLEDの糸状のライトのセットでイルミネーションが施されたツリーのトッパーの星は何年も使っているリサイクルのものなんですよ、とおっしゃる担当者の方のお話を伺いながら、思わず笑みがこぼれます。
きらきらと輝くクリスマスツリーを見上げたり、鉄道模型を堪能したりした後は、ゆっくりと辺りを散歩してみます。
「平和の小径(Pathway of Peace)」と呼ばれる小径の周りには、ノース・カロライナ州のハドラー・ツリー・ファームから寄贈されたという私の背丈ほどのツリーが56本立っていました。
ナショナル・クリスマスツリーの周りを56本の小さなツリーで飾る風習が始まったのは1954年。アメリカ合衆国50州、プエルトリコ、グアム、北マリアナ諸島、アメリカ領ヴァージン諸島、アメリカ領サモアの海外領土、そしてコロンビア特別区(ワシントンDC)を含む各地のツリー担当者に配送された球形のオーナメント用グローブに、それぞれの団体のボランティアが絵付けをしたり装飾を施したりして点灯式に間に合うようにワシントンDCに送り、これらのツリーに飾られるようになったのだそうです。
控えめな白色のイルミネーションに浮かび上がる大きなグローブオーナメントの近くに寄ってひとつずつじっくり見てみると、どれもがとても丁寧に絵付けされていてしみじみと味わい深く、1本のツリーに飾られたオーナメントを見ているだけでも圧巻です。
さらに「平和の小径」を歩いていくと、ホワイトハウスの限定版クリスマス・ツリー・オーナメントが販売されているブースや、キリストの降誕シーンを再現した掘立小屋に行き当たります。
ナショナル・クリスマスツリーはこれまでも何度か見に来たことがありますが、電飾に繊細な星がちりばめられていたせいなのか、あるいは私の横でやはり同じように白い息を吐きながらツリーを見上げている人々の瞳の輝きや笑顔が素敵だったからなのか、なぜか今年のイルミネーションはいつになく美しいと感じました。凍てつくような寒さの夜だったのに、ほのぼのと心温まるひと時を過ごすことができたのは言うまでもありません。
【データ】
ナショナル・クリスマス・ツリー(National Christmas Tree)
住所：E St NW & 15th St NW Washington, District of Columbia 20500
URL：http://thenationaltree.org/
URL：https://twitter.com/TheNationalTree
URL：https://www.facebook.com/pages/National-Christmas-Tree/126239450752200
入園時間：12月1日~1月1日 10:00~22:00(ツリーのイルミネーションは16:00~22:00)
ホワイトハウス(The White House)
住所：1600 Pennsylvania Avenue NW, Washington, District of Columbia 20500
TEL：202-456-1111
URL：https://www.whitehouse.gov/
プレジデント・パークのナショナル・クリスマス・ツリー（President's Park/National Christmas Tree)に関する問い合わせ先
アメリカ合衆国国立公園局(National Park Service, NPS)
住所：1100 Ohio Drive, SW
Room 344 Washington, DC 20242
TEL：202-208-1631
URL：https://www.nps.gov/whho/planyourvisit/national-christmas-tree.htm
アメリカ合衆国国立公園局(National Park Service, NPS)
住所：1849 C Street NW Washington, DC 20240.
TEL：202-208-6843
Eメール：ask-npf@nationalparks.org
URL：https://www.nps.gov/index.htm
ハドラー・ツリー・ファーム(Hudler Tree Farm)
住所：7101 NC Highway, 16 South Jefferson, NC 28640
TEL：336-846-8627 336-846-6627
FAX：336-877-0617
URL：http://hudlertreefarm.net/
舞林鳥 恵
80年代後半から日米間を往復する暮らしを始め、現在DCから小一時間の田舎町で夫とのふたり暮らしを満喫しています。カントリーライフの醍醐味をHappyNest in Americaにて配信中。ワシントンDC周辺の観光名所や魅力的な穴場スポットの情報をお届けします。
