世界で一番高い場所にあるビール醸造所、レベル33(LeVeL33) 。金融街の真ん中で、その名の通り地上33階に位置し、テラス席からはマリーナベイサンズを望む美しいロケーション。高い天井、開放感あふれる雰囲気で、お店の中央には醸造タンクが並んでいます。ビールは鮮度が命、できたてが楽しめるとあって、いつも混雑している人気店です。常備された5種類のビールと、季節限定で1ヶ月〜1ヶ月半位のタイミングで出るビールの計6種類が揃うほか、ビールを使ったモヒートなどのカクテルもあります。
眺望とビールだけでなく、イギリス出身のエグゼクティブシェフ、通称ジミーさんが生み出す、本格的なヨーロッパ料理の数々とのペアリングが楽しめるのが、人気の秘密。「クラフトマンシップ(職人魂)」で醸造したこだわりのビールに合う料理をいつも考えている」という彼が生み出す手の込んだメニューは、ビールをはじめとしたアルコール類とのとの相性も抜群。
それでは、早速お料理をご紹介していきましょう!(後で出てくるサイドディッシュとデザート以外は、テイスティングサイズでの提供です)
まずは、仔羊の肉を使った中華風サンドイッチ、バオ。シャキシャキしたキャベツと人参の千切りの上には、じっくり煮込んだほんのりスパイシーな仔羊の肩肉、青唐辛子をライムと共に漬け込んだピクルス。ポータービールト林檎、糖蜜などが使われていて、甘辛い味わいは、ビールにぴったり。ちなみに、オススメのペアリングは、すっきりとしたブロンド・ラガー。シャープな辛味が、すっきりとしたラガーに合います。
そして、このレベル33のもう一つの特徴は、ビアバーではなかなか見かけない、ベジタリアンメニューの選択肢があること。こちらもその一つで、様々なきのこを使った前菜です。チップス、メレンゲ、チュイル、ピュレ、クランブル、ピクルスと、様々に姿を変えたきのこに、青海苔をまぶした卵黄。切り株のようなプレートを使って、盛り付けからも森の中のイメージがふくらみます。
そして、魚介類も、環境負荷の少ない、サステイナブル(持続可能)な食材を使っているのが特徴。こちらのタコもその一つ。ピリリと辛いエスペレット唐辛子のスポンジがスパイス感を、コーンのピュレ、ざくろが自然な甘みを、青海苔の砂糖漬けが海の香り、タピオカチップがサクサクした食感をプラスしています。マリネなどの甘みと酸味のバランスを、再構築して表現している印象です。
アジア風のアレンジのこちらは、蒸した餃子。中には、スペック(Speck)と呼ばれる 、豚のモモ肉を塩漬けしてからスモークした、生ハムに仔牛肉を加えたフィリング。濃厚な生ハムの旨味とスモークの香り、これはビールに合わないわけがない!という味です。仔牛肉をカリカリに揚げたものに、自家製の葡萄のピクルスが加わり、アジアな味わいがモダンに進化しています。すっきりとしたブロンドラガーがペアリングです。
ヨーロッパの漁業会社と契約し、その時獲れた一番良い魚を送ってもらっているという、本日の鮮魚。この日はフランスからやってきたメバルの仲間、ローズ・フィッシュでした。それを、薄くスライスして乾燥させたパースニップ、グリーンアスパラガスを、醤油を加えた甘辛いソースと合わせています。散りばめられたヘーゼルナッツのクランブルがとても香ばしく、程よくしっかりと火が通ったローズ・フィッシュの味とよく合います。
アメリカ・コロラド産で、トウモロコシを食べさせて育てた仔羊の肉に、イチジクと山羊乳のヨーグルト、トリュフとマッシュルームのソースを合わせて。上にはさっぱりとセージとサクサクしたシーアスパラガスを合わせています。
こちらの仔羊、穀物肥育だけあって脂も甘く、羊肉が苦手な人でも食べられそう。ヨーグルトのまろやかさと程よい酸味が、羊によく合っていました。トリュフやマッシュルームなど、森の香りのソース、黒イチジクの甘みに、黒ビールのスタウトが好相性でした。
トウモロコシを食べて育った仔羊とぜひ合わせたいのが、トウモロコシのサイドディッシュ。スイートコーンとベビーコーン、そしてポップコーン。異なったテクスチャーや味わいのコーンを重層的に重ねています。羊乳のフェタチーズ、ライム、ピンクペッパーとの組み合わせで、甘すぎずさっぱりと仕上げてあります。
ローストして甘さを引き出した立派な西洋ネギは、上からボーンマローのクランブルをかけて。ちょっと表面を焦がした香ばしさに、西洋ネギ本来の濃厚なネギの香りがマッチして、特に肉料理との相性が良さそうです。
上品に野菜を味わいたい、という方にオススメしたいのが、こちらの、赤キャベツやケール、芽キャベツなど様々なキャベツの仲間を使った料理。スモークした塩、甘酸っぱい赤キャベツのソースと共にいただきます。カリカリとしたベーコンが味と食感のアクセントになっていました。葉を丸く形どった盛り付けも可愛らしい一皿です。
デザートは、蜂の巣、という名前がついていて、様々な味のチョコレートや蜂蜜のゼリーが、蜂の巣の形になっています。右上の蜂の巣のパイの中には、冷たいラベンダーのムース、その下にはローズマリーのアイスクリームと、どこか南フランスなどの地中海沿岸を思わせる組み合わせ。マダガスカルの森で採れたはちみつをかけていただきます。
デザートにも、コーンが登場。ほのかな塩味の黄色いコーンのピュレに、トウモロコシの皮を粉にしたものを振りかけたメレンゲ、メレンゲの上にはコーンオイルを閉じ込めたキャンディと、トウモロコシづくし。しっかりとしたメレンゲの甘みがありますが、食感が軽いのでそこまで重たく感じません。食後はしっかりと甘いものが食べたい!という方にオススメです。
ちなみに、マリーナベイサンズを望むこちらは新年の花火を見るのにぴったりの場所でもあります。大晦日には、ニューイヤーズ・イブ・パーティと銘打って、ジミーシェフが12時間かけてローストした牛肉などの料理と、飲み放題が付いたプランが用意されているそうです。興味のある方は、ぜひ問い合わせてみてくださいね!
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■レベルサーティースリー(LeVeL33)
営業時間:11:30〜24:00(月〜水曜)、11:30〜26:00(木〜土曜、祝前日)、12:00〜24:00(日曜)
住所:8 Marina Boulevard #33-01, Marina Bay Financial Centre Tower 1, Singapore 018981
電話: +65 6834 3133
アクセス:MRTラッフルズプレイス駅から徒歩5分
(マリーナベイファイナンシャルセンター、タワー1。専用エレベーターは正面受付を左、少々分かりづらい場所ですのでご注意ください。)
URL:https://www.level33.com.sg/
仲山 今日子
元テレビ山梨、テレビ神奈川アナウンサー。現在はフリーアナウンサー、ディレクター、ライターとしてお仕事を受けています。シンガポールのテレビ局J Food & Culture TV 勤務、All Aboutシンガポールガイド。ブログ。趣味は海外秘境旅行&食べ歩き、現在約40カ国更新中。