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ミシュランが認めた、美肌ローカルフードフィッシュヘッドヌードルの老舗

   
仲山 今日子
仲山 今日子
 
シンガポール 広東料理 中華 大人数 カジュアル 子連れ
名物のフィッシュヘッドヌードルとシンガポール風中華が楽しめる

わずか200メートルほどの細い通りに、最近次々と新しいお洒落なレストランがオープンし、注目を集めるエリア、アモイストリート(Amoy Street)。
そんな中に、古き良き時代のシンガポールの趣を残すローカルフードのお店があります。
創業1939年という老舗、スウィキー・フッシュヘッド・ヌードル(Swee Kee Fish-head Noodle House)です。シンガポールでは、元々のお店の看板スタッフの愛称からその名がついた、姉妹店のカソー(Ka Soh、1997年創業)が、今年シンガポールに上陸したミシュランのビブグルマンに選ばれたことでも知られています。メニューも味もほぼ同じだそうですが、こちらのスウィキーの方が、より昔ながらの趣を残しているそうです。

カソー 義母 ノスタルジック 入り口 エントランス 
昔ながらのノスタルジックな入り口

元々は、現在グレートワールドシティショッピングセンターのある場所に建っていた遊園地、グレートワールドアミューズメントパーク(Great World Amusement Park)にあったそうですが、1950年代にテロック・エア(Telok Ayer)に移転し、現在の場所には1995年にオープン。当時のままの建物は、どこかノスタルジックな雰囲気。家族経営の店だけに、壁には家族が、シンガポールのみならず、香港や東南アジア各地からやって来た俳優や歌手などの有名人と撮った写真が飾られていて、家族の歴史と共に歩んで来た、そんな物語を感じるお店です。ちなみに、カソーとは、義理の母という意味だそうです。

家族経営 ローカルフード 地元 人気
父子で切り盛りする家族経営のお店

三代目の、タン・セドリック(Tang Cedric)さん(写真右、左は父で二代目のタッ・チョンさん)に、厨房を案内してもらい、お話を聞きました。まずは、お店の看板料理である、フィッシュヘッドヌードルについて。厨房には生簀があり、マレーシアの養殖場から直送された、雷魚(Snakehead fish)が泳いでいました。毎朝、シェフがさばいて、身はヌードルの具に、そして骨や頭の部分は6時間かけてスープにするのだそう。 このスープは、フィッシュヘッドヌードル以外にも、色々な料理のベースのスープとして用いられるそう。

フィッシュ コラーゲン シェフ ヘルシー
長年働いているシェフが毎朝活けの雷魚をさばいて作るスープ

ここで30年以上腕をふるっているという、ホイシェフ(Hoi、写真上)が、今日もキッチンに立っていました。 このスープを、更に強火で煮詰めたものが、フィッシュヘッドヌードルのスープになります。

スープ ヘルシー コラーゲン 魚 キッチン
6時間かけて作った自慢の白濁スープはコラーゲンたっぷり

「シンガポールでは色々な所でフィッシュヘッドヌードルを見かけるけれど、そのパイオニアとも言えるのが、僕の祖父で、初代のタン・クォン・スウィー(Tang Kwong Swee)なんだ。スープの白濁した色は、全部魚からのもの。最近はエヴァミルクを足して簡単に色味とコクを出したフィッシュヘッドヌードルを見かけるけれど、僕に言わせれば、本来の手間暇かけた本物のフィッシュヘッドスープに勝るものはないと思うよ」と胸を張ります。実際にスープをいただいてみると、しつこくなく、でも後味にコラーゲンたっぷりのスープならではの余韻が残ります。

名物 看板料理 フィッシュヘッド ヌードル
まずは名物のフィッシュヘッドヌードル(S$7.5)を味わって

ここに、コニャックのような香りがあるという、中国の米酒と、卵麺、太さが選べるビーフン、具は魚の切り身かフィレ、フィッシュヘッド、腹身の部分など、お好みの部分を加えて出来上がり。フィッシュヘッドヌードル、と聞いて、魚の頭が丸のまま入っているの? と思われるかも知れませんが、切り身などの具を選んだ場合には魚の頭は入っていないので、苦手な方もご安心を。「更に野菜がとりたいという人には、ゴーヤーのトッピングがオススメ」とセドリックさん。スープは薄味なので、このまま全部飲める味の濃さ。物足りない場合は、卓上の胡椒や醤油、チリパディ(グリーンチリ)を足して、お好みの味にしてくださいね、とのことでした。

ランチ 満席 人気 
地元の人たちでランチタイムは大にぎわい

そして、看板料理のフィッシュヘッドヌードルだけでなく、様々な料理を楽しめるのがここの魅力。(確実に席を取りたい場合は、12時前に行くか、13時過ぎに行くのがオススメです。)。お昼時には、近くのオフィスから来たサラリーマンや家族連れで満員になります。もちろん、フィッシュヘッドヌードルだけのオーダーもできますが、様々な料理を頼み、フィッシュヘッドヌードルと共にみんなでつつきながら楽しむのがシンガポール流。元々初代のクォン・スウィーさんが、広東料理の本場、広州からやって来たというだけあって、料理のベースは広東で、そこにシンガポールならではのアレンジを加えた料理となっています。

シンガポール 漬物 チリパディ アチャー ラード
シンガポールらしさあふれる「お通し」はこちら!

まず、シンガポール料理に欠かせない、甘酢漬けの青唐辛子、チリパディと、唐辛子、そして、ラードを揚げたもの。ラード?と思われるかもしれませんが、サクサクに揚がっていてまったく脂っこくありません。ビールのおつまみにも良さそうです。そして、お通しとして提供されるのが、シンガポールの漬物、アチャー(Achar、S$3)。キュウリやパイナップル、人参を唐辛子と共に漬けたピクルスのようなものです。また、お茶はスタッフが手でほぐしているという菊花茶(S$2)がオススメ。ほんのりと甘く、甘過ぎないので料理との愛称も抜群。タイガービール(S$4.8/缶)などのアルコールもあります。

ホーフン 魚 だし 炒める 中華麺
雷魚の出汁を使って香ばしく炒めたホーフン

麺類のもう一つのオススメは、エビやイカなどのシーフードと共に炒めたきしめんのような米の麺、シーフード・ホーフン(Seafood Horfun、S$8.5)。同じ雷魚のスープを使っていますが、ワック(Wok)という、中華鍋で強火であおり、高温の油で炒めてあるので、独特の香ばしさがあります。こちらも、人気があるのだそう。

レタス 野菜炒め 中華
野菜はオリジナルメニューの川魚とレタスの豆豉炒めがオススメ

そして、野菜のメニューのオススメは、ロメインレタス・ウィズ・デース・フィッシュ(Romaine Lettuce with Dace Fish、S$15.5)、ロメインレタスの炒め物。鯉の一種である、デース(Dace)という魚と、黒豆の調味料、豆豉と共に炒めたもの。シャキシャキ感が残りつつ、出汁を吸ったデースの旨味、そして豆豉の程よい塩気がアクセントになっています。

甜醤 豚肉 揚げ物
表面をカリッと揚げた豚肉を香ばしい黒糖風味のタレにつけて

スペア・ポーク・リブス(Spare Pork Ribs、S$9.5、Sサイズ) 甘い醤油ベースのタレに漬け込み、表面をカリッと焼き上げたポークリブ。精製前の糖蜜、モラセスでできた甘いソース、甜醤(テンジャン)をつけて食べると、香ばしさが引き立ちます。

カエル 食用 蛙 唐揚げ タレ 甘辛 生姜 ビール つまみ
甘辛いタレと白身の肉が美味しい、カエルの唐揚げ

そして、個人的にとても気に入ったのが、カエルの揚げ物、フライド・フロッグ・ウィズ・ジンジャー(Fried Frog with Ginger、S$21)。生姜と共にカリッと揚げたカエルは、鶏肉のような味。蜂蜜のような甘辛いタレをかけてあり、ビールのおつまみにもぴったり。

ショップハウス ノスタルジック 昔 古き良き
昔にタイムスリップしたかのようなひと時を体感して

料金には7%の税金がかかりますが、サービス料はかからず良心的。気取らずに家族や仲間と過ごしたい、そんなシチュエーションにぴったりです。
中国語が飛び交う店内ですが、一部英語を話せるスタッフがいる他、メニューは英語と中国語併記で金額も書いてあるので、指差しで注文できます。
お店は来年リノベーション予定ということで、この昔懐かしい雰囲気を求める方は、お早めに!

<DATA>
■ スウィ・キー・フッシュヘッド・ヌードル(Swee Kee Fish-head Noodle House)
営業時間:ランチ 11:45 〜14:30、ディナー 17:30〜22:45(L.O.)、無休(旧正月を除く)
住所:96 Amoy Street, Singapore, 069916
電話: +65 6224 9920
アクセス:MRTテロック・エア駅徒歩2分
URL : http://ka-soh.com.sg

仲山 今日子

仲山 今日子
元テレビ山梨、テレビ神奈川アナウンサー。現在はフリーアナウンサー、ディレクター、ライターとしてお仕事を受けています。シンガポールのテレビ局J Food & Culture TV 勤務、All Aboutシンガポールガイドブログ。趣味は海外秘境旅行&食べ歩き、現在約40カ国更新中。

    

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