
今注目のテロック・エアエリア、特におしゃれな飲食店やバーが続々とオープンしているアモイ・ストリート(Amoy Street)に今月オープンしたばかりなのが、バーズ・オブ・ア・フェザー(Birds of a Feather)。
中国・四川省の中心、成都でグッド・ウッド・コーヒー(Good wood coffee)という大手カフェチェーンを経営しているオーナーのリウ・ビン(Liu Bin)さんとヘンニン(Hening)さん夫妻が、シンガポールにオープンしたお店です。
入り口はそれほど大きくありませんが、中はとっても広々。中国の大自然をイメージした店内は蘭などの本物の植物が植えられ、緑豊かで、とてもくつろげます。シンガポールでは、こういった広々とした居心地の良さはとても貴重。
店名の由来は、友が集うという意味。太陽を守るために、4羽の火の鳥が太陽の周りをまわっている、という中国の言い伝えがあり、この火の鳥と、鳥が憩い人が集う場所、という二つの意味が込められているのだとか。提供されているのは、西洋料理をベースに、四川料理のアクセントを加えた料理の数々。辛いだけではなく、様々な発酵調味料などを使っているのが四川料理の魅力、そんな本場の味をそのまま、シンガポールに持ってきたのだとか。また、四川特産の胡椒も持ってきたのだそう。熟した赤い胡椒と未熟な青い胡椒。標高が高く山に囲まれた四川省では、日中の日が差す時間が短く、極上の胡椒がとれるのだとか。

また、カクテルもソーダを使ったすっきりとしたタイプから、デザートカクテルまで幅広いラインナップ。お願いしたカクテルは、グッド・モーニング(Good morning)という、面白い名前。ヘンドリックスのジンに、エルダーフラワーのリキュール、レモネード、苺ピュレなどを合わせて作ってあります(写真右)。

シンガポールの人に大人気だという一品がポークトロッター。揚げた骨付きの豚肉を、大豆をじっくりとローストしたものを加えた香ばしいチリパウダーと共に、紙袋に入れて振り、いただくというもの。袋に入れてシャカシャカするのも楽しいです。骨がついているので、気にせず手で持ってかぶりつくのがお勧め。気のおけない友人達との食事などにどうぞ。

まずは、卵白でできた軽い衣をまとったイカのフライ。柚子が香るタルタルソースでいただきます。こうして辛くない料理もあるので、辛いのが苦手な方も安心。

見るからに辛そうな唐辛子に覆われているのは、伝統的な四川風の鳥の唐揚げ。見た目ほどではありませんが、しっかり辛くて、ビールなどにも合いそうな味わい。辛さのレベルは、本場四川の一般的なレベルに合わせたのだそう。

そして、チキンのアボカドサラダは、中国山椒の爽やかな香味が効いていて、麻辣でいうと、麻のすっきりとした辛みです。ほのかに利かせている程度なので、辛み、というほどにははっきりとは感じません。一口に辛みといっても、その多様さに驚きます。

そして、四川風のおでんと言いたくなるような、フォーチュン・スキューアーには、もちもちした日本の「マロニー」を添えて。ゴマ油が香る鳥の出汁に、串に刺した野菜やエビ、ウズラの卵、茸などをひたして煮込んであります。スープはしっかり辛く、酸味とハーブを除いた中国風のトムヤムクンのような印象で、辛いものが好きな方にはお勧め。おみくじのような感覚で串を引いて何の具が出てくるかを楽しむこともできます。

カリカリのパニーニにとろとろの中国風の豚バラ肉の煮込みをはさんだサンドイッチは、中国の伝統的な味に西洋風のアレンジを加えて登場。フレッシュな自家製のトマトサルサと一緒にいただきます。

さすが本場の味という麻婆豆腐は、山椒と唐辛子の辛さが生きたもの。ピタパンかご飯が選べます。おしゃれなカフェ&ダイニングバーなのですが、パンだけでなく、ご飯のオプションがしっかりあるのが嬉しいです。

オリエンタルボロネーゼは、ジャージャー麺にインスピレーションを受けたパスタ。成都直送という、中国の甘い味噌が生きた味わいで、甘味と奥行のある味わいが温泉卵のコクとからみます。緑の濃いケールが入っていてヘルシーなのも魅力。上から振りかけたパルメザンチーズをまとった味噌が意外とパスタとの相性が良く、うれしい驚きでした。ちなみに辛いバージョンもプラスS$2でお願いできます。

バーズ・シグネチャー・バーガーは 香ばしく炭火焼きされた分厚い牛肉のパテにチーズ、そしてフォワグラが乗っていてます。サイドには自家製のチリパウダーが添えられ、フォワグラのコクと合わさると絶品。サイドには、ポテトフライとほのかな甘みをキャラメリゼしたような香りをプラスするさつま芋のフライが添えられています。

そして、ディナー限定の、ほんの少しだけスパイスと酸味を利かせた鮭の出汁のお茶漬けは、上にバラマンディ(スズキの一種)と明太子、イクラが乗っています。香ばしくグリルしたバラマンディに、温かいスープ、そしてイクラなどのコク。お酒を飲んだ後の〆にもぴったり。

デザートは、洋梨を白きくらげやオレンジの皮や生姜と共に沖縄産の黒糖で煮込んだもの。アジアならではのヘルシーなデザートです。オレンジキャラメルの冷たいエスプーマを添えて。

もうひとつ私が気に入ったのが、四川のストリートフードからインスピレーションを得たという柔らかな餅。日本で言ったらきなこのような、大豆を炒って粉にしたものと黒糖のシロップがかけられていますが、何よりも魅力なのがその食感。周りがカリッと、中はふるふると柔らか。

最後に出てきた、シグネチャーの焦がしメレンゲたっぷりのコーヒーは、甘くてもっちりとしたメレンゲを溶かしながら飲むと絶品。ご紹介したデザートメニューのほか、ケーキなどもあるので、カフェ利用もおすすめです。

シンガポールでなかなか見つからないと思っていたのが、おしゃれ系のダイニングバー。
居心地の良い空間で、日中はカフェ利用もでき、食事もしっかり食べられて、かつ価格もお手頃。ゆったりとしたソファ席もあるので、お子様連れの利用もおすすめです。
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■ バーズ・オブ・ア・フェザー(Birds of a Feather)
営業時間:10:00〜23:00、無休
住所:115 Amoy Street, Singapore 069935
電話: +65 6221 7449
アクセス:MRTテロック・エア駅徒歩2分
https://www.facebook.com/birdsofafeathersg/

仲山 今日子
元テレビ山梨、テレビ神奈川アナウンサー。現在はフリーアナウンサー、ディレクター、ライターとしてお仕事を受けています。シンガポールのテレビ局J Food & Culture TV 勤務、All Aboutシンガポールガイド。ブログ。趣味は海外秘境旅行&食べ歩き、現在約40カ国更新中。