ダウンタウンから北へ橋を渡り、ユニオン湖からエリオット湾への運河のそばにあるフリーモント地区。ユニークなお店やカフェなどが集まっていて、芸術家が多く住み、数々の不思議なオブジェが街角に立つことでも有名な地域です。その中ほどにあるのが、シアトルでパストラミ・サンドイッチの美味しい店といえば必ず名前が挙がるロキシーズ・ダイナーです。「本場の東海岸を西海岸で」というキャッチフレーズの通り、東海岸、とくにニューヨークで名物のジューイッシュ・デリ特有のメニューが評判を呼んでいます。 ところでアメリカ生活ときっても切れないのが、デリ・サンドイッチ。ハムやターキー、チキンなどのコールドカットと呼ばれるミート系スライスを何枚も重ね、たっぷりの野菜とともに挟んでこしらえるサンドイッチです。ジューイッシュ、つまりユダヤ系の人々が営むデリ(デリカテッセン)で作られるサンドイッチが起源の一つとも言われています。パストラミ・サンドはルーベン・サンド、コーンビーフ・サンドと並んでジューイッシュ・デリを代表するメニューということになります。 ところでこの3つのサンドイッチ、もともとは牛の同じ部位の塩漬けですが、それぞれが少しずつ違います。■コーンビーフ・サンド■日本のコンビーフとは違い、ブリスケットなどの塊肉で、塩やスパイスで漬けた保存食。そのままスライスして食べる人もいますが、一般的には茹でたりオーブンで焼いたりします。コーンビーフ・サンドはライ麦パンにコーンビーフだけをうず高く積み上げて挟み、キュウリのピクルスを添えます。ザワークラウトが挟んであることもあります。■ルーベン・サンド■コーンビーフにスイスチーズ、ザワークラウトを加え、サウザンアイランド・ドレッシングを塗ったライ麦パンで挟み、グリルしたホット・サンドイッチ。■パストラミ・サンド■コーンビーフを作る時のように塩やスパイスで漬け込んだ牛肉を少し乾燥させてから燻製にして作ったパストラミのスライスをライ麦パンで挟んだサンドイッチ。一般的にはザワークラウトは入れない。コーンビーフよりも作るのに手間がかかるので、西海岸では美味しいパストラミ・サンドはそれだけで希少価値です。 さて店内は土地柄のせいか、独特の雰囲気。壁画のせいかもしれませんね。フレンドリーだけどピアスやタトゥーがたくさんの店員さんがサーブしてくれました。店の奥には通好みのレトロな看板が...と思ったら、真ん中に飾られているのはラスベガスによくある結婚式用ドライブスルーのチャペルの看板のパロディで、同性婚のものでした。よく見れば店内にいるほとんどのお客は同性同士。友達なのかもしれないし、ひょっとしたら全員が同性カップルなのかも。町のキャッチフレーズ「宇宙の中心」(Center of Universe)と共に、なかなかエキセントリックな感じです。 さて、注文したのはもちろん名物のパストラミ・サンドイッチ。 余分な脂が落ちて柔らかく仕上がったパストラミの味わいはもちろんのこと、ライ麦の風味を残しながら強いアクが感じられないパンも美味しく、添えの自家製のポテトチップも絶品でした。さすが名物です!ジューイッシュ・デリの名の通り、ベーグル系やスープ系なども美味しそうで、長年この場所で評判を得ているのがよく分かるお店です。メニューの豊富さでも有名なロキシーズ・ダイナー、リンクをつけますので、ぜひ直接ご覧になってください! 【データ】店名:ロキシーズ・ダイナー(Roxy's Diner)住所:462 N. 36th St. Seattle, WA 98103TEL:(206) 632-3963営業:毎日7:00〜17:00URL:http://www.pastramisandwich.comメニュー:http://bit.ly/2dhVb1Y Eko夫の転職に伴い渡米、シアトルに住み着いて、気が付けば20年になりました。仕事、子育て、学業と突っ走って来ましたが、2011年3月の震災をきっかけに、微力ながら復興のお手伝いをさせて頂いています。長年住んでいるからこそ知っている昔話など交えつつ、大人の、または家族で、そして子供向けと、シアトルの色々な楽しみ方をお届けします!