ヨルダンの首都、アンマンから北へ約50キロ、バスで1時間ほどのところにあるジェラシュ。ヨルダンの遺跡といえば、映画、インディ・ジョーンズに登場するペトラ遺跡が有名ですが、ここジェラシュにある古代ローマ遺跡も、見逃せないひとつです。
ジェラシュの遺跡とは、ローマ帝国の十都市同盟、デカポリスのひとつであった「ゲラサ」と呼ばれた古代都市の遺跡。何世紀もの間、ゲラサは土に埋まっており、ここ70年余りで発掘されました。ジェラシュは、都市がまるまる遺跡として残っており、その姿からイタリアのポンペイ遺跡になぞらえられ、「中東のポンペイ」とも呼ばれています。そんなジェラシュの遺跡で、まずはじめに出迎えてくれるのは、立派な構えの「ハドリアヌス帝の凱旋門」。
ローマ帝国のハドリアヌス帝がゲラサを訪れた際に建てたといわれるその凱旋門を通り抜けると、まっすぐと延びた道が続いており、その道の脇には広い「競馬・戦車競技場」の跡が残っています。
凱旋門から続く道を進んで行くと、再び姿を現した門、「南門」。
この南門をくぐると、そこはまるで、古代都市。丘の上にそびえる「アテネ神殿」をはじめとする、巨大な遺跡群が姿を現します。
そんな遺跡に目を奪われながら足を進めると、たどり着くのが「フォルム」と呼ばれる場所。思わず広場の中央に立って、辺りをぐるりと見回したくなるような、柱で周りを囲まれた円形広場です。
フォルムの中を通り抜けると、続いては迫力満点の巨大な柱が並ぶ「列柱通り」に突入。遺跡の北に位置する「北門」まで続くこの通り沿いには、「大聖堂」や「ニンファエウム」といった、映画のセットに迷い混んだような気分を味あわせてくれる、これまた巨大な遺跡がところどころに姿を現します。
そんな巨大な遺跡を見上げたり、近くに寄ってまじまじと見たりしながら北門まで歩き、
今度はここまで来た時とは別の道を通って、南門まで戻ります。その道のりには、しっかりとした形で残る「ローマ劇場」も。劇場の座席に腰を下ろし、この遺跡の作られた時代の人間になったつもりで劇場のステージを眺めてみたり、上段の座席の位置まで階段で上がり、高い位置から遺跡の全景を眺めて見るのもオススメです。
ローマ劇場の後も、今なお床に描かれていたと思われる模様が残る「教会跡」など、遺跡内には見所がたくさん。
ここジェラシュの遺跡の魅力は、なんと言ってもその保存状態の良さ。古代の街が、まるまる現在にタイムスリップしてきたかように形を残す遺跡たち。その中を歩いてまわっていると、まるで自分自身も古代ローマ時代にタイムスリップしたような気分を味わえます。
古代ローマ時代の空気を、21世紀の現在に伝えるヨルダンにある遺跡、ジェラシュ。ぜひ、そんな遺跡の中を歩いて探検してみてはいかがでしょうか。
【データ】
・遺跡名:ジェラシュ(Jerash)
・住所:Jerash, Jordan
・Tel:02-635-1014
・営業時間:AM7:00頃〜日没まで ※季節により異なる