ベルギー北部、オランダとの国境に近い町アントワープの郊外に、リロという集落があります。かつては要塞だった場所で、星型に村を囲む壁が、当時の様子を物語っています。そこが今、ベルギーにおけるポケモンGOの聖地になっています。 村の人口は35人だそうですが、ポケモンGOのリリース後、レアポケモンが出るという噂が人まり、連日多くのポケモントレーナーが村外から訪れるようになりました。週末にもなると、あふれんばかりの人で賑わっています。ポケストップが3つ並ぶ村内の短いメインストリートは、多くの人がスマホの画面を見ながら歩いています。特に今まで夏休みだったこともあり、多くの親子連れが来ていました。 リロへはバスや列車といった公共交通機関がありません。アントワープ中央駅からは約20km。行き方は徒歩か自転車か車になります。車なら30分、自転車なら1時間で到着します。アントワープ中央駅を起点とした場合、駅にはレンタカー会社もレンタサイクルもあるため、どちらも選べます。 村内は広場に教会が1つと、博物館が1つ、レストランがあります。村内は歩いて10分ほどで一巡りできるコンパクトさです。北海とつながるスヘルデ河口の港町であるアントワープにとって、その出城のような場所に位置するリロは、アントワープ防衛にとって大切な場所でした。そのため中世から近代にかけて、リロは何度か戦場にもなりました。しかし時は流れ、かつての星型の砦の様子は確認できるものの、今ではアントワープを中心とした港湾工業地区における埋立地の一部になっています。 ポケモンGOによる混雑がいつまで続くか分かりませんが、歴史的にも興味深い場所です。体力がある人はサイクリングがてら、アントワープから足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。【データ】名称:リロ・ポルダー博物館(Poldermuseum-Lillo)住所:Tolhuisstraat 10 - 16 2040 Antwerpen - LilloURL:http://www.poldermuseum-lillo.be/営業時間:13:00〜18:00(イースターから9月30日の日曜および祝日のみ)入館料:2.50ユーロ 加藤 亨延ジャーナリスト。日本の雑誌に海外事情を寄稿。専門は日・英・仏の比較文化。ロンドンにて公共政策学修士を修了後、東京で雑誌、ガイドブック制作に携わる。2009年9月よりパリ在住。取材などで訪れた先は約60ヵ国800都市。現地コーディネートも担当。趣味は飲物。各国蔵元とミネラルウォーターの源泉へ足を運ぶことがライフワーク。フランス/パリの旬の話題を中心に更新していきます。ご連絡はこちらまで。