スーパーやドラッグストアのチョコレート売り場に行くと、いかにもアメリカっぽい原色のパッケージが多い中、白を基調にしてちょっと目を引くチョコレートがあります。シアトル発、全米で初めてフェアトレードチョコレートの製造販売を始めた「テオ」のチョコレートです。お酒のお供に美味しいカカオ含有率の高いリッチなものから果物やナッツ、ミントなどのフレーバーチョコまで手広く扱っていますが、その製造工程すべてを見られる工場見学に行ってきました。 アーティストが多く住み、おしゃれなカフェやショップ、パブなどが集まるフリーモント地区にあるテオの工場は意外と小さな建物で、何やら歴史を感じさせるレンガ造り。バンガロー風の住宅が立ち並ぶ中にありました。向こう側にはワシントン湖から海へ通じる水路があり、町なかとは思えない雰囲気が漂います。ツアーは毎日11時から、所要時間は1時間ほど。申し込みはあらかじめネットでするようになっていて、入ったところにある受付で申し込んだ名前を言います。平日にもかかわらず昼過ぎまで満員になっているほどの人気ぶりでした。 設けられた見学順路をたどるのではなく、本当に工場の中に入るので、受付を済ませた時点でヘアネットを渡されます。ヒゲのある人にはマスクのようなマスタッシュネットも渡されていました。また、入る前に粘着ローラーで全身のホコリを取る決まりになっています。 受付の脇にある注意書きには禁止事項が書いてありました。割れ物の持ち込み、ビデオ取りやカメラフラッシュ、香水、ピンヒール、毛皮は禁止です。また写真は許可のあるところ以外では撮影しないようにとのことでした。 時間が来てツアーガイドに招き入れられるままに入室すると、ジャングルを思わせるような濃い緑色に塗られた壁に、コンゴやコスタリカ、ペルーなどカカオ豆の原産地で撮影した職員達や畑の写真が掲げられています。 部屋の反対側にはベンチがあり、ここで会社の成り立ちやチョコレートの製造工程の説明を受けます。壁に飾られているのはその製造工程をテザインしたものです。 説明を聞きながらチョコレートの試食をします。「テオ」はフレーバーチョコの種類が多いのでも有名ですが、ただ味が加えてあるのではなくチョコレートの味といい具合に融合しあい、互いに引き立てあっている感じがします。人気のフレーバーを取り揃えてありますが、自分では勝ったことのない種類もお試しできます。思いがけず新しいお気に入りが見つかるかもしれません。 説明と質疑応答が終われば工場の中へ入ります。茶色のドアの向こうはガラス張りの見学室です。 先ほどの部屋で説明を受けた工程通り、いくつものロースターがフル回転しているのを見学します。この日はペルーからカカオ豆が到着したとのことで、大きな袋を満載したフォークリフトが忙しく行き来していました。 さて、写真撮影が許可されているのはここまで。というのも、ここからガラス張りの見学室を出て工場の中を通るからです。現場に一歩入ると熱気と湿度、それにほのかに酸っぱい香りが漂っていました。カカオ豆は取り入れたらまず発酵させるので、その香りが残っているからだという説明を受けました。その工場を通って案内されたのはキッチンでした。白いタイルを基調とした部屋で、特に印象に残ったのは何人もの人達がフレーバーチョコに使う食材をまな板の上で包丁で刻んでいるシーンでした。この時にはやっていませんでしたが、チョコレートの温度調節をしてツヤを出すテンパリングをするための大理石の台もたくさん用意されていて、手広く経営をしながらも職人の手仕事を大切にしている様子が伺えました。 キッチンの見学でこのツアーは終わり、工場併設のギフトショップに入ります。他の店では見られない本店ならではの品揃えで、目移りの連続でした。レジの前には試食用のチョコレートが並び、その脇には「チョコレートをよりよく味わって頂くために」と用意されたコーヒーが。これをブラックで飲むと甘味が中和されてまたチョコが食べたくなるようになっています。 このツアーは毎日10時半から、1日に6回ほど行われます。土日は工場自体がお休みで職人さん達の働く様子も見られませんので、ぜひ平日に行っていらしてくださいね。 【データ】名称:テオチョコレート(Theo Chocolate)住所:3400 Phinney Ave N, Seattle, WA 98103TEL:(206)632-5100営業時間:10:00〜18:00URL:https://www.theochocolate.comツアー:ホームページ(https://www.theochocolate.com/factory-tours)より申し込み1人10ドルの入場料は当日受付にてお支払いくださいバスは複数路線が通っていますので、メトロバスのプランナー(http://tripplanner.kingcounty.gov)にてご確認ください Eko夫の転職に伴い渡米、シアトルに住み着いて、気が付けば20年になりました。仕事、子育て、学業と突っ走って来ましたが、2011年3月の震災をきっかけに、微力ながら復興のお手伝いをさせて頂いています。長年住んでいるからこそ知っている昔話など交えつつ、大人の、または家族で、そして子供向けと、シアトルの色々な楽しみ方をお届けします!