雑誌でもネットでも、シアトルのベスト・ブレックファスト特集が組まれると必ず3位以内に入るのが、今回ご紹介する「ジェラルディーンズ・カウンター」です。シアトルからはセーフコ球場のあるSODO地区からもう少し南、コロンビアシティーと呼ばれる、ちょっとオシャレな雰囲気の地域にあるお店です。朝早くから開いている店なのに並ばずに入れた試しがなく、店先に必ずお客が立ち待ちをしています。でもそれは順番で呼ばれるのを待っている人達。店に着いたらまずその人達を通り過ごして店内に入り、すぐのところにある小さなテーブルに置いてある待ちリストに名前と人数を書き込みます。リストにはカウンター席でもいいかどうか、チェックする箇所があります。オーナーが目指すアットホームな雰囲気のためでしょう、小さな子供や赤ちゃん連れの家族客が多く、テーブル席やブース席を希望するグループの方が多いので、カウンター席の方が回転がよく早目に座れます。 ジェラルディーンズの朝食メニューで特に有名なのが、フレンチトーストです。外側が香ばしくカリッとしているのはもちろんですが、中はそれほどフワッとしているわけではないのに柔らかく味のある逸品になっています。フレンチトーストだけは大嫌いという人を唸らせ、病みつきにさせる絶品です。 もう一つはフワフワのパンケーキ。アメリカの昔ながらのおふくろの味という感じです。日によってタネがバターミルクだったりオートミール入りやそば粉入りだったりします。パンケーキとフレンチトーストはメープルシロップ付き、そしてトッピングが日によって変わります。今までに当たったのはストロベリー、ブルーベリーコンポート、シナモンアップルです。 トッピングされたピコ・デ・ガヨ(トマト、玉ねぎ、唐辛子、パクチーなどで作るメキシコ料理の調味料)のためにメキシカンな味わいのジェラルディーンズ・キャセロール。キャセロールはチーズやソースをかけてオーブンで焼いた料理のことです。中身は卵、ソーセージ、ポテトを生クリームで和えてあってボリューミー。トーストと一緒にいただきます。 そして最近ハマッているのが、こちらのカウンター・スペシャルです。角切りのコーンビーフが入ったハッシュドポテトに卵2個を注文に応じて料理してくれます。スクランブルや目玉焼きもいいのですが、いつもポーチドエッグを頼んでしまいます。ハッシュドポテトは普通はジャガイモですが、ここのはスイートポテトも入り、パプリカの甘さとコーンビーフの塩辛さが一緒になって、甘塩っぱファンにはこたえられません。 このお店は10年ほど前から営業していますが、昔は街角のドラッグストアだったようです。化粧室に続く廊下に、昔の写真が展示してありました。 こちらが当時の店内。映画に出てくる昔々のドラッグストアさながらです。こういうカウンターがあってアイスクリームを食べたりソーダを飲んだりというのがノーマン・ロックウェルの作品にもよく出てきますね。 この昔の写真を見てからは、色は塗り替えられても当時の建物を残す店頭が懐かしく思われます。オーナーが、自分達が子供の頃にお母さんがこしらえてくれた家庭料理をと始めたレストランで、店員さん達もみんな親切です。中心街からは少し外れますが、ライトレールの駅からは近いのでダウンタウンからも空港からも便利です。ぜひ行ってみてくださいね! 【データ】店名:ジェラルディーンズ・カウンター(Geraldine’s Counter)住所:4872 Rainier Avenue South, Seattle, WA 98118TEL:(206)723-2080URL:http://geraldinescounter.com営業時間:火曜〜金曜 7:00〜23:00、土曜〜月曜 8:00〜15:00行き方:Linkライトレールでコロンビアシティー駅下車、徒歩8分 Eko夫の転職に伴い渡米、シアトルに住み着いて、気が付けば20年になりました。仕事、子育て、学業と突っ走って来ましたが、2011年3月の震災をきっかけに、微力ながら復興のお手伝いをさせて頂いています。長年住んでいるからこそ知っている昔話など交えつつ、大人の、または家族で、そして子供向けと、シアトルの色々な楽しみ方をお届けします!