ダウンタウンからシアトルセンター行きのモノレールに乗ると、終点直前でその中を通り抜ける曲線だらけの建物。不可思議な造形で有名な音楽ミュージアム、EMPです。
今はその中に別室のように設けられているのが、今回ご紹介する「SFとファンタジーの殿堂」(Science Fiction and Fantasy Hall of Fame)です。創設された当初は「SFミュージアム」として別館であったものが何度か名前を変え、現在はEMPの中の展示の一部として「サイエンス・フィクションの無限の世界」(Infinite Worlds of Science Fiction)という名称になっています。
常設展示にはこのサインの前を階下へ降りるようになっていて、外玄関を入ると、そこにあるのが「SF&ファンタジーの殿堂」です。
この「殿堂」は1996年にカンザス市のSF&ファンタジー団体とカンザス大学によって創設されたのを2004年にシアトルが引き継いだものです。その年にはまだここはSFミュージアムだったため、その後数年はSF関係者以外の殿堂入りは途絶えていましたが、2013年に元からの名称を復活させ、様々な形でSFの世界に貢献した人、ファンタジー関係の人々も選出されることになりました。
その2013年に新たにSF作家以外で殿堂入りして話題になったのが、イギリス・ファンタジーの父とも言われるJ・R・R・トールキン、そして「ジギー・スターダスト」「スペース・オーディティ」などで生涯SFやファンタジーに貢献したデヴィッド・ボウイでした。
そして翌年、2014年には宮崎駿監督も殿堂入りしています。
さて、ここを通り抜けて次の入り口を入ると、そこには懐かしいSF映画のコレクションが陳列されています。まず正面で目に入るのが、「ターミネーター」一作目で使われ、アーノルド・シュワルツェネッガーが演じたT800。また、奥の壁にはオリジナルの「ゴーストバスターズ」の展示が。
でも「ターミネーター」「ゴーストバスターズ」はコレクションの中でも新しい方で、実は1960〜70年代のものが多いことに気づかされます。
上の写真の再現されたコクピットではワープ操法が体験できるので子供達に人気でしたが、初代のテレビシリーズのものなので、コントロールパネルなどもいかにもレトロで懐かしさが漂います。日本で言う「昭和の香り」という感じです。
ここがSFミュージアムとして開館した時、発起人にはスティーブン・スピルバーグ、レイ・ブラッドベリ、ジェームズ・キャメロン、そしてジョージ・ルーカスとそうそうたるメンバーが顔を揃えました。
当時のコレクションの中にはテレビシリーズ「宇宙大作戦(スター・トレック)」のカーク船長の椅子、「宇宙家族ロビンソン」に出てくるロボット、先のターミネーターT800、スター・ウォーズのデス・スターの模型やディズニー映画「ウォーリー」がそのオマージュと言われる映画「サイレント・ランニング」の温室ドームなども含まれており、名実ともに「SF博物館」を作ろうとする息込みが感じられて、愛好家にはこたえられない展示になっています。
どうぞEMPにいらっしゃる折には、ぜひこちらの展示の方へも足を伸ばしてみてください。未来世界を描いたはずの作品群の懐かしさ、子供の頃に戻ってあのワクワクを、きっとまた感じられることと思います。
【データ】
名称:SF&ファンタジーの殿堂+サイエンス・フィクションの無限の世界
(Science Fiction and Fantasy Hall of Fame+Infinite Worlds of Science Fiction)
住所:325 5th Ave N, Seattle, WA 98109
TEL:(206) 770-2700
URL:http://www.empmuseum.org/at-the-museum/current-exhibits/infinite-worlds-of-science-fiction.aspx(Infinite World of Science Fiction)
:http://www.empmuseum.org/at-the-museum/museum-features/science-fiction-and-fantasy-hall-of-fame.aspx(Science Fiction and Fantasy Hall of Fame)
開館日時:毎日10:00〜17:00(祝日休業あり)
料金:EMPの入館料に含まれる
大人$25 シニア(65+)$22 学生$22 子供$16 4歳以下無料
Eko
夫の転職に伴い渡米、シアトルに住み着いて、気が付けば20年になりました。仕事、子育て、学業と突っ走って来ましたが、2011年3月の震災をきっかけに、微力ながら復興のお手伝いをさせて頂いています。長年住んでいるからこそ知っている昔話など交えつつ、大人の、または家族で、そして子供向けと、シアトルの色々な楽しみ方をお届けします!