ラマダン(断食月)まっただ中のアラブ首長国連邦はドバイからこんにちは!イスラム教徒の人々は日の出の午前4:00頃に断食を始め、日の入りの午後7:10頃断食が終了する日々を送っております。日々の断食が終えて最初にとる食事のことを「イフタール」と呼びます。
断食の始めと終わりの時間(=イフタール開始時間)は月の満ち欠けによりますので毎日数分ずつずれがあります。イスラム教徒の多い国は世界中にあり、国によっては実際の日の入り時間に関係なく「18時に断食終了!イフタール開始!」と決めている国もあるそうですが、アラブ首長国連邦の場合は実際の日の入り時間を厳密に観察・確認しイフタールを開始します。
ここで気になるのが、一般の人々は「どのようにイフタールの時間を知れるの?」ということ。まさか望遠鏡で太陽を観察するわけにはいきませんよね。
答えはなんと、"大砲の爆発音"が合図なのです!
月の観測委員会(Moon Sighting Committee)が日没を確認すると、町中に設置された大砲を慣らし町中に日没=イフタール開始を知らせます。この大砲のことは英訳通り「ラマダン キャノン(Ramadan Cannon)」と呼ばれます。
大砲はドバイ内の各地に設置されており、日没前になると担当の警察官達が準備を始めます。
準備というのは主に...
1.周辺の安全確認
2.金色の弾をセット
3.スイッチを入れる
4.爆音が鳴り響く
この4ステップです。この、2から4までの時間が短いこと短いこと...!観覧する方は覚悟して目を見開いていないと一瞬で終わりますよ!
衝・撃!
この一言に尽きます...
「20mは離れて見てください」と新聞に書かれていましたが...私の認識が甘かった。初めて聞く爆音(しかも予想外に準備が早く不意打ち)に耳が胸が背骨がしびれました。
誰よりも近い距離でど迫力な爆音を聴いた担当の警察官の方々は、その場でイフタール開始です。断食しながらの日々の業務、本当にお疲れさまです。あまりの衝撃に体がしびれた私はその後しばらく体が硬直していたのに...訓練による慣れなのか、余裕綽々な警察の方々のご様子もまたお見事でした。
後から知りましたが、この大砲は10km先まで聞こえるそうです。今では慣れてきましたが、ドバイに移り住んだ当初は夜7時を過ぎた頃に突然鳴り響くこの爆発音に驚き、でも何の音なのか分からず「工事現場で事故でもあったのかな〜」なんて思っていました。
さて、この伝統的な大砲が設置されている場所をお伝えします。(2016年版)
・Al Mamzar Park
・Deira
・Al Karama
・Downtown BurjKhalifa(ドバイファウンテンが開催される人工池周辺)
・Jumeirah Beach Residence(マリーナ地区ザ・ウォークにあるカフェPaul周辺)
観光でいらっしゃる方は、Downtown BurjKhalifaかJumeirah Beach Residenceが交通の便とその前後の観光を考えるとお勧めです。
もちろん、ここまで出向かなくても日没頃耳を済ませていれば「ドーン」という音が聴こえますよ。そしてその後、お祈りが鳴り響きます。大砲とお祈りが流れ、人々が一斉に食事を始めるこの光景はラマダン期間の風物詩ですね。
最後に...
本当に爆音です。至近距離で見ようとしている人も多くいますが、日本の日常生活では聴いたことの無い爆発音です。お子さまや衝撃に弱い方は十分距離をとるか館内から見られることをおすすめします。私は二度目以降は、一度目の反省をもとに耳をふさいで見ることにしました。十分注意を払って異文化を楽しんでくださいね!
サリー
アラブ首長国連邦はドバイで暮らしています。超高層ビルが立ち並び、200以上の人種が暮らすドバイ。ふと横に目をやると、モスク。そして町の奥には砂漠。近代と昔ながらが混在する国際都市ドバイから、面白いアラブの世界を紹介します。