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ワーグナー作品の上演で世界的に定評のあるシアトル・オペラ

   
Eko
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主役のグリア・グリムスレイ、ヒロイン役レベッカ・ナッシュと

クラシック音楽を聴かない人でも知っている「ワルキューレ」で有名な「ニーベルングの指環」や「ローエングリン」などを作曲したリヒャルト・ワーグナーのオペラは、その重厚長大さで他のオペラとは一線を画す存在です。

何しろ「ニーベルングの指環」なんて4日間、合計で約15時間かかる壮大なものですから。

その壮大なオペラを毎年夏に上演するのが、ドイツのバイエルン州にあるバイロイトにワーグナー本人が創設したバイロイト音楽祭です。

音楽祭が催されるバイロイト祝祭劇場は他の目的で使用されることはなく、オペラファン、特にワーグナーのファン(ワグネリアン)からはワーグナー上演の総本山と見なされています。郵送受付で抽選になるチケットの入手は極めて難しく、数年越しで申し込んでハズレ続けている人もいるとか。

でも長い長い演目をかけられるオペラハウスもそうそうありませんから、しっかりとワーグナーを堪能したい人達にとってバイロイトは憧れの場所、チケットを入手出来て音楽祭へ行けることを「バイロイト詣で」と呼ぶ節もあるほどです。

ところがその最も壮大な「ニーベルングの指環」を上演しちゃったのがシアトル・オペラです。
アメリカでは戦前の1939年にニューヨーク・メトロポリタン・オペラが通しで演って以来途絶えていたのを、1975年に全幕4日間上演し、一躍話題になりました。

それ以来1983年まで毎年2回、オリジナルのドイツ語バージョンとアメリカの観客に分かりやすい英訳バージョンを上演し、英訳のほうでは新たなファンを開拓したと評価されています。

滅多に見られない4日続きのオペラ、バイロイト音楽祭と違って普通にチケットが入手出来ることから、当時はシアトル・オペラに世界中からファンが訪れたのだとか。今は数年に1度の上演ですが、そんな背景から、シアトル・オペラのワーグナー上演は「指環」以外のオペラでも一目置かれる存在です。

さて前説明が長くなりましたが、今回のシアトル・オペラでは、バイロイト音楽祭で上演される作品の中でも一番初期の「さまよえるオランダ人」を観てきました。

私個人の注目点は2つ。
1つは、この3月に東京の新国立劇場でのオペラ「サロメ」でヨハナーンを演じたバス・バリトン歌手、グリア・グリムスレイが主役のオランダ人を演ずること。グリムスレイはシアトル・オペラが「指環」を上演する時には神々の長・ヴォータンを演ずる立役者です。

今やアメリカを代表するバス・バリトン歌手のひとりグリムスレイ

もう1つは、セットを楽しむこと。
ワーグナーの作品では内容に合わせて完璧な風景描写で壮大なステージセットを組む場合と、必要最小限の小道具で簡素に仕上げ、観客の想像力をかきたてる「新バイロイト様式」と呼ばれるセットの場合があります。

「新バイロイト様式」は実は戦後の資金不足の頃の苦肉の策で、壮大なセットを好んだ指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンの不興を買い、けんか別れの原因となったほどですが、なんとなく和の侘び寂びに通じるものがあって私は好きです。

ワクワクしながら幕が開いてみたら、ステージ・イン・ステージというか、全体に角度をつけて持ち上げた舞台が現れてまわりの人達もハッとしたのがわかりました。

上に見えているのは字幕、ステージの角度が不安感をあおります

「さまよえるオランダ人」にはインターミッションが無く、2時間余りを通して上演されます。途中で幕を下ろしたりすることなく、この斜めの舞台上で真ん中の歯車や照明、椅子などを駆使し、貿易船と幽霊船の2隻、波止場、糸紡ぎの仕事場、屋敷、結婚式場の全てが表現されました。

嵐をやり過ごし岸へと帆を操る乗組員のコーラス

よく家のリフォーム番組などで、ほんの少しの傾斜でもあると原因不明で具合が悪くなるなどと言いますが、2時間余り、角度のある舞台を走りまわりながら力一杯歌うのは、身体的にとても大変だっただろうと思います。
ワーグナーの作品は特にドラマチックに歌い上げる旋律が多いので、なおさらです。

別の角度から。客席から帆が見えてすごい臨場感でした

「さまよえるオランダ人」は、神の怒りを受け永遠に海上をさまようことになった船長が、7年に一晩だけ上陸を許される折、乙女から変わらぬ愛を約束されれば呪いが解け浄化されるという民俗伝承に基づいた物語です。

7年ぶりに上陸出来るという日に海上でヒロインの父親と出会ったオランダ人は、財宝を差し出して娘との結婚を承諾させてしまいます。その娘は母親の昔語りからそのオランダ人船長に恋してしまい、自分こそが呪いを解いてあげられると信じています。

肖像画のオランダ人に恋焦がれるヒロイン、ゼンタ

父親に誘われた船長と娘は出会い、結婚式への運びとなりますが、以前その娘と付合っていた狩人の出現で娘を信じられなくなった船長はそのまま出帆。それでも船長を愛する娘は自らの死をもって船長の魂を浄化し、2人揃って天国へ召されます。

ゼンタとオランダ人の結婚式シーン・乗組員と彼女達のコーラス

グリムスレイは以前にプッチーニ作「トスカ」でヒロインに横恋慕する警視総監スカルピア役を見たことがありますが、今回はそれに増して力強く、永遠の時をさまよい続ける苦悩がよく感じられました。

また、これだけ簡素な舞台セットでこれだけの表現ができるのは、さすがワーグナーのシアトル・オペラだと改めて感嘆させられました。

2015〜2016年のシーズンはこの「さまよえるオランダ人」で終わりですが、来季、2016〜2017年のラインナップはもう発表されています。一番安いチケットは25ドル、またシニア料金や学割、40歳以下のファンへの特割もありますので、シアトル・センターをご訪問がてら、芸術に身を任せる一夜を堪能なさってみてはいかがでしょうか。

また、10月には東京・新国立劇場にグリア・グリムスレイが「ワルキューレ」のヴォータン役で再び登板します。そちらもぜひチェックしてみてくださいね!

【データ】
シアトル・オペラ(Seattle Opera)
住所:McCaw Hall, 321 Mercer St, Seattle, WA 98109
TEL:(206)389-7676 もしくは(800)426-1619(フリーダイヤル)
URL:http://www.seattleopera.org

2016/17 シーズン・ラインナップ
8/6〜8/20「オリー伯爵」(ロッシーニ作)
10/15〜10/30「ヘンゼルとグレーテル」(フンパーディンク作)
1/14〜1/28「椿姫」(ヴェルディ作)
2/25〜3/11「カーチャ・カバノヴァ」(ヤナーチェク作)
5/6〜5/20「魔笛」(モーツァルト作)

Eko

Eko
夫の転職に伴い渡米、シアトルに住み着いて、気が付けば20年になりました。仕事、子育て、学業と突っ走って来ましたが、2011年3月の震災をきっかけに、微力ながら復興のお手伝いをさせて頂いています。長年住んでいるからこそ知っている昔話など交えつつ、大人の、または家族で、そして子供向けと、シアトルの色々な楽しみ方をお届けします!

    

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