ヒースロー空港には、今でも一機のコンコルドが停まっています。これはブリティッシュ航空が所有していた10機のひとつです。 1969年に初飛行したコンコルドは、ロンドン〜ニューヨーク間を3時間で飛行した超音速旅客機。ブリティッシュ航空による航行は、2000年に起こったフランス航空の事故や高騰を続ける運行コスト、利用者の減少などが原因で2003年10月24日を最後に完全停止。驚異的なスピードを誇ったコンコルドは合計20機が生産され、その開発・製造を担ったイギリスとフランスで半分ずつ所有していました。商業的には大成功ではなかったものの、航空史に輝く金字塔であるのも事実ですよね! そして現在では、ブリティッシュ航空所有の10機はこのヒースロー空港以外にもマンチェスター空港やブリストルにあるフィルトン空港、それに各地の博物館などに展示されています。 実は「ブルックランズ・ミュージアム」にも、一機あるんですよ。何故ならここはモーター・レースのサーキット閉鎖後、航空機制作の工場にも利用され、コンコルド開発の一部も担当していたから。 希望者は中に入って、客席とコクピットの見学や飛行シミュレーション等もできます。 もう二度と大空を羽ばたく事のない怪鳥がひっそりと佇む姿には、特に航空ファンでない私が見ても感慨を誘うものがあります。また実物以外にも、ちょっと小ぶりなコンコルドも展示されています。これはヒースロー空港ターミナル1・2・3に向かう道路のラウンダバウト(環状交差点)の真ん中で、空港利用者を出迎えていた模型です。 今では同じ場所に、エミレーツ航空機の模型が据えられていて・・・。 約50年前に華々しくデビューしたコンコルドが今では歴史上の存在となったのも、ヒースロー空港の玄関をアラブ首長国の航空機が飾っているのも、時代の変遷。これからも変わり続ける世界での、ほんの一例なのだと思います。【データ】ブルックランズ・ミュージアム(Brooklands Museum)住所:Brooklands Road, Weybridge, Surrey KT13 0QNTel:01932 857381 (内線221)営業時間:夏 AM10:00〜PM5:00冬 AM10:00〜PM4:00URL:http://www.brooklandsmuseum.com/ 小野 雅子ロンドン西郊外に住む会社員、職場はヒースロー空港周辺です。在英20年以上の経験値を発揮して、初めてイギリスへいらっしゃる方にも興味深く分かりやすいロンドン観光&生活ガイドとしてお役に立てれば…と思います。個人ブログ「ロンパラ!」はこちら♪