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季節外れは重々承知 〜それでも食べに行きたい夏だからこその牡蠣料理

   
八田 靖史
八田 靖史
 
忠清南道保寧市は牡蠣の名産地。これを用いた牡蠣ごはんが有名

俗に「Rのつかない月は食べるな」と言われる牡蠣。RがつかないのはMAYからAUGUSTまでの5〜8月ですから、要するに秋から春にかけての食材ということです。中でも寒い時期の牡蠣がもっとも美味しく、韓国における旬も11〜2月ぐらいとされています。主な食べ方としては、生牡蠣、牡蠣の和え物、焼き牡蠣、蒸し牡蠣、牡蠣のチヂミ、牡蠣のクッパプ(スープごはん)といったあたりで、写真のクルバプ(牡蠣ごはん)もそのひとつですね。先日、忠清南道の保寧(ポリョン)という町で食べたものですが、タイミングとしてはRのつかない5月(MAY)。本来、季節外れなので、わざわざレポートをするにはふさわしくないのですが、意外な発見がありましたので夏の牡蠣を語ります。

ごはんの器にはモヤシ、ホウレンソウ、ヒラタケのナムルが入る

今回足を運んだのは「トガーデン」というお店。注文ごとに1人前ずつ釜炊きするクルバプは、お店の人がナムルを入れた器に取り分けてくれます。牡蠣の香りがふわーんと漂ってくるのは言うまでもなく、しゃもじを突き入れるたびに牡蠣がごろごろ出てくるのはワクワクしますね。全体にやや小ぶりではあるのですが、これはすべて天然物を使用しているから。韓国で牡蠣というと南海岸での養殖が大成功しているのですが、忠清南道の西海岸では岩肌に貼り付いた天然の牡蠣が名物です。

牡蠣のサイズは小指の先ほどから親指全体ぐらいのものまで

と書くと日本でも夏に旬を迎える岩牡蠣を想像されるかもしれませんが、西海岸の牡蠣も本来は冬が旬です。9月下旬あたりから採取が始まって、真に美味しくなるのは11月頃から。季節外れでも食べられるのは冷凍技術の発達が大きく、「トガーデン」ではとれたばかりの牡蠣をマイナス18度で急速冷凍し、それを少しずつ解凍しながら年間を通して提供するそうです。社長さんによれば「中心部がマイナス7度を保てれば味落ちはしない」のだそうです。

牡蠣は身体を冷やす性質があり、温める性質のノビル、ニラと合う

こちらはクルバプとともに用意されるもの。手前にあるのが薬味としてクルバプに足すノビルと栄養ニラの和え物です。春まではノビルだけを用い、夏になったら栄養ニラに切り替えるそうですが、5月は端境期なのか両方入っていました。左上が同じく西海岸の特産品である広川(クァンチョン)産の海苔。右上に薬味醤油があり、右下はオリグルジョッと呼ばれる小さな牡蠣の塩辛です。

栄養ニラ(ヨンヤンブチュ)は一般的なニラより細くて柔らかい

最初はまず牡蠣ごはんをそのままで食べ、ノビルと栄養ニラの和え物を加え、好みによってはナムルと一緒に混ぜて食べてもよいとのこと。どうしても冷凍という先入観とともに食べますが、予想に反してというか、社長の言葉通りというか、食べた瞬間から吹き抜けるように鮮烈な香りは、到底冷凍モノとは思えないものでした。

忠清南道洪城(ホンソン)郡の広川は韓国でも有数の海苔名産地

そして、この海苔との組み合わせがまた絶品でしたねぇ。広川産の海苔といえば韓国でも最高級の扱いを受けますが、その香りがいい具合に牡蠣の香りとシンクロするんですね。そこへ薬味として加えたノビルの栄養ニラの青々とした風味が重なって。その見事な合わせ技に思わず目を見開きました。

オコゲの一部は夜食にどうぞとわざわざ袋に包んで持たせてくれた

隠し味としてエゴマ油を加えているため、ごはんがつややかであるのも魅力のひとつ。そして石釜とエゴマ油のコラボは、パリパリのオコゲをもたらしてくれます。合間でこれをかじるのもオツな楽しみでした。

ムルフェ(冷や汁風の刺身)は白身魚、青魚を用いることが多い

真打登場。確かにクルバプも素晴らしかったのですが、これはいずれ旬に来てもう1度食べたいというのが本音です。急速冷凍の力でまったく変わらないのか、あるいはそれでも旬の地力が上回るのか。また試してみたいと思いますが、このクルムルフェ(牡蠣の冷や汁風刺身)だけは夏に食べるべきものと思いましたね。

汁の中からぷるんぷるんの牡蠣。これを目当てに来る客も多いとか

トンチミ(大根の水キムチ)の汁にほんのりと甘味を加えながら、たっぷりの牡蠣に、ニラ、人参、梨などもどっさり。「牡蠣は冬が旬だけどこれだけは夏がうまいと思うな」という社長の弁に、首が折れるほどうなずきつつ、その清涼かつ爽快な味に酔いしれました。5月といえど30度近い暑さの日に訪れたのは幸運でした。

否が応でも目を引く看板。声を出して「ト〜〜〜〜〜」と読みたい

お店の名前は「トガーデン」ですが、本来は場所、土地を意味する「ト」だけにしたかったとのこと。そのため入口の看板には「ト」とだけ書かれていますが、ずいぶん長く伸ばした文字になっています。これは「ト」を主張し目立たせるとともに、語尾を伸ばす忠清道方言を意識したもの。料理もそうでしたが、いろいろ発想のユニークな社長さんです。僕は冬になったらまた行くつもりですが、あるいは待ちきれずにまた真夏を目指して行ってしまうかもしれません。

【データ】
店名:トガーデン(터가든)
住所:忠清南道保寧市川北面洪保路666(長隠里115)
住所:충청남도 보령시 천북면 홍보로 666(장은리 115)
Tel:041-641-4232

八田 靖史

八田 靖史
1999年より韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。2001年より執筆活動を開始し、最近は講演や、企業のアドバイザー、グルメツアーのプロデュースも行う。著書に『魅力探求!韓国料理』(小学館)、『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品!ぶっちぎり108料理』(三五館)ほか多数。ウェブサイト「韓食生活」を運営。2015年より慶尚北道栄州(ヨンジュ)市広報大使。

    

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