アメリカのアンティークショップでは、日本製の骨董品を見かけることがよくありますが、メリーランド州ボルチモアのハムデン界隈の36丁目の「シャーロット・エリオット」も、古伊万里をはじめ、帯や和装用の小物等も置いていることが多いお店です。ファミリーで経営しているというお店の隣の古本屋さんも居心地良く、ここには通い始めると病みつきになるような興味深い本ばかり。 この日は、この古本屋の方で1947年に刊行された本を4冊セットで購入したのですが、支払いの時、店員さんが、6月4日に開催されるという「アンティーク&ヴィンテージ」の広告を手渡してくれました。この界隈では、常に面白い行事やアートのクラスの広告が出回っているので、黙っていても興味をそそられるイベント情報には事欠きませんが、お洒落なブティックやカフェバーやレストランなどでも、レジのカウンターの店員さんが親切にコミュニティの行事やご近所のイベントに関する情報をシェアしてくれることが多く、コミュニティの結束や温かい地域性が感じられます。 界隈のアンティークやヴィンテージのお店では、ウィンドゥ・ショッピングだけでも十分満足なのですが、先日偶然この通りに鍼灸院を見つけました。 「メンド・コミュニティ・アキュパンクチャー・クリニック(Mend Community Acupuncture)」は、カーテンで仕切られていないひとつの部屋にある治療室で、同時に4人までのクライエントが鍼治療を受けることが出来るようになっているシステムのクリニックです。ワン・オン・ワンの個室での治療は別棟のクリニックで受けることが出来ますが、コミュニティのほうですと、料金は一回$25です。クリニックで鍼治療を受けた後、その数軒先の角に建つ「カフェ・ハン(Cafe Hon)」に立ち寄って軽く食事をすることにしました。 初めて「カフェ・ハン」の前を通りかかった時、2階の屋根まで届くほど巨大なピンクのフラミンゴの装飾が施された外観を見てびっくりしたのですが、お店の入口のメニューをチェックした後、この手のサンドイッチに目がない夫は「ここのルーベン・サンドイッチ(Reuben sandwich)をぜひ食べてみたいな。フラミンゴの飾りなんて、このタイプのバーでは普通だよ。」と言っていたので、次回はここでランチにしよう、と約束していたのです。コンビーフの代わりにライ麦パンにパストラミを挟むこともありますが、いずれの場合も、ルーベン・サンドイッチは二ューヨークでは定番のサンドイッチとして数えられています。この日、初めて入る「カフェ・ハン」の入り口のドアを開けて二度びっくり。中にはエルビス・プレスリーのフィギュアリンが立っているではありませんか。ぎょっとしたにも関わらず、思わずエルビスの横に立ち記念撮影をしてしまいました。 このお店の名前の由来の「カフェ・ハン(Hon)」についてですが、英語で「ハン(hon)」とは「ハニー(honey)」同様、夫婦や恋人同士の間で使われる呼び方ですが、カップル以外の間でも親しみを込めてよく使われます。夫は私を呼ぶ時「ハン」をよく使いますが、義母が私に話しかける時には、よく「ハニー」を使います。また、アメリカの庶民的なレストランでは、サーバーの女性に「ハニー」とか「スィーティー(Sweetie)」などと呼ばれることもあります。 この日私は、トマトベースの野菜たっぷりの「メリーランド・スタイル・クラブ・スープ(蟹のスープ)を、夫は「ルーベン・サンドイッチ」をオーダーしました。このお店のルーベンサンドはパストラミではなく、ライ麦パンにコンビーフ、ザワ―クラウトというキャベツの漬物、スイスチーズ、ドレッシングを挟んだスタイルでした。私は蟹のスープに大満足。夫もサンドイッチが気に入ったようです。 食事が終わってお勘定を済ませようとすると、サーバーの女性が、親しげに「洗面所にある大きな写真見た?あの女の子たちのうちの一人は私なのよ。」と話しかけてきました。私は、髪の毛をアップに結い上げてサングラスをかけ、色鮮やかな洋服に身を包んでオープンカーの中からカメラに向かって微笑みかけている3人の女性達のフレーム入りの写真を思い出し、即座に「沢山掛かっていた写真の中で、あの写真が一番気に入った」ことを彼女に伝えました。店内の壁や女性用の化粧室には、髪をビーハイブに結い上げた女性たちの写真が沢山飾られていたのですが、そのサーバーの女性が話していた写真は、とりわけ印象に残っていたのです。 「ビーハイブ(Beehive)」とは、英語で「ミツバチの巣」という意味ですが、1960年代にイリノイ州のマーガレット・ヴィンチ・ヘルト(Margaret Vinci Heldt )さんという女性ヘアスタイリストが開発したのが発祥とされるヘアースタイルも「ビーハイブ」と呼ばれています。オードリー・ヘップバーン主演の映画「ティファニーで朝食を(Breakfast at Tiffany's )」の中で、ヘップバーン扮する主人公のホリー・ゴライトリーがややその髪型に近いスタイルで登場するシーンが出てきますから、もしかすると60年代の初めごろには既に流行し始めていて、その後もっと高さをアピールした「ビーハイブ・スタイル」が定着したのかもしれません。 サーバーのJさんは「これを持って帰って、来月11日と12日のハンフェストを観に来て!最高に面白いの。ビーハイブでクレイジーな女性たちがたくさん集まるんだから!あなたもぜひお洒落して来てよ!」と言って、1枚の広告を手渡してくれました。見てみると、なるほど。トイレに飾ってあったオープンカーの写真を彷彿させるノリノリの画像入りの絵葉書サイズの広告です。帰宅後、早速教えて頂いたウェブサイトを見てみて、画面に登場した女性たちの装束に度肝を抜かれてしまいました。この女性陣に混じって、私がどれだけ60年代風のHonぶりを発揮できるか甚だ疑問ですが、まずは60年代風の白いサングラスと、最低5色はあるパステルカラーのハイソックスと金色の草履さえ探し出すことが出来れば、後はどうにかなりそうです。 【データ】シャーロット・エリオット&ザ・ブックストア・ネクスト・ドア(Charlotte Elliott and The Bookstore Next Door)住所:835-837 W 36th St.Baltimore, MD 21212TEL:410-243-0990メールアドレス:charlotteelliottinc@gmail.comURL:http://charlotteelliottinc.com/URL:https://www.facebook.com/CharlotteElliottInc?ref=hlURL:http://charlotteelliott.blogspot.com/営業時間:日~木曜日11:00~17:00、金・土曜日11:00~18:00 The 2016 Baltimore Antique and Vintage EXPO住所:905 W 36th Street, Baltimore, MD 21211Eメールアドレス:BALTIMOREVINTAGEEXPO@GMAIL.COMURL:https://www.instagram.com/baltimorevintageexpo/メンド・コミュニティ・クリニック(MEND COMMUNITY CLINIC) 住所:1008 W 36th Street Baltimore, MD 21211TEL:443-799-4148URL:http://www.mendacupuncture.com/料金:$25☆初めてのお客様には20%割引のサービスが。ウェブサイトでご確認の上ご用意ください。営業時間:月・火曜日14:00~20:00、水曜日 14:00~19:00、木曜日 10:00~19:00、金曜日 10:00~19:00、土曜日 10:00~15:00、日曜日 12:00~17:00 完全予約制の個室治療(ONE ON ONE)住所:3600 Roland Ave., Suite 4 Baltimore, MD 21211TEL:410-235-1776カフェ・ハン(Cafe Hon)住所:1002 W 36th St Baltimore, MDTEL:410-243-1230(お電話でのご予約受け付けます。)URL:http://www.cafehon.com/営業時間:月~木曜日11:00~21:00、金曜日11:00~22:00、土曜日9:00~22:00日曜日 9:00~20:00、土・日曜日ブランチ9:00~15:00ハン・フェスト2016(HON Fest 2016) 2016年6月11日~12日URL:http://honfest.net/ 舞林鳥 恵80年代後半から日米間を往復する暮らしを始め、現在DCから小一時間の田舎町で夫とのふたり暮らしを満喫しています。カントリーライフの醍醐味をHappyNest in Americaにて配信中。ワシントンDC周辺の観光名所や魅力的な穴場スポットの情報をお届けします。