ベトナム旅行で私が一番楽しみにしていたもの。「南北統一鉄道」に乗っての電車旅。南北統一鉄道は、南のホーチミンから、北のハノイまで全長1,726キロを走っている、ベトナムの国有鉄道である。鉄道ファンの中には始発から終点までを楽しみたい方もいるようだが、実はこの南北鉄道、ホーチミン-ハノイ間で30時間〜40時間もかかる(列車による)ため、下手をすると電車の中で2泊することになってしまい、とてもきつい。私の乗車した区間はベトナム中部のフエ駅から首都のハノイまでの区間。電車に揺られる時間は約15時間だ。列車内での様子もご紹介したいのだが、本日は乗車駅である「フエ駅」の様子をご案内しよう。 ベトナム最後の王朝があった「フエ」。街はバイクと人で溢れ、どこか懐かしい時間が流れる素敵な町だ。日本でいう京都のような町にある駅。さぞかし大きくて賑わっているのだろうと思い駅へ向かうと、そこにあったのは何とも簡素化された駅であった。駅の外も人でごった返すわけでもなく、とても平和な雰囲気。駅の待合室はクーラーはないが扇風機がフルパワーで稼働していた。 チケットの入手方法は、事前にネットで購入してEチケットを発券していく方法もあるが、日本と同じく、もちろん当日購入も可能である。席のグレードは4種類。ハードシート・・・木の椅子(ベンチ)で、背もたれは垂直である。一番安い席だが、長距離の移動には向かない。ソフトシート・・・日本の新幹線の普通席のようなシートハードベッド・・・寝台車で、1部屋に6つのベッドがある。部屋の壁に3段ずつのベッドがあるので、パーソナルスペースはかなり狭い。ソフトベッド・・・外国人が多く利用するのはこちらのタイプだろう。1部屋に4つのベッドがあり、マットレスは柔らかめ、長時間の移動でもゆっくり寝て過ごせるためお勧めである。私たちは、事前にEチケットを発券していたためすぐに待合室でゆっくり電車を待つことが出来た。 長距離の移動で欠かせないもの。スナック菓子やジュース、水。夜発の列車だったためあまり買っている人とはいなかったが、スナック類やナッツ、ドライフルーツ等品数は相当なものであった。電車の中での軽食を買う分には不自由ない様子だ。 電車到着時刻の約15分前に、ベトナム語でのアナウンスがありホームへのドアが開かれる。ホームへのドアと言っても1か所しかなく、待合室にいた全員がそこに吸い込まれていくような感じだ。まだこの時は切符の確認が無いため、お見送りの人もホームまで行くことが出来る。 日本の駅との大きな違いは、号車番号やドアの場所が全く分からない事。自分が乗る号車がどこに来るのかが分からず、とりあえず観光客が集まっているところで待機。また、線路とホームの間に段差がなく、自由に線路内に立ち入ることが出来る。日本では到底考えられない。段差がないのをいいことに、向かいのホームにベンチを見つけたおじさん2人が涼しい顔をして線路を渡り、ベンチに座り電車が来るのを待っていた。ベトナムは夜の風でも温かく、エアコンが効いている電車が来るのを心待ちに待った。日本のようにセカセカした雰囲気はなく、のんびりとした空気の中でボーっと電車を待つ。南北統一鉄道の旅がついに始まるのである。 みみごん旅行が大好きな関西人。学生時代に知った、「バックパッカー」スタイルの旅行がメインです。日本在住のため、日本からも訪れやすい国や地域の情報発信をしていきます!