
ボスニア・ヘルツェゴヴィナの南に位置する世界遺産の小さな町「モスタル」。町にはモスクが建ち並び、ヨーロッパとは思えないようなオリエンタルな雰囲気が漂います。

歴史的、地理的背景より、モスタルには古くからイスラム教徒とカトリック教徒が共存してきました。町にはカトリック教会の他にも、イスラム教のモスクも建っています。

エキゾチックで美しい景色が広がるモスタル旧市街。どこか中東的な雰囲気に包まれた町を歩いていると、ヨーロッパにいることを忘れそうになります。

町のシンボルはネレトヴァ川に架かる石橋「スターリ・モスト橋」。現地の言葉で「古い橋」を意味するこの橋は、町がオスマン・トルコ帝国に支配されていた16世紀に建設されたもの。
橋の西側にはカトリック教徒の住民が、東側にはイスラム系の住民が生活をしており、長い間橋を行き来し平和に共存をしてきました。しかし、1991年に旧ユーゴスラビア内戦が勃発。

民族が入り混じるモスタルも泥沼の戦いに巻き込まれ、多くの住人が命を落し、両民族の平和を見守り続けてきたスターリ・モスト橋も爆破されてしまいました。

そんな悲しい過去を持つスターリ・モスト橋ですが、戦後、両民族の努力により2004年に再建され、町ももとの平和で美しい姿を取り戻しました。

一方で、町はずれには、今でも破壊されたまま放置された建物や、銃弾の跡が残る民家などがたくさん残されています。
美しい街並みを楽しめるだけではなく、私たちにとって大切な何かを教えてくれるモスタル。きっと心に深く残る旅となるはずです。
【モスタルへの行き方】
隣国クロアチアのドブロブニクのバスターミナルからバスで3〜4時間。またはドブロブニクからの日帰りツアーの利用が便利です。