マリーナベイサンズを真正面に望む、海に浮かんでいるような前衛的なデザインのスパニッシュレストラン、カタルーニャ(Catalunya)。名前は、エグゼクティブシェフのアラン・ディーバーハイブ・トロサ(Alain Devahive Tolosa)さんが、カタルーニャ地方にある、予約が取れないことで有名だったスペイン料理のレストラン、エル・ブリのシェフだったことからつけられました。天井が高く、開放感抜群の空間で、モダンスペイン料理が楽しめます。
ディナーはアラカルトでの提供ですが、金融エリアのそばの便利な場所にあるため、平日はセットランチもスタート。S$38で前菜、メイン、デザートの3コースが楽しめ、ハウスワインが1杯S$10と、使い勝手が良いのも魅力。週末の日中には、季節毎のテーマに応じたウィークエンドブランチが。ビュッフェ形式で様々な料理が楽しめるほか、夜遅くになると、スペインの小皿料理、タパスを提供し、バー利用もできるなど、使い勝手も抜群です。
まずは、前菜としてタパスメニューから。ザ・ビキニ(The Bikini、S$20)は、イベリコ豚のハム、チーズ、トリュフを挟んだ贅沢なサンドイッチ。嫌いな人はいないのでは?と思える味を詰め込んだサンドイッチは、お酒にもぴったり、とりあえず何か軽くつまみたい時にもぴったり。
そして、盛り付けも美しい、アボカドロール(Avocado Roll、S$25)は、新鮮なロブスターの甘い身をアボカドで巻いています。イクラのプチプチした食感も楽しい一品です。
そして、スペインの伝統的な料理、トルティージャ(スパニッシュオムレツ)には2つのバージョンが。クラシック・トルティージャ(Classic Tortilla、S$15)は、ふんわりと、そして中は半熟の卵と、とろとろのチーズと合わせてに仕上げられ、シンプルなのにおいしい、王道の品。
そして、その伝統的なトルティージャの材料を使ってモダンにアレンジした、ジ・アザー・スパニッシュ・トルティージャ(The Other Spanish Tortilla、S$16)は、カクテルグラスに入り、エスプーマを使って目の前で仕上げられます。玉ねぎの甘いコンフィ、ジャガイモのピュレ、卵黄のクリーム。なめらかで、とてもリッチな味わい。
カタルーニャ風のタコ(Octopas Catalunya Style、S$24)は、スモークの香ばしい香りをまとったとても柔らかいタコ。ポン酢をかけて、さっぱりといただきます。
アラカルトのメニューからは、新しいメニューをいただきました。
まずはピンチョ・モルノ(Pincho Moruno、S$16)。特製のスパイシーなソースに付け込んだやわらかな豚の串焼きで、豚と相性の良いリンゴのソースと合わせていただきます。クミンなどの効いた味わいは、地中海を挟んだスペインの向かい側、モロッコ風のアレンジです。
続いては、シンガポールならではのチリクラブをアレンジしたチリ・クラブ・シャングーロ(Chili Crab Txangurro、S$42)スペイン・バスク地方のカニ料理、シャングーロを、チリクラブ風にアレンジ。カニも、アラスカ産のスノークラブを120グラムとたっぷりと使い、オリジナルのチリソースと混ぜ、カリカリのパン粉を乗せてオーブンで仕上げたもの。ピリ辛のソースにカニの甘みが合い、お酒にもぴったり。
セットランチメニューから、メインディッシュを。まずは、鴨を使ったパンシアード・ダックブレスト(Pan-seared Duck Breast)。しっとりとした鴨の胸肉の火加減もよく、鴨肉の個性と、甘い香りのフェンネルのコンフィと、サワーチェリーの甘みとの相性も抜群。
エビを強火でグリルした、グリルド・タイガー・プラウンズ(Grilled Tiger Prawns) 。スモークの香りがついた大きなエビはとても甘く、春の訪れを感じる新鮮なグリーンピースの緑の香り、イカのうまみを抽出したソースと合わせて、海の恵みの自然な味わいです。
ベジタリアンメニューのマッシュルームのカネロニ、(Mushroom Canelon)は、濃厚なクリームソースにチーズとマッシュルームの香りが絡み合い、ベジタリアンとは思えない、満足度の高い一品。
デザートはチョコレート・フリッターズ(Chocolate Fritters、S$14)温かく軽いドーナッツのような生地に、カカオ70%のダークチョコレートが詰められ、チョコレートがトロリととろけるデザート。表面にまぶされた粉砂糖が繊細な食感を生み出しています。
独創的なアレンジが加わった料理とともにぜひ楽しんでほしいのが、バーマネージャーのミハイルさんが作ったオリジナルカクテル。個人的にもとても気に入ったのが、バナナ・ラム・ファッションド(Banana Rum Fashioned、S$24)。スーヴィデと呼ばれる低温調理で、ラム酒とバナナをじっくりと加熱し、バナナの香りを移したオリジナルラムがベース。そこに、黒砂糖や苦みの効いたリキュールを合わせ、最後にはシナモンスティックに火をつけ、その灰をカクテルに入れて混ぜながらいただく趣向です。カクテル自体はそれほど甘くなく、1杯目のカクテルとして、また食事もあいそうです。バナナの甘い香りと、シナモンのスパイシーさ、灰から来るほのかなスモーク香が重層的な味を織りなしています。
その他にも、今はちょうどイースターの時期ということで、イースターをイメージしたカクテルをいただきました。こちらはちょっと甘めなので、食後酒などによさそう。手作りのチョコレートのグラスに入ったカクテルや、バターと紅茶のカクテルなど、意外性のある組み合わせですが飲みやすかったです。
マリーナベイサンズの絶景とおいしい食体験を楽しみたい方にお勧めです。
【データ】
■カタルーニャ(Catalunya))
URL:http://catalunya.sg/
営業時間:ランチ 12:00〜14:30pm、ディナー 18:00〜22:30、ウイークエンドブランチ 12:30〜15:30、タパスバー 12:00(平日)〜、18:30(週末)〜いずれも深夜まで。無休
住所:The Fullerton Pavilion, 82 Collyer Quay, Singapore 049327
電話:+65-6534-0886
仲山 今日子
元テレビ山梨、テレビ神奈川アナウンサー。現在はフリーアナウンサー、ディレクター、ライターとしてお仕事を受けています。シンガポールのテレビ局J Food & Culture TV 勤務、All Aboutシンガポールガイド。ブログ。趣味は海外秘境旅行&食べ歩き、現在約40カ国更新中。