シンガポールの中央銀行にあたる通貨金融庁 MAS (Monetary Authority of Singapore) に、誰でも入れる新ギャラリー (The MAS Gallery) が今年2月にオープン 。そこに行けば金融政策ゲームで遊べる、それも無料で!というので、さっそく行ってきました!
シンガポールのビジネス街にあるタンジョン・パガー駅 (Tanjong Pagar MRT Station) から徒歩数分のところに、厳かにそびえ立つ通貨金融庁ビル。一般の人はなかなか入れないところですが、ビルに向かって左側奥にギャラリー入口があります。
2月16日にオープンしたばかりのギャラリーには、シンガポール経済やあまり馴染みのない金融政策について、一般の人にも分かりやすく説明してくれる展示だけでなく、自分で画面を触って楽しめる工夫が豊富です。
意外と面白かったのは、ニセ札防止の工夫を体験できるコーナー。自分で画面操作し、背景のライトを変更すると、紙幣から様々な模様が浮き上がって見えてきて、造幣の最新技術を垣間見れます。
経済規模が小さいながらも貿易国であるシンガポール。シンガポールドルの名目実効レートを管理して行う独特の金融政策についても、ギャラリーでは分かりやすく説明してあります。そして、次は力試しの時間です!中央銀行総裁になった気分で、金融政策ゲームに挑戦してみましょう。世界的に景気後退した時などに、どのような金融政策をとるべきかを、表示されるオプションから選択していき、シンガポール経済を安定成長に導けるかどうかが試されます。
為替変動を安定を図るため、シンガポールドルの動きを一定の変動幅 (バンド) 内に収めるようにする為替介入のゲームも面白いので試してみてください。ディーリングルームにいて、シンガポールドルを売るか、買うか、あるいはそのまま市場の動きに任せるかの選択を、時間内にちゃんと判断できるかが試されるゲームで、うまくいかないと通貨金融庁の信頼度ポイントが減り、外貨準備高も不適切な額になるというゲームです。少しマニアックなゲームですが、以前に経済記者を10年以上やっていた筆者はちょっと興奮しました。
シンガポールの紙幣コインのコレクションも展示されています。昨年2015年に出された建国50周年の記念紙幣をはじめ、これまでの流通紙幣やコイン、第二次世界大戦中に日本軍がシンガポールを占領していた時の紙幣もあります。
金融に興味のある方はもちろん、経済は苦手という方にも分かりやすい展示が多いMASギャラリー。1時間もあれば全て見れるので、ちょっとシンガポールについて勉強してみたいという方は、ぜひ立ち寄ってみてください。
【データ】
通貨金融庁 MAS ギャラリー (THE MAS GALLERY)
住所:10 Shenton Way, MAS Building, Singapore 079117
開館時間:月〜金曜日 9:30〜17:30 土曜 9:30〜13:30 (予約済団体のみ)
日曜祝日は閉館
入館料:無料
URL:http://www.mas.gov.sg/insights/index.html
北野 洋子
2010年末よりシンガポール在住。元ロイター通信記者。
旅先では現地の人の生活を見るのが好きで、シンガポールでもホーカーセンターやローカル店での小さな発見を日々楽しむ。年間パスで何度も通うほどシンガポール動物園がお気に入り。