少し前に、マンハッタンのタイムズ スクエアとグランド セントラル駅の中間付近にあるブライアント パークの東側に建つニュ−ヨーク公共図書館へ行った時の出来事です。図書館から徒歩2分程度のところにある地下の駐車場に車を停め、レストランを探そうとしていると、近くにル・パン・コティディアン(Le Pain Quotidien)があることに気が付きました。お腹がすいていて少しボリュームがあるものが食べられそうだったのですが、なるべく早目に帰宅したかったので、そのベーカリーで食事を済ませてしまうことにしました。ランチとディナーの間の中途半端な時間帯だったせいか、大きな窓ガラスの向こうの店内は思いのほか空いているように見えました。舗道にたたずんでガラス窓の中の木製の大きなテーブルを眺めていると、何年か前にワシントンDCのユニオンステーションで、初めてこのベーカリーに立ち寄った時に出会った若いバリスタのことを思い出しました。
ユニオンステーション店は、規模はそれほど大きくはなかったのですが、アムトラックを利用する旅行者や駅構内のブティックの買い物客であふれる洒落たインテリアのお店でした。カラフルなチョークで黒板に踊るような調子で書かれたメニューの隅に『オーガニック』という言葉を見つけたので、カウンターの向こうでコーヒーの注文をとってくれた愛想の良い巻き毛の女の子に、お店の食材について少し訊いてみると、彼女は、ベルギー人の創設者アラン・クモン(Alain Coumont)氏の小麦粉や塩や水などへのこだわりや、お店のコーヒー豆について説明してくれました。
今回入ったブライアントパークの近くの店舗は、あの冬の日に立ち寄ったユニオンステーションのお店より広々としていて、テーブル席もかなりあります。案内されたテーブルの間仕切りの向こう側では、レストランで使用しているオリーブオイル、塩、コショーのほか、バゲットをはじめとするパン各種、テイクアウト用のサンドイッチ等も売られています。
私はサーバーの方のおすすめのオーガニックの赤ワインとスープを、夫はオープンサンドをオーダーしてみました。どれも美味!
水をサービングするためにサーバーの女性が持ち歩いていた透明のボトルが気に入って、そのボトルも間仕切りの向こう側で売られているのか訊いてみると、残念ながら「NO」というお返事。ところが帰り際、小さな袋を抱えて私たちのテーブルにやって来たあのサーバーの方が「とても気に入って頂けたようなので、これをプレゼントしますね。」と言って、そっと小さな袋を渡してくれました。
中を覗いてみると、その袋の中には、あのウォーターボトルが2本入っていました。
お店を出る直前に私が、あのユニオン駅のお店のバリスタの女の子が言っていた、「美味しいパン作りのための『秘密の塩』!」のボトルを購入したことは言うまでもありません。
【データ】
ル・パン・コティディアン(Le Pain Quotidien)
住所:70 West 40th St New York, NY 10018
Tel:212-354-5224
営業時間:7:00~21:00
URL:http://www.lepainquotidien.com/
舞林鳥 恵
80年代後半から日米間を往復する暮らしを始め、現在DCから小一時間の田舎町で夫とのふたり暮らしを満喫しています。カントリーライフの醍醐味をHappyNest in Americaにて配信中。ワシントンDC周辺の観光名所や魅力的な穴場スポットの情報をお届けします。