2014年12月、キューバとアメリカの国交正常化交渉開始のニュースに驚いた人は少なくないことでしょう。フロリダ海峡をはさみ150キロ前後の距離で隣り合う両国は1959年以来、好ましい関係にはありませんでした。1962年には核弾頭が海峡を超える危機まで発生しました。この緊張関係も2015年7月の国交回復で大きく緩和されることでしょう。キューバ革命以前にアメリカの富豪たちが、こぞってカリブの海岸線に豪華な別荘を建てた時代があります。近い将来、今後観光大国となることが予想されるキューバに、一足早く訪れるのは意義深いことと言えるでしょう。
海外からキューバを訪れる人が最初に土を踏むのは、首都ハバナのホセ・マルティ国際空港です。入国審査では様々な書類を提出しなければなりませんが、審査員からの質問は渡航目的を聞かれる程度で容易に関門突破できます。
次の手続きは荷物検査です。全ての荷物がX線で入念にチェックされますが、他国に比べて厳しい基準があるわけではありません。
事務手続きを済ませて空港の到着ロビーに出ると、友人、知人を迎える人たちでごった返しています。空港内の施設は充実しているとは到底言えませんが、観光案内所や飲物や軽食の店はありますから不自由することはないでしょう。
空港施設から一歩外に出ると、熱帯の空気が全身を覆い、目に飛び込む位光景も南国情緒たっぷりです。すかさずハバナの市街地に向かいたいところですが、困ったことに空港と市街地を結ぶ公共交通機関がありません。予めホテルなどにお迎えをお願いしていなければ、タクシーを使わざるをえません。そのせいか空港に向かってイエロー・キャブが数珠つなぎとなっています。乗車料金は、空港から新市街地までならCUC20前後、旧市街地までならCUC30前後です。
話題が少し前後しますが、2015年11月1日(日)12時48分のハバナ空港の到着便の案内ディスプレイを確認してみます。この日ハバナに海外から到着する国際便は、11時台に2便、12時台に3便、13時台に3便ありますが、14時台から20時台はすっ飛び、21時台、22時台に各1便あるのみです。各々の飛行機の出発地は、パナマ、エル・サルバドル、モスクワ、メキシコシティ、ボゴタ、カンクン、ブエノス・アイレス、トロント、サンティアゴ・デ・クーバです。サンティアゴ・デ・クーバはキューバ東部の都市ですが、クバーナ航空のハバナ・パリ便の経由地なのです。ハバナ向けのフライトは数少ない上に、どの都市も日本からでは便利とは言えません。他にもエール・フランス、イベリア航空、オランダ航空などにハバナ離発着の便がありますが、ヨーロッパ経由となると経済的、時間的負担が大きすぎます。今のネットワークでハバナを目指すとなると、カナダのトロントまたは、メキシコのメキシコシティあるいはカンクンを経由するのがリーズナブルと言えます。
また、キューバに出発する前には、ビザまたはツーリストカードを準備しなければなりません。30日以内の観光目的の渡航であれば、ツーリストカードとなります。東京都港区東麻布の在日キューバ大使館に自ら足を運べば1時間前後で手続きを済ますことができます。遠方などの理由で大使館には行けない場合は旅行社に代理申請をお願いせざるをえません。
さらに、海外旅行保険への加入が義務づけられており、そこに幾つかの制約があります。契約する会社はアメリカ以外の国の保険会社であること、インターネット上のペーパーレス契約ではなく紙の証書を発行するものであることです。
社会主義国家への渡航には、航路や書類に様々な条件があることに改めて気づかされます。