水も緑も豊かな日本に暮らす人にとって最もエキゾチックな光景の一つが、「砂漠」では無いでしょうか。しかし地球規模で見ると、地表の34%が砂漠であり、メキシコに至っては国土の50〜60%が砂漠で覆われていると言われています。そんなメキシコ最大、そして北アメリカ最大の砂漠が、アメリカとの国境地帯に広がるチワワ砂漠です。
まばらに生えるサボテンに、巨石がごろごろした荒野...「何もない」と表現されがちな砂漠ですが、チワワ砂漠は人類が登場する遥か昔から現代に至るまで、豊かな生態系を持っているのです。そんな砂漠の魅力を紹介すべく作られたのが、モンテレイから長距離バスで2時間弱・コアウイラ州の州都サルティージョにある、「砂漠博物館」です。
説明はスペイン語のみですが、世界の砂漠地帯の紹介から砂漠がどのように形成されるのか、砂漠に生きる動植物、近年急速に進む砂漠化が生態系にもたらす諸問題、スペイン人の入植以前から砂漠に住んでいた先住民の生活まで、豊富な資料(生体展示も沢山あります!後述)を使って詳しく分かりやすく説明されており、丸一日楽しむことができます。
実は、モンテレイのローカルに、「お勧めの観光地は?」と訊くと、市内の観光地より先に名前が挙がって来るのがこの砂漠博物館。ざくざく恐竜の化石が採れるコアウイラ州では「恐竜の州」をキャッチフレーズにしており、この博物館最大の売りが、国内最大の規模、質を誇ると言われる恐竜の化石の展示なのです。
ヴェラフロンス・コアウイレンシスは、その名の通りコアウイラ州で発見された恐竜。そして、現在に至るまでメキシコ国外での発見例の無い、「100%メキシカン」な恐竜なのだそうです。
こちらの恐竜は、現在のカナダ・アメリカ・メキシコにかけて広く生息していたと考えられるのですが、コアウイラ州サビナスにちなんで名前が付けられました。
こちらもコアウイラ州で発見された恐竜です。「ウルツラニ」というのは先住民の言葉・ナワトル語で「南の」という意味で、北アメリカ大陸の南方で発見されたことから名付けられたのだそうです。
化石の展示以外に、この博物館には化石のクリーニングを行うラボもあり、運が良ければ作業の様子をガラス越しに見学できます。
化石のコーナーに続いては、現在砂漠に生きる動物たちについての展示があります。
コヨーテ、プレーリードッグ、ヤマネコなど、これら剥製展示のいくつかは屋外で生体も展示されており、ミニ動物園のように楽しむことができます。近日、メキシコオオカミの生体公開も始めるとのことでした。
そして、西部劇でおなじみの砂漠に住む生き物と言ったら...ガラガラヘビ!写真は載せないでおきますが、かなりの種類が飼育されており、爬虫類好きさん必見です。実際、私が住んでいるモンテレイも砂漠の街なのでガラガラヘビはよく出るのですが、改めて解説を見ると、自分はこんなに多くの毒蛇と共存しているのか!と、軽く寒気がしました。笑
屋外には動物と共に、砂漠の植物も沢山展示されています。サボテン工場とでも呼びたくなる販売コーナーは、ハウスの中いっぱいに小さなサボテンがずらーっと並んでいて、圧巻です($20〜)!サボテンは日本への持ち帰りは難しそうですが、博物館の出口では恐竜の歯や貝など小さな化石の販売も行っていますので、こちらをお土産にするのは良いかもしれません。
食べ物屋さんと同じで、ローカルの人気が高い博物館は、本当に質が良い証拠。出遅れるとチケットを買うだけで砂漠の強い日差しの下何十分も並ぶ羽目になるので、砂漠博物館にお越しの際は、是非開館時間を狙って来てくだいね。
【データ】
砂漠博物館(Museo del Desierto)
住所:Carlos Abedrop Dávila 3745, Parque Las Maravillas
アクセス:サルティージョの長距離バスターミナルから、タクシーで20分($40〜50ほど)。
帰りは博物館前の幹線道路でタクシーが拾えます。
料金:大人$90、子供(6〜12歳)・学生・年金受給者$50
※大人2名+子供(6〜12歳)2名または3名で$250のパッケージチケット有
営業時間:火曜日〜日曜日 10:00〜18:00、月曜日休館
URL:http://www.museodeldesierto.org/
Sayaka
初めてのメキシコは、一年間の語学留学で訪れたメキシコシティ。今は仕事の都合で、二度目のメキシコ生活を通称「美男美女の街」「肉の街」のモンテレイで送っています。(名前に偽りなく、確かに美男美女は多いし、肉は美味しいです!)旅先で欠かせないのは、スーパーマーケット巡り・絵葉書を書く・各地の公共交通機関に乗ること。まだまだ旅行情報の少ないメキシコ、自分が「あったら便利」と思う情報を、どんどん共有していきたいと思います。