シンガポール人の生活に欠かせないのがローカルコーヒーの「コピ (kopi) 」。旅行中にホーカーセンターやフードコートに行くと、地元の人たちがコピを飲みながら話し込んでいる姿をよく見かけると思います。日本人が普段から飲み慣れているコーヒーと比べると、甘くてコンデンスミルクの味がするイメージがあるコピですが、上手なオーダーの仕方を知って、旅先で色々な楽しみ方をトライしてみませんか?
まずは、どのような種類があるかご紹介しましょう。オーダーの仕方は何通りもあるのですが、とりあえず下記の4つのパターンを知っておけば大丈夫。
コピ (Kopi) コンデンスミルク入りコーヒー
コピ・シー (Kopi-C) エバミルク (無糖練乳) 入りコーヒー
コピ・オー (Kopi-O) ミルクなし、砂糖入りコーヒー
コピ・オー・コソン (Kopi-O-kosong) ブラックコーヒー、砂糖なし、ミルクなし
コピというのは、マレー語でコーヒーのこと。コピもコピ・シーも十分甘いので、苦手な人は砂糖を少なめに (地元の人は ”Siew Dai” と言うそうですが、英語で less sugar と言えば通じます) とお願いするのもいいかもしれません。普通の牛乳とは違い沈殿するので、飲む前にちゃんとかき混ぜるのもポイントです。また写真にあるように、ローカルの紅茶「テ (Teh)」も同じような仕組みになっています。コピは$1〜S$2.5が相場で、スターバックスなどで売っているコーヒーと比べると半分以下の価格なので気軽に楽しめます。
カヤトーストなどとセットになっているコーヒーと言えば、基本形のコピです。でも、コピ・シー等の方を試したければ、「カヤトーストセット、ウィズ、コピ・シー (Kaya Toast Set with Kopi C)」と注文して、基本形のコピとの差額分を払えば簡単に変更してくれます。
そして、ホーカーセンターなどでよく見かけるのが、写真のようなビニール袋に入った持ち帰り用のコピ。シンガポールでは、持ち帰りのことをテイク・アウェイ (take away) と言うのですが、そうお願いするとお店の人に、ストローが必要か、それともビニール袋を縛ってこぼれないようにするか聞かれます。初めはビックリしましたが、歩きながらストローで熱いコーヒーを飲むのも、ちょっと楽しい体験です。また、タクシーの運転手がこのビニール袋入りコピをハンドル横に引っ掛けているのをよく見かけます。そういう職業の人達にとって、ストローで飲む方が実用性があるのかもしれません。
コピをお店で頼んだら、作っている様子もぜひ観察してみてください。店によっても違いますが、靴下のような形の綿のフィルターでこし、じょうろのような形のポットから違うポットに移したり、出来たかと思ったら最後にお湯が足されたりと、見慣れない日本人にとってはちょっとしたパフォーマンス。コピを飲みながら、周りの地元の人たちの様子を観察したら、また違ったシンガポールが見えてくるかもしれません。ぜひお試しあれ!
北野 洋子
2010年末よりシンガポール在住。元ロイター通信記者。
旅先では現地の人の生活を見るのが好きで、シンガポールでもホーカーセンターやローカル店での小さな発見を日々楽しむ。年間パスで何度も通うほどシンガポール動物園がお気に入り。