現代を代表する巨匠として知られるリッカルド・ムーティは、ナポリ生まれ、現在74歳、実父は医者、モルフェッタ（バリ郊外）出身、実母はナポリ出身で、5人の兄弟がいます。実母は、子供たちが将来「どこの出身ですか？」と聞かれた時に「ナポリ出身」と答えると人々に尊敬されるからということから、ナポリで5人の子供を産んだことは有名な話です。幼少期はモルフェッタで生活しましたが、その後ナポリ国立音楽院でピアノ科を卒業しました。実は、私の歌の恩師も声楽科とピアノ科を卒業していて、ムーティと一緒に勉強をしたそうです。卒業後は、ミラノへ引っ越し、ミラノ大学で哲学科に進み、同時にミラノ国立音楽院で作曲科と指揮科を勉強しました。1967年ノヴァーラ市コッチャ劇場で行われた若者のための指揮者コンクールでプレミオ・カンテッリを受賞。一年後の1968年から1980年までフィレンツェのマッジョ・ムジカーレ・フィオレンティーノの第一指揮者並びに音楽監督を務め、同時に1973年から1982年までロンドンフィルハーモニーの第一指揮者を務め、1986年から2005年までミラノスカラ座の第一指揮者兼音楽監督をされました。
講演では、来年のリッカルド・ムーティ・オペラ・アカデミーについて説明されました。演目は、ヴェルディ作曲の椿姫。このオペラアカデミーに参加希望者は、18 歳から30歳までの若者で、7月23日から8月5日までのアカデミーに参加できること。オーディションが来年にあります。場所は、イタリア・ラヴェンナ・アリギエーリ劇場。
さて、スカラ座を退任後はフリーで活動されていましたが、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団やウィーン・フィルハーモニー管弦楽団に定期的に客演、さらに2010年、シカゴ交響楽団音楽監督に就任しました。スカラ座時代からフィラデルフィアやロンドン、ミュンヘン、ウィーン、ラヴェンナ音楽祭などでオペラ公演も指揮し、生まれ故郷のナポリにあるサン・カルロ歌劇場の復興にも尽力し、首都ローマの歌劇場にも客員指揮者として活躍し、イタリアの音楽界に大きく貢献しました。
ナポリ国立音楽院は、ムーティの他、作曲家ベッリーニ、トスティ、レオンカヴァッロ、チレア、マルトゥッチ、メルカダンテ、ピア二スタ、アルド・チッコリーニ、歌手のマリア・カニーリアなどたくさんの音楽家が卒業されています。
ナポリ国立音楽院をはじめ、イタリアの国立音楽院内では様々なコンサートやオペラが開催されます。一般の人も訪問できますので、ぜひ来校されることをお勧めします。
【データ】
ナポリ国立音楽院サン・ピエトロ・ア・マイエッラ
（Conservatorio di Musica San Pietro a Majella）
住所：Via San Pietro a Majella, 35 - 80138 (Napoli) - Italia
Tel：+39 081.564.44.11
ケイコ
大学卒業後、中学教員を経てイタリアミラノへ渡伊。フィレンツェ、ローマ、ナポリにも在住。昨年７月よりラスペツィアに移住。ローマ国立アカデミアサンタチェチーリア、イタリア国立音楽院修了。愛の妙薬でイタリアオペラデビュー。イタリアと日本で音楽活動を行う。趣味はF1観戦、ハーブティーを毎日飲む、メルカート（青空市場）で掘り出し物探し。ヨガ、ドッグシッター。兵庫県出身
