パリには地下鉄、バス、RER、トラム、モンマルトルのケーブルカーという5つの公共交通手段があり、パリっ子の足として欠くことのできない存在です。それらを運営しているのがRATP(パリ交通公団)。本社はパリ・リヨン駅近くにあり、その地上階には、かつて使われていた車両などが展示され、小さな交通博物館のようになっています。
アクセスは駅直結。地下鉄リヨン駅から、地上を経由せず地下道で本社へ繋がります。地上から入る場合は、アールヌボー様式の地下鉄入口がドア前に設置され、来訪者を迎えてくれます。
誰でも訪れることができる地上階ホールは、企画展が開催される小さなギャラリースペースと、かつて使われていた地下鉄車両やバスが展示されている、吹き抜けの展示スペースがあります。
RATPは公式には1949年に設立されました。かつてのバスをよく見てみると、今はTGVなど長距離列車にしか見られませんが、市内を走るバスにも「1等」「2等」と座席が2種類あったことが分かります。また乗降場所がバス後部だったり、今のものと異なる部分が多々あり、時代を経る度に、今のバスの形へ近づきます。
RATP本社の地上階を使った展示スペースのため、全体的な規模としてはそれほど大きくありませんが、かつてのパリで、どのような車両が使われていたかを知れる、貴重な産業遺産が並ぶ場所です。
【データ】
店名:メゾン・ド・ラ・エール・ア・テ・ぺ(Maison de la RATP)
住所:54, Quai de la Rapée 75012 Paris
Tel:01 58 78 20 20
定休日:土・日曜
加藤 亨延
ジャーナリスト。日本の雑誌に海外事情を寄稿。専門は日・英・仏の比較文化。ロンドンにて公共政策学修士を修了後、東京で雑誌、ガイドブック制作に携わる。2009年9月よりパリ在住。取材などで訪れた先は約60ヵ国800都市。現地コーディネートも担当。趣味は飲物。各国蔵元とミネラルウォーターの源泉へ足を運ぶことがライフワーク。フランス/パリの旬の話題を中心に更新していきます。ご連絡はこちらまで。