シンガポール最古のお茶会社、リム・ラム・ティー(Lim Lam Thye)によって生み出された新しいお茶のブランド、プライス・ティー(PRYCE TEA)。
リム・ラム・ティーは、1918年に、食料品会社を営んでいたリン・キム・バン(Lim Kim Ban)氏が中国茶を輸入し始めたことに始まり、質の高い中国茶の輸入商として知られてきました。高級ホテルなどでよく見かける、グリフォンティー(Gryphon Tea)も、実はこのリム・ラム・ティー傘下の会社。そして、創業95年を過ぎた2012年、三代目に当たるティアン・ペン(Tian Peng)さんが、現代人の味覚に合ったお茶を提供することで、中国茶の伝統的な奥深い世界を知ってほしいと、生み出したのが、このプライス・ティーです。
様々な種類のお茶がありますが、特にお土産としておすすめなのが、建国50周年を記念して発売された、エスジーフィフティ・ジュビリーコレクション(SG50 JUBILEE COLLECTION、いずれも1缶20シンガポールドル)。
数あるランの中でも、シンガポールの国花として知られる、バンダ・ミス・ジョアキム(Vanda Miss Joaquim)をイメージした、ウーロン茶とランの花びらが入ったお茶は、シンガポールの2015年のグレイト・テイスト・アワードも受賞したそう。
飲んでみると、鮮やかなグリーンカラー、ウーロン茶の香りはありつつも、渋みは少なめ。ランと、どこか青リンゴを思わせるような、すっきりとした桃の香り。フルーティーありながらすっきりとした香りは、とても飲みやすく、納得のおいしさです。おすすめの合わせ方としては、カスタードプリンや空芯菜のスープ仕立てなどと合わせると良いのだとか。
そして、古くから交通の要衝として栄えた、シンガポール海峡を意味する、ストレイツ・スパイスは、クローブなどのスパイスが効いた紅茶。
淹れてみると、いわゆる紅茶色。アッサムティーベースで、クローブの他にも、
ナツメグやスターアニスなどスパイスの香りがしっかりありますが、香り全体が甘すぎないブレンドになっているので、食事とも好相性。クリスマスシーズンにもぴったりのお茶です。おすすめのペアリングは、フィッシュカレーとナン、麻辣と呼ばれる、中国山椒の辛みが効いた四川風の火鍋など、スパイスの効いた食事だとか。
シンガポールといえば忘れてはならない、シンガポールスリングの味を、ノンカフェインのルイボスティーで再現。
ちょっぴりグレナデンシロップやジンの香りを加えているそうですが、アルコールはもちろん無添加。
色は赤みがかかった明るい茶色で、マンゴーやパイナップルのような、南国のフルーツの甘い香り。ドライフルーツが入っているので、
お茶自体にもほのかな甘みと酸味があり、トロピカルカクテルなどにも使えそう。
また、カフェインレスなので、お子様や妊娠中の方にも安心。
パーティーなどで、大人はシンガポールスリング、子どもはこのお茶のアイスティーでシンガポール気分を満喫、というのも楽しそう。生のフルーツを刻んで入れて、ノンアルコールのフルーツポンチにしてもよさそうです。おすすめは、リンゴの木でスモークした鱈や四川風の火鍋だそう。確かに、スパイスの刺激を、フルーティーさと甘い香りが和らげてくれそう。個人的には、フルーツタルトなどにも合わせたいな、と思いました。抗酸化作用など、健康効果も注目されているルイボスティー、甘い香りで満足度が高く、ダイエット中の飲み物としてもおすすめです。
そして、シンガポールで好まれている「東洋のバニラ」とも呼ばれる植物、パンダンリーフを使ったお茶。こちらも、パンダンリーフとレモングラスという組み合わせで、ノンカフェインです。菖蒲やアイリスを思わせる、少し青っぽく甘い香りは、確かにバニラに似ています。濃厚な甘い香りを、レモングラスの柑橘系の香りが和らげます。パンダンリーフで巻いた鶏肉の唐揚げ、シュレッドしたココナッツをかけて蒸したタピオカケーキなどがおすすめとか。個人的には、その他ココナッツ系のデザート、パンナコッタなどミルクを使ったデザートと合わせたい気がしました。ノンカフェインなので、シンガポールらしい、ハーブティーということもできそうです。
缶は味ごとにデザインが違い、思わずそろえたくなるかわいらしさ。缶の中は、小さな三角形のティーバッグ15個入り。内蓋もついているので、密封性も抜群です。
オーチャードのロビンソン百貨店のほか、コールドストレージやフェアプライスファイネストなどの一部のスーパーマーケット、Pryce teaのオンラインショップでも購入可能です。
プライス・ティー創業者のティアン・ペンさんによると、「シンガポール50周年を記念してできたこのシリーズを、来年2016年以降はさらに「シンガポールコレクション」シリーズとして名前を変え、建国100年に向けて、毎年1種類ずつ新しい味を加えていく予定」とのこと。老舗ならではのダイナミックなスケールの構想。シンガポールの歴史とともに歩む老舗が生み出すお茶に、ますます注目です。
仲山 今日子
元テレビ山梨、テレビ神奈川アナウンサー。現在はフリーアナウンサー、ディレクター、ライターとしてお仕事を受けています。シンガポールのテレビ局J Food & Culture TV 勤務、All Aboutシンガポールガイド。ブログ。趣味は海外秘境旅行&食べ歩き、現在約40カ国更新中。