今もなお世界中の人々に愛されているビートルズ。その後の音楽史を塗り替えた4人組が生まれ育ったリバプールは、イングランド北西部にある港湾都市。ロンドンからは電車で2時間ちょっとだから、日帰りも十分可能です。
でもビートルズのメンバーゆかりの場所を巡るには、個人だとマイカーがない場合は少々面倒。そこで、効率よく回れる専用のバス・ツアーをお勧めします。
その名も、「マジカル・ミステリー・ツアー」!集合場所であるマージー川の埠頭で、遠くからでもハッキリ分かる車体が見えた時は思わず微笑んでしまいました。
バスに同乗して説明してくれるのは英語ガイドさんですが、ツアーの受付窓口では日本語のガイドブックを買う事ができます。バスで訪ねていく順番に詳細な説明が書いてあって1冊1ポンド、バスツアー料金そのものは£16.95です。(いずれも2015年9月現在)
まず最初はリンゴ・スターが育った家、アドミラル・グローヴ10番地(これはバスを降りずに、車中から見るだけでした)。リンゴが3歳の時に離婚してシングルマザーになった母親は、バーテンダーや掃除人など長時間労働をして2人の子供を育てた苦労人です。
その次に行ったジョージ・ハリスンの生家は、アーノルド・グローヴ12番地。オレンジ色のペットボトル2本が窓辺に置いてある家です。
4人兄弟の末っ子として生まれた彼はバス運転手の父親、家事にパートにと忙しい母親、そして近所に住む祖母の愛情に恵まれて、質素ながらも幸福な子供時代を過ごしたそうです。こんな小さな住宅に6人家族で住んでいたのだから、確かに質素。
先の2軒と対照的なのは、マネージャーとして手腕を発揮したブライアン・エプスタインの生家。同じ町内でも富裕層の多い通りに、瀟洒な佇まいを見せています。
両親が経営していた家具屋の一角でレコード販売を始めたエプスタインは、キャヴァーン・クラブで演奏していたビートルズの将来性をいち早く見抜いた人物。そして彼らと共にイギリス全土、いや世界を制覇していきます。
同名の歌になったペニー・レーンは、ジョンやポールが慣れ親しんだ道。
子供時代のジョン・レノンが敷地内を遊び場にしていた女児専用孤児院、ストロベリー・フィールズ。
孤児院の経営が傾き始めてからはジョンが基金を設立するなど多大な援助を続けたものの、遂に2004年に閉鎖されてしまいました。孤児院が閉鎖した後は空き地になっていて、この門だけが残っています。
両親が離婚した後、ジョンにとって育ての親代わりとなったミミ伯母さんの家も、このストロベリー・フィールズからすぐ近くにあります。後年ヨーコがこの家を買ってナショナル・トラストに寄贈したため、ジョンの育った家は半永久的に保存される事になったんですね。
そんな孤児院跡地やジョンの育った家にも近い、人だかりの多いこの家は、ポールが両親や弟マイクと一緒に、13歳から住んでいた家。でも母親のメアリーは新居に移り住んて一年も経たないうちに、乳ガンで他界してしまいます。
父ジムと3人の父子家庭だったポールが、同じく両親との縁が薄かったジョンと高校時代に出会ってからソウル・メイトになったのも、後年二人ともシッカリ者の姉さん女房的な人と一緒になったのも、そういう背景が大きく影響しているような気がしました。
ポールの父親ジムも元は音楽をやっていたため息子のバンド活動に理解があり、メンバーの中で一番居心地のいい家だったのもあって、ここは彼らの練習場&たまり場となったそうです。そして今は、ここもナショナル・トラストによって管理・保存されています。
ポールの家に寄ってる間に私たちのバスが停車していた、あの黄色いバス停は、ポールがアート・カレッジに通うため毎日バスを待っていた停留所。
この後はまたリバプール中心繁華街に戻って、キャヴァーン・クラブ&パブの近くで全員降車して終了。2時間ほどの間にビートルズ主要ポイントを巡れて、かなり満足度の高いバス・ツアーでした!
【データ】
マジカル・ミステリー・ツアー(Magical Mystery Tour)
住所: Magical Mystery Tour Ticket Office, Anchor Courtyard, Albert Dock, Liverpool L3 4AS
Tel: 0151 703 9100
URL: https://www.cavernclub.org/the-magical-mystery-tour/
小野 雅子
ロンドン西郊外に住む会社員、職場はヒースロー空港周辺です。在英20年以上の経験値を発揮して、初めてイギリスへいらっしゃる方にも興味深く分かりやすいロンドン観光&生活ガイドとしてお役に立てれば…と思います。個人ブログ「ロンパラ!」はこちら♪