お茶は台湾の名産品の一つです。高い山の茶畑で取れる高山茶が主流で、阿里山、梨山、大兎嶺など産地の山の名前で売られています。産地や発酵の度合い、焙煎の有無などの製法により、様々な味と風味のお茶ができあがります。
台湾には多くの茶芸館があります。その中でも、台湾茶好きの筆者が最近見つけたイチオシの茶芸館「回留(ホイリィウ)」をご紹介します。
回留は、永康街の中にある三角形の公園「永康公園」のすぐ横にあります。地下鉄の東門駅から徒歩5分程度の場所です。
入口が小さいので、見逃さないように注意してください。
回留は、創業24年のお店ですが、2014年に店舗の大規模な改修を行いました。主なガイドブックには、食事も食べられる茶芸館として紹介されていることが多いのですが、改修後はお店自慢の無農薬栽培茶をじっくり味わってもらうことに重点を置き、食事の提供はなくなり、お茶とお茶菓子のみとなりました。
店内の内装も、リラックスしてお茶を楽しめるよう、華やかさを残しながらも落ち着いた雰囲気の演出がなされています。お花は、オーナーさんが自ら生けているそうです。
テーブル席もあります。
窓際に、美しい茶器が並べてありました。
こういうところにも、センスの良さが現れます。
今回は、大兎嶺(ダーユーリン)と梨山(リーシャン)の焙煎茶を注文しました。それぞれNT$200で、別途人数分のお湯代NT$200が必要です。
ちょっと高めですが、品質は普通のお茶屋さんで売られているものとは異なります。
大兎嶺は、高山茶の中でも最高級に位置するものですが、苦味や雑味が全くなく甘さを感じます。梨山の焙煎茶は、香ばしいかおりとすっきりとした後口が特徴です。
お茶を入れる手順は、お湯で茶器を温めた後、急須に茶葉を入れお湯を注ぎます。そのあと、通常は一煎目を飲まずに捨てます。茶葉を洗い、また茶葉を開かせる意味があるのですが、回留では一煎目を捨てずに飲みます。
これを見て私も驚いたのですが、店員さんに聞いてみると、ここのお茶は無農薬栽培のため茶葉を洗う必要がなく、一煎目から飲んでも問題ないとのことでした。また、通常より茶葉の開き具合も早いと思います。
このお店では、お茶をとても丁寧に入れてくれます。また、茶器も担当の店員さんが、それぞれのセンスで選んでくれます。
お茶は、急須からいったん茶海に注ぎます。上の写真が、急須から茶海にお茶を注いでいるところです。茶海からそれぞれの茶杯(小さな湯呑)に注ぎます。急須にお茶が残った状態ですと、お茶が濃くなってしまうため、一旦茶海に急須のお茶をすべて注ぎます。
茶器は台中にある白慢堂(ハクメンドウ)から取り寄せたものを使用しています。白磁に、品のいい絵が描かれています。
ふたの裏にも、花びらが一枚描かれていました。
こういう細部へのこだわりが、楽しいですね。
お茶菓子の中で、一番人気のタロイモのケーキ(NT$150)です。タロイモのペーストにココナッツミルクを合わせたもので、上にはイチジクのジャムが乗っています。上品な甘さで、お茶によく合います。
これ以外にも、体に良さそうな自然の食材を使ったお茶菓子が10種類ほど揃っています。
もちろん、お茶を買って持ち帰ることもできます。75g〜100g程度に小分けされ茶筒に入れて販売されています。
白慢堂の茶器も販売されています。
全て手描きのため、1点ずつ微妙に異なります。購入する場合は、しっかり見て自分の好みのものを探しましょう。
今回の取材に協力してくださいました、向かって左が店長の洪さん、右が日本人スタッフの白井嘉代子さんです。白井さんは北京語の勉強をしながら、このお店で働いているそうです。彼女自身台湾茶が大好きで、お茶に関していろいろと教えてくれますので、安心してお茶を買うことができます。
お店で飲んだお茶があまりにおいしく、3つもお茶を買って帰りました。
3つとも75gで、大兎嶺(NT$1200)、梨山碳焙(NT$1200)、大兎嶺原始林(NT$2880)です。
大兎嶺原始林は、日本円にすると1万円を超えており、かなり高額なお茶です。なかなか普通のお茶屋さんでは見かけないお茶で、標高2600mの原始林に囲まれた、昼夜の気温差が激しく、常に霧に覆われ、土壌の有機物も豊富なお茶が育つうえで最高の環境で栽培されたもので、もちろん無農薬です。今まで、いろいろな台湾茶を飲んできましたが、ここまで苦味も渋味も雑味もなく、さわやかな香りとほのかな甘みを感じるお茶は飲んだことがありません。よほどのお茶好きでないとちょっと値段が高すぎますが、それだけの価値があるお茶と言えます。
お茶は、100gでNT$500程度のものから、いろいろな種類のものが揃っていますので、試飲をしながら好みのものを探してみてください。
【データ】
店名:回留(ホイリィウ)永康店
住所:台北市大安区永康街31巷9号
Tel:02-2392-6707
阿部 吾郎
24年間旅行会社に勤務した後、2013年に独立し「トラベルガイド株式会社」を設立。「人がそこに行きたくなる写真」をテーマに国内外で写真撮影を行っている。同社が運営するマレーシアの旅行情報サイト、トラベルガイド・マレーシアにも自身で撮影した写真が多数使われている。その他、旅行写真素材の販売、旅行記事の執筆、旅行会社へのコンサルティングなどを手掛る。最近はマレーシアに年4~5回程度渡航。その他、旅行会社時代の経験も含め得意な方面は、台湾、香港、マカオ、シンガポール、アイスランドなど。