以前、世界遺産に指定されている安東(アンドン)の河回村(ハフェマウル)、慶州の良洞村(ヤンドンマウル)という数百年続く両班村(貴族たちが代々住んでいた村)を訪れたことがあります。
大邱にも約400年続く両班村があると聞き、訪ねてみると、そこには、朝鮮時代にタイムスリップしたような古宅(古い時代の韓屋の家屋)が20棟あまり残っていました。
場所は、東大邱駅や大邱国際空港から車で20分の距離。大邱市内へもアクセスしやすく、市内中心部からは何本かバスも通っています。
オッコルマウルと呼ばれるこの村は、慶州崔氏匡靖公派の子孫たちの集姓村で、
本家(宗宅)の「百弗古宅」は、朝鮮時代の王・仁祖の時代の学者、崔東集(号:台巌)が、ここに1616年に定着してから建てた400年前の建物です。
大邱地域にある朝鮮時代の住宅の中で最も古い建築物でとして知られ、内室(アンチェ)と、外室(サランチェ)、斎室、家廟、別廟、納屋が、うまく配置されていることから、朝鮮王朝時代の両班(ヤンバン)住宅の姿をそのまま残す貴重な資料になっています。今でもその子孫が住み続けて管理されているとのこと。古いものを残し続けていくことは、現代社会ではとても大変だと思うのですが、子孫全員でこの貴重な家屋を守っておられます。
最近では、ヒョンビンとハン・ジミン主演のドラマ『ジキルとハイドに恋した私 〜Hyde, Jekyll, Me〜(原題:ハイド・ジキル、私)』で、この「百弗古宅」が使われています。劇中、ヒョンビンがもたれた柱にもたれてみたり、2人が歩いた場所を同じようにたどってみるのも楽しそうです。
この村では、韓服に着替えて、ソダン(書堂:寺子屋)体験や、古宅宿泊体験、伝統韓屋体験、伝統遊び体験、茶道体験、書堂(寺小屋)体験、伝統礼儀作法体験など、多彩な体験プログラムを用意しています。
私たちが選んだのは「茶道体験」。場所は、本家(宗宅)の東側に建つ「東渓亭(トンゲジョン)」と呼ばれる東屋で、百弗巌先生の息子、崔周鎮先生の学徳を称えて建てられた由緒ある建物なのだとか。子孫の講義場所として代々利用されており、村の中で最も周辺の景色が美しいそうです。
韓服を着て村の中を歩くとだけで、なんだか朝鮮時代にタイムスリップしたような気分になってき私たちは、ちょうど村を訪れていた写真家の方に、写真まで撮っていただきました。こちらでその一部をご紹介しますが、すっかり王妃気分になった人もいたようです(笑)。
オッコルマウルでは、このほか、古宅(百弗古宅)での古宅宿泊体験もできますが、東渓亭(トンゲジョン)では茶道体験と伝統遊び体験、報本堂(ポボンダン)では、書堂体験と伝統礼儀作法体験を行っています。興味のある方は、ぜひ事前に予約をしてみてください。
【関連情報】
★屯山洞オッコルマウル
大邱広域市 東区 屯山洞 386 대구광역시 동구 둔산동 386
☎053-983-6407
★オッコルマウル体験プログラム
韓服体験1万ウォン、茶道体験5,000ウォン
予約:im1055@hanmail.net(日本語可)☎010-3708-4408(韓国語のみ)
★そのほかのお問い合わせ
大邱市観光課 ☎053‐803−3901
大邱市観光協会 ☎053−746−6407〜9
★大邱観光文化情報システム http://tour.daegu.go.kr
木谷 朋子
『留学ジャーナル』の編集者を経て1989年より2年間イギリスへ留学。帰国後はイギリスを始め、ヨーロッパ各地やアジア、オーストラリアなど、世界各地を取材。海外の旅文化や最新の旅行情報、語学、留学をテーマに幅広い分野で執筆活動を続ける。韓国関連の著作:『Live from Seoul』(ジャパンタイムズ)、『人気韓国ドラマロケ地めぐり』(学研)ほか、『るるぶ韓国』、『るるぶソウル』(JTBパブリッシング)では『韓流ブック』を担当。