昔はロンドン市民の青果市場だった時期もあるコヴェント・ガーデン。映画「マイ・フェア・レディ」でオードリー・ヘプバーン扮する主人公が、道行く人々に花を売っていた場面で憶えている方も多いことでしょう。
今も観光・ショッピング・観劇などで多くの人々が集うコヴェント・ガーデン界隈で、ロイヤル・オペラ・ハウスの存在感は別格。
この場所に初めて劇場「シアター・ロイヤル」が出来たのは、1732年のこと。しかし後に火災で焼失したため次いで1809年にも建てられたのですが、その劇場も同じ運命を辿ってしまいました。だから現在ある「ロイヤル・オペラ・ハウス」は、三代目の劇場。
現在はここを本拠地としている王立歌劇団と王立バレエ団をメインに毎日さまざまな演目が上演されており、華麗なステージで観客を魅了しています。
それぞれの公演を鑑賞する以外にも、カフェやレストランでお茶や食事をする事も出来ます。また通常は関係者しか中に入る事のできない舞台裏を見学できるツアーもあり、私も先日参加してみました。ツアー料金は大人£12.00(2015年11月現在)
事前にオンラインまたは電話で予約をしたら、当日ボックス・オフィスでチケットを引き取って。
そのチケットを隣接するクローク係員に提示すると、首から提げるタイプの参加者パスを渡されます。ツアー中はそれを身につけておきましょう。また上着や買い物した荷物などもクローク(無料)で預かってもらうと身軽で便利。
やがてガイド役を務める社員の方がクローク前にやって来て、ツアー開始です。劇場の歴史や裏話的エピソードなど、興味深いお話を伺いながら劇場内部を回っていきます。
ちなみにツアー中は写真撮影不可。だから当コラム中の写真はすべてツアー開始前および終了後に、一般来場者がアクセスできる箇所のみです。
ツアーのハイライトは幾つかあって、その一つが王立バレエ団のレッスン場。本番と変わらないリハーサルが出来るよう、舞台と実寸大に作られているそうです。
もちろん大道具や照明などの仕組みも見れますが、特に興味深かったのは衣装制作部!演目や出演者によって多種多様に要求されるコスチュームを、デザインから制作まで手がける現場に入って、衣装作りに関する工夫や苦労などを知ることが出来ます。
傍らには業務用のミシンが並んでいたり、人台に着せられたキャラコとマチ針で仕上げたプロトタイプがあったり。オペラやバレエでは華やかな衣装も演者の実力をよりいっそう魅力的にしてくれる重要な要素ですよね。その製作現場にまで入れるとは思わなかったので、とても意外な体験でした。
私が以前ここで鑑賞したのは、喜劇オペラ「コジ・ファン・トッテ」。ドールズハウスのような舞台デザインや仕掛け、それぞれの役柄にふさわしいコスチューム等も、軽快な音楽とともに楽しみました。
でも華やかなステージの裏側では、出場者よりもずっと沢山の人々が日夜働いているんですね。その現場を間近に見ることが出来て、充実した内容のツアーでした。
【データ】
ロイヤル・オペラ・ハウス(Royal Opera House)
住所:Bow St, London WC2E 9DD
Tel:020-7240-1200
URL: www.roh.org.uk
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小野 雅子
ロンドン西郊外に住む会社員、職場はヒースロー空港周辺です。在英20年以上の経験値を発揮して、初めてイギリスへいらっしゃる方にも興味深く分かりやすいロンドン観光&生活ガイドとしてお役に立てれば…と思います。個人ブログ「ロンパラ!」はこちら♪