地球は海と陸が7:3の比率で形成されています。その境界である海岸線は特徴のある景観を見せてくれます。ペルーの首都リマも海沿いに開けた都市です。町の中心は旧市街地のセントロですが、そこからバスで約30分、南の方角に向かうと海岸線に出ることができます。
太平洋を南西にのぞむミラフローレスにはモダンな街並みが形成されています。リマでも屈指の高級住宅街として発展し続けているのです。地区の中心となるのが、セントラル・デ・ミラフローレスと呼ばれる公園です。入口に向かってホセ・パルド通り、リカルド・パルマ通りなど、リマのメイン・ストリートが四方八方から集約してきます。
セントラル・デ・ミラフローレスから南西に延びるディアゴナル通りは絶好の散歩道となっています。ビルヘン・ミラグロサ通りを渡ると、花壇が整備されたケネディ・パークが広がります。平日の午後や休日には、手作りの民族工芸品やニット類などを販売する露店が並び、大勢の人々で賑わいます。
公園に接する外周には、中世ヨーロッパの洗練された建築様式による建物が並びます。聖ミラグロサ教会、ミラフローレス区役所は、緑溢れる公園を優雅に縁取っているかのようです。
ケネディ・パークを超えるとディアゴナル通りはなだらかな下り坂となります。石畳の道は車道と歩道が整備され安心して歩くことができます。通りの左右には近代的なマンションや民家が建ち並びます。
海岸線に平行に走る道路との立体交差を潜れば、太平洋から向かって来る波を正面に見ることになります。
波打ち際で足を止め、左右の海岸線を眺めると思わず息をのんでしまいます。僅か数十メートルの浜辺から突然、急峻な崖がせり上がっているのです。濃い褐色の岩肌には火山すらイメージされます。島国の日本は千差万別の景観をもった海岸線で囲まれていますが、ミラフローレスの海と陸の境界線は型破りとしか言いようがありません。
南米大陸の西側には海岸線からそれほど遠くない位置に、数千メートル級の山が繋がるアンデス山脈があります。太平洋プレート、ナスカプレートが南米大陸とぶつかり隆起した山脈がすぐ近くに迫っているわけです。絶壁を築く岩盤には、地球のエネルギーが凝縮されているのかもしれません。夕暮れになると幻想的にライトアップされます。
視野を広げていくと南方の小高い丘に白い十字架が浮かび上がってきます。1985年にローマ法王がペルーを訪問した際、太平洋を見下ろすモロソラ―ルの丘にアラン・ガルシア大統領が建てたものです。
また、プラヤ・マカハからは桟橋が海に着き出しています。その先端部分には妖精が住んでいそうな外観の建物が海に浮かんでいます。ラ・ロサ・ナウティカは、360度のパノラマ・オーシャン・ビューのレストランなのです。窓越しの眺望と上品なシーフードを味わえば、何もかもが満たされた気分になります。