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もう一度大邱へ行きたくなるおしゃれグルメスポット

   
木谷 朋子
木谷 朋子
 
コリアンデザートカフェ・ムア「mu-a(無我)」のカボチャ粥

4年ほど前、ちょうど世界遺産に登録されたばかりの海印寺(ヘインサ)へ行く途中で立ち寄ったのが、初めての大邱との出会いでした。仕事ということもあり、立ち寄った目的は「タロクッパ(ユッケジャン)」の店取材だけ。あまりにピンポイント過ぎて、大邱の大通りとタロクッパの店しか見られませんでした。

そのせいか、大邱のイメージが中途半端なままだったことに、どこかひっかかるものがあったことも確か。友人たちから「おしゃれな店もたくさんあるよ」「おいしい店もあるよ」と言われても、今一つピンときていませんでした。

そこで取材では、「代表的な大邱グルメ」よりも、「体に優しい美味しい料理」をあえてチョイス。今回はその中でも、「この店へ行くためにまた大邱へ行きたい」とまで思えるイチオシの2軒をご紹介します。

大邱の近代歴史通り「ジンコルモク」にある『ヤクジョン食堂』

一軒目は、大邱の近代歴史通りとして有名な「ジンコルモク」にある『ヤクジョン食堂』です。この周辺は、かつて大邱の富裕層が住んでいたエリア。近くにあった1947年開業のチョンソアカ(鄭小児科)という建物は、現在大邱に残る最高の洋館だということでしたが、中は見られず(泣)。

「ジンコルモク」という名は、慶尚道の方言で「長い路地」の意味だそうですが、ソウルの仁寺洞(インサドン)や三清洞(サムチョンドン)にあたるような古い町並みが残り、時間があれば、もっと散策したかったです。

『ヤクジョン食堂』は、このジンコルモク沿いにあるレンガの塀で囲まれた有名な韓定食のお店です。かつては有数の料亭だった風情を残し、中は韓国伝統の韓屋造りで、レンガ塀とのコントラストがまたステキです。


かつては料亭だったという伝統の韓屋造り

なぜ日本人がたくさん来ているのだろうと思っていたら、『冬のソナタ』のユン・ソクホ監督のドラマ『ラブレイン』で、チャン・グンソクが演じたイナの下宿先として登場していたとか。イナが、ユニ(少女時代のユナ)の日記帳を読んだ縁側とかもあるので、放映後はファンが殺到していたそうです。今回は、イナの部屋として撮影されたお部屋で食事をしました。


グンちゃんが座った縁側(ちょうど椅子が重ねてあるすぐ右横)
ドラマ『ラブレイン』の撮影で使われたイナの部屋

さて、本題のお料理ですが、文句なく美味でした!そして、辛い料理が苦手な人にも自信を持ってお薦めできます。

まず、テーブルいっぱいにズラリと並べられたパンチャンと呼ばれるおかずですが、すべて手作りで野菜もたっぷり。焼き魚のサバもパクパクと口に入ります。素材はシンプルですが、どの料理にも、手作りならではの心のこもった味わいが感じられ、しかも出てくる器がまたステキ!

手前が石釜のご飯。テーブルいっぱいのおかずも超美味!
案内してくださった大邱市観光課の丸山さん
ホヤのビビンパ

絶品だったのは、こちらの名物でもある「ホヤのビビンパ」です。石釜で出てきたごはんを入れて混ぜ混ぜしていただきます。ホヤには味が付いていたので、私はナムルを入れたり、ちょっとだけコチュジャンを入れました。この味加減は自分流でOKです。食べ終わったら、石釜にお湯を注いでヌルンジ(おこげ粥)にするのも忘れずに。

チュオタン(ドジョウ汁)

チュオタン(ドジョウ汁)も絶品でした。ドジョウの生臭さはまったくなく、やや辛めに仕上げてはいますが、辛すぎない絶妙な味でした。

焼き魚はサバ
手作りのナムル
パジョンも油控えめで優しい味
あっさりとした味のキムチももちろん手作り

【ヤクジョン食堂(약전식당)】
住所:大邱広域市中区ジンゴルモク31(대구광역시중구진골목로31)  
電話:053-252-9684
営業時間:昼12:00〜15:30 夜17:00〜21:00
休日:祝祭日

コリアン・デザート・カフェ・ムア「mu-a(無我)」

2軒目は、『コリアン・デザート・カフェ・ムア「mu-a(無我)」です。最初は「デザートカフェ」と聞いて、スイーツ中心のデザートカフェを想像していたのですが、いやいや、料理もハイレベルで驚きました。しかもインテリアが超スタイリッシュ。ソウルでも見たことのないオシャレ度の高さで、店の随所に、店のオーナーのこだわりを感じました。

食材の野菜やフルーツがインテリアとして展示されている1階
1階には、海外の雑誌もインテリアとして展示されています

店内は1階〜中2階〜2階〜空中部屋(3階)に分かれ、最上階がなんと空中部屋。グループなどの予約の際に使われる韓屋スタイルの個室ですが、どこにもない奇抜なスタイルを、インテリアの中に盛り込みたかったのだろうか?と思われるユニークさ。団体で行ったら、ぜひ利用してみたいです。

開放的で明るい店内(中2階)
店内の上の方には空中部屋も見えますね(2階)
個室となっている最上階の空中部屋(3階)

そして、お料理の方も、今までに見たことがない韓国料理が次々と出てきました。ベースは確かに伝統の韓国料理なのですが、いわゆる「フュージョン・コリアン」ともいえる、新感覚の韓国料理です。

メニューがコース料理ではなく単品が中心なところも、カフェ風ですね。

カボチャ粥

まず出てきたのは、カボチャ粥。お腹に優しくてヘルシー。ほんのり甘くて、次に出てくるお料理もどんどん進みそう。ほんと美味でした。器もおしゃれですよね。

しゃきしゃきレタスで包んだおむすび

次はしゃきしゃきレタスで包んだおむすび。出てきたときは色の美しさに目を奪われ、どんな料理だか聞くのを忘れてしまったほど。レタスとごはんのシンプルなコラボですが、一皿とって何人かでもシェアできる逸品です。

ノビル醤油のビビンパ

こちらも思わず「綺麗〜」と叫んでしまった「ノビル醤油のビビンパ」。いわゆる山菜ビビンパなのですが、素材が吟味されていて、盛り付けが本当に美しかったです。カフェ好きな女子向けメニューにぴったり。

宮中トッポキ

お餅好きな私にはツボだった醤油ベースの宮中トッポキ。こちらも普通のトッポキしか食べたことのない人にお薦めのメニューです。醤油ベースで野菜がたっぷり。ヘルシーでお餅(トッポキ)のうまみも楽しめます。言われなければ、これがトッポキメニューとはわからないユニークなメニューでした。

韓方蕎麦冷麺

こちらもヘルシーなメニューでした。韓方蕎麦冷麺と書いてありましたが、韓国の創作料理らしいメニューの一つです。「蕎麦は蕎麦として食べたい」という人には無理にはお薦めしないものの、新しい蕎麦冷麺としては完成された味に仕上がっています。冷麺好きな人にもぜひ一度は食べて欲しいです。

デトックスジュース

そして、こちらはデトックスジュース。デトックスという言葉に反応してしまい、迷わずチョイス。ヘルシーオレンジは、リンゴ、オレンジ、ニンジン入り。イエローポーションは、リンゴ、パイナップル、パプリカ入りで、「ザ・健康ジュース」という感じですが、野菜とフルーツの甘みが絶妙。普通の生野菜ジュースとは違い、美味しさも追求されたメニューになっています。

そぼろきな粉パッピンスとナツメ茶

最後にやっぱりデザートを頼まなくちゃ!ということで、大好きなパッピンス(かき氷)の中から、他店では見たことがない「そぼろきな粉パッピンス」を選んでみました。きな粉のパッピンスは、韓国で昨年から大流行したパッピンスメニューですが、「そぼろきな粉」というのは初めて。う〜ん。お味は美味しかったのですが、食感を含めた感想は、普通のきな粉の方が好きかも。伝統茶のナツメ茶は、カフェらしくガラスのカップで出てきました。

【コリアン・デザート・カフェ・ムア(無我(카페무아))】
住所:大邱広域市中区鍾路2街2−1 (대구광역시 중구 종로2가 2-1)
電話:053-255-4717
営業時間:11時〜深夜1時 休日:年中無休

今回ご紹介した2軒は、自信をもってお薦めできる2軒ですが、じつは、まだまだご紹介したい店がいっぱい!今後も歴史スポットや見どころをご紹介しつつ、大邱のグルメスポットをご紹介していきますので、お楽しみに!

木谷 朋子

木谷 朋子
『留学ジャーナル』の編集者を経て1989年より2年間イギリスへ留学。帰国後はイギリスを始め、ヨーロッパ各地やアジア、オーストラリアなど、世界各地を取材。海外の旅文化や最新の旅行情報、語学、留学をテーマに幅広い分野で執筆活動を続ける。韓国関連の著作:『Live from Seoul』(ジャパンタイムズ)、『人気韓国ドラマロケ地めぐり』(学研)ほか、『るるぶ韓国』、『るるぶソウル』(JTBパブリッシング)では『韓流ブック』を担当。

    

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