1871年にヴィクトリア女王が公式オープンした、ロイヤル・アルバート・ホール。今年もロンドン夏の風物詩、クラシック音楽の祭典「プロムス」主会場となったので、TVでそのコンサート中継をご覧になった方も多いと思います。
その独特な形状は、一度見たら忘れないほど印象的ですよね。
ここではメイン・ホールで年間を通してコンサートやバレエを始めオーケストラ生演奏つき映画上映、テニスやサーカスなど各種のイベントが催されています。
私も何度かコンサートを鑑賞した事がありますが、外見だけでなくホールも興味深いデザインで…特に音響効果のため天井から沢山設置されたマッシュルーム形のオブジェなどは、他に類を見られないユニークさ。
ロンドン滞在中にコンサートやイベントで訪れるのが一番だと思いますが、ちょうどその時期にご自分の趣味に合う催しがなかったり、日時などスケジュール調整が難しい場合も多いでしょう。
そんな方にご紹介したいのが、日中のパブリック・ツアー。昼間もイベントが開催される日を除きほぼ年間を通して行われていて、ガイドさんが館内を案内してくれます。
所要時間は約一時間。ウェブサイトや電話での事前予約をお勧めしますが、定員に空きがあればボックス・オフィスで当日券も購入可能です。
今回ガイドさんの説明を聞いて初めて知ったのですが、この地階にあるバーの両脇にあるアーチ形の出入り口。これ、昔は馬車のまま入れたんですって。ナルホド、それで背の高いアーチなんですねぇ〜。
もちろんメイン・ホールにも入れて、女王様らロイヤル・ファミリーの専用席なども見る事ができます。でも大抵の場合その日の夜に行うコンサート等の舞台セッティングやリハーサル中につき、写真撮影は禁止。
私が参加した日は、デイヴ・ギルモア(元ピンク・フロイド)のクルーが、舞台効果の映像や音響の最終チェック真っ最中でした。
↓こちらは以前ここで生オケつき映画上映を観た時、幕間に撮ったもの。↓
ホールは無事に完成したものの、実は音響効果が芳しくないという評判が長年続いたのだそうです。そこでエンジニア達が様々な改善策を試した結果、1969年になって遂に現在の円盤状オブジェ(愛称「マッシュルーム」)が天井に設置されました!
もともとはヴィクトリア女王のご夫君アルバート公が、「芸術と科学の殿堂を建てよう!」という提案をしたのが発端で、建設が始まったのですが、不運にもアルバート公は その完成を見る事なく、42歳の若さで世を去りました。
最愛の夫をなくしたヴィクトリア女王はその後、一生を喪服で過ごしたといいます。しかも完成したホールに彼の名を冠しただけではなく、階段の手すりや壁などあらゆる所に彼のイニシャル「A」を施したのですよ。
芸術を始め、文化全般の繁栄を願ってやまなかった公子。没後150年以上が経った現在でもその遺志が引き継がれている事を、きっと喜んでいると思います。
更にヴィクトリア女王は、このホール正面入り口に面したハイド・パークの一角に彼の記念碑も建立させて。黄金色の輝かしい像となったアルバート公は今もなお、彼が愛してやまなかった芸術の殿堂を見守っているのです。
【データ】
ロイヤル・アルバート・ホール (Royal Albert Hall)
住所:Kensington Gore, London SW7 2AP
Tel:020 7589 8212
URL:http://www.royalalberthall.com/
最寄駅:サウス・ケンジントン、ハイストリート・ケンジントン
見学ツアー料金:大人£12・00 小人£5.25(2015年10月現在)
小野 雅子
ロンドン西郊外に住む会社員、職場はヒースロー空港周辺です。在英20年以上の経験値を発揮して、初めてイギリスへいらっしゃる方にも興味深く分かりやすいロンドン観光&生活ガイドとしてお役に立てれば…と思います。個人ブログ「ロンパラ!」はこちら♪