2015年5月1日に開幕したミラノ万博も、閉幕まで一ヶ月を切りました。
私は日本館内の最後のセクション、バーチャルレストラン劇場というところでキャストとしてお仕事をしています。
今回の万博のテーマは現代社会の最大のテーマである「食」。先進国は「飽食」「食育」などをテーマに掲げ、発展途上国は「飢餓」「食料生産」などを扱っているところも。
時々、お仕事の前後にEXPO内を歩いてみるのですが、会場はとっても広い!一日ではとても回りきれません。連日たくさんの人が訪れるので、日本館は多い日だと5〜6時間待ち。平均でも3時間待ちの列で、万博内でも1、2位を争う大人気のパビリオンです。他に長蛇の列をなしているのは、次回の万博開催国となるカザフスタン、そしてエキゾチックなムードを醸し出しているアラブ首長国連邦。また、開催国イタリアはもちろん、オーストリアやドイツなども人気です。
カザフスタンは馴染みのない国でしたが、彼らの日本人に似たオリエンタルな外見に、ドバイを思わせる未来的な街の風景が印象的。そして何より入ってすぐに見せてくれる砂絵のアトラクションが見事でとても楽しめます。
オーストリアやアゼルバイジャンは緑をたくさん使った自然を楽しめる館。そして、イタリア館の建築は外から見るだけで素晴らしい!
その他、イギリス館や中国館などは外から見るだけでもその建築に圧倒されます。
会場内の中心にあるイタリア館の横には、この万博のシンボルであるAlbero della Vitaという、生命の木がどどーんと立っていて、一時間ごとに音楽と噴水と光でショーをしています。夜に見るのがおすすめです。
コカコーラ館やマクドナルド館など、万博のテーマにそぐわない建物もありますが、これらはやはり経済効果を狙う企業の強さ。これだけ世界各国の料理が楽しめるのに、馴染みがあって安心できることと、なんといっても安上がりなことから、これらの館は連日大盛況です。コカコーラ館では専用ボトルをもらえるそうです。
食の万博ということで、世界各国料理を食べられることが何よりの楽しみ。その国の食文化を知ることは、その国の人々を知ることにつながるとも思います。普段食べられない多国籍料理を食べ歩きしたいけれど、広い会場内で長蛇の列に時間を取られていると、満喫できないことも。
そこで、ピンポイントを押さえていくことをおすすめします。
私が個人的におすすめなのはインドネシア館で売っているミーゴレンとナシゴレンに卵とナッツの炒めたものをミックスしてくれるお弁当。ボリュームたっぷりで10€。その場で食べることもできます。
また、モーリタニアのフォーと生春巻きも日本館スタッフの間で人気です。安くて人気があるのは、アルゼンチン館のお肉料理。
白一色の建物に黒字だけを使った韓国館はとてもスタイリッシュ。地上階にあるレストランではビビンパやキンパブなどの本格韓国料理をいただけます。ここのたい焼きが美味しかったです。カリっと香ばしく揚げた生地の中にあんこが入っていて、3€でした。
食とは直接関係ありませんが、アリタリア航空の館内では飛行機を操縦する体験ができるそうです。予約がいっぱいなので、早めに予約しておく必要があるみたい。
フランス館ではフランスワインを味わいながらいろいろなチーズを試食でき、シチリア館ではワインバーでワインを楽しめます。また、モレッティというイタリアビールの館や、ベルギービール、ドイツビールなど、各国のお酒を味わえるのも楽しみの一つ。
スイス館ではもちろんチーズフォンデュ。こちらは一人14€で二名様からの受付可能。
ロシア館の屋上では連日大音量で踊り狂っているようです。オランダ館やブラジル館の前にも、夕方あたりからDJブースが登場して様々な国の知らない人同士が踊って盛り上がっています。
我らが日本館では、先端技術を駆使した立体映像で日本の食文化を伝えています。日本食ブームと相まって、長蛇の列に並んでまで見る価値あり!と言われています。列に並ばなくてもフードコートには上がれます。ここではカレーや天ぷら蕎麦、すき焼き定食、お寿司、京懐石などを全て日本の食材で提供してくれます。
広い万博会場内にはこども専用のプレイランドも用意されていて、家族連れでももちろん楽しめます。スローフードと食育について学んだり、飢餓や飽食について学ぶブースもあります。
メインストリートには、市場で売られる様々な種類の魚の模型や、豚や鳥などの模型と共に肉の塊の模型を展示してあったりして、私たちが普段何気なく口にしているものを考えるきっかけとなります。
世界の食の祭典で各国料理を楽しみつつ、現在の私たちに課された大きな食の問題を考えてみる一日を過ごしてみてはいかが?
【データ】
ミラノ万博
営業日:閉幕の10月31日まで毎日営業
開館時間:10:00〜23:00(土日は24:00まで)
チケット:オープンチケット39€(子供半額)、日にち限定チケット34€(子供半額)19時からのないとチケットは5€とお得!その他にもTrenitaliaやAlitatliaからセット販売のお得なチケットを購入できます。
行き方:鉄道Trenordまたは地下鉄駅Rho fiera EXPO下車、徒歩すぐ
ゆき
東京芸術大学大学院修了後イタリアに国費留学。ナポリ国立音楽院修了。2012年サンカルロ歌劇場主催オペラ「ラ・ボエーム」に出演。ゴッドファザー等の映画の影響で南イタリアをこよなく愛す。現在イタリア生活5年目。音楽業の傍ら、翻訳やバイヤーもこなす。治安が悪く、ゴミ問題やスリが跡を絶たないナポリの街をいかに安全に楽しむか、そして「ナポリを見て死ね」の言葉の深さを伝えたいです。