世界遺産アンコールワットには二千を超す女神「デバター」が彫刻されています。
その「テバダー」、当時実際に王宮で働いていた女官や踊り子たちがモチーフになっているとされています。
そして「アプサラ」は、ヒンドゥー教の神話「乳海撹拌」の中から誕生したとされる天女。このストーリーを軽く紹介すると、神々と阿修羅軍が巨大な蛇をマンダラ山に巻き付け、海をかき混ぜることで不老不死の薬アムリタが誕生するというお話であり、その過程で様々なモノが誕生し、その中にこの「アプサラ」も含まれていたとされます。
実のところ、この「デバター」と「アプサラ」は異なるものなんですが、カンボジアの「アプサラダンス」では見事に融合されており、そのダンスの中のしぐさや動きはクメール女性のやさしさと愛情が垣間見えるようになっています。
そして「アプサラダンスショー」、シェムリアップで見学したい場合は、多くのショーレストランなどで夜19:00頃から約1時間ほど公演されており、パブストリートや町のメインストリートであるシヴァタ通りを歩けばすぐに見つけることができます。しかし、そのダンスや食事などのクオリティは様々で、見学無料の雑多なバーから、団体観光客向けの中級レストラン、そして、高級ホテル内でのディナーショーなどバリエーションは多種多様、高い店だと料金は$50を超すところもあります。
また、一般的に大手旅行会社の格安ツアーの場合は、日本のガイドブックに紹介されている団体客向けの大型ブッフェレストランに案内することが多く、人によっては周りが日本人だらけという雰囲気にうんざりすることも…。
そこで、今回お薦めしたいのが、約20年の歴史を誇る「アプサラシアター」。
閑静なワットボーエリアにあり、その外観はパッと見た感じは現代寺院。木造の伝統的クメール様式のシアターであり、入り口では白い蓮の花とゲストの国籍に合わせた日本語、英語、フランス語に訳されたアプサラダンスに関する解説書が渡されます。
入口を抜けた小部屋には演目で使われるマスクや装飾品が飾られ、店内の照明は雰囲気を重視した白熱灯、店内はウッド、赤、金をベースとした木造家屋の匂いがし、その高級な雰囲気は視覚と嗅覚から感じとれます。
また、そこでサーブされる料理はクメール定番料理のセットであり、大人気のアモック(魚をココナッツミルクで蒸したもの)、グリーンパパイヤとマンゴーサラダ、レモングラスのチキンスープ、春巻、クメールデザートなど。(料理は定期的に変更される)
公演されるショーの内容についていうと、通常のレストランでは定期的に演目を変えていることも多いんですが、このシアターでは本当に人気が高いクメール宮廷ダンスと、民族ダンスのみを選んでおり、ダンサーは長年同じダンスを踊っているだけあり、その動きは軽やかでダイナミック。ステージの広さをしっかりと使い、音楽や照明のタイミングもきちんと計られています。
演目は必見のアプサラダンス、フィッシュダンス、メカラダンス、ココナッツダンス、そしてリアムケーの伝説。
特にリアムケーの伝説はアンコールワットにも刻まれており、事前にガイドと一緒に回っている場合は、まずこのストーリーをどこかで聞いていると思います。頭の中でイメージしていたあの名シーンがここで再現されているのだとすぐに気付くことになり、その面白さは格別となります。
こちらのシアター、運営は老舗高級ホテルである「アンコールヴィレッジホテル」となり、約20年の歴史を誇るシェムリアップで一番の名店と噂されています。
また、昔からフランスからの観光客の利用が多く、日本人の利用はかなり少ないこともあり、ある意味プライベート感が満喫できるのも特徴。
ほんと、シェムリアップの隠れた名店です。
【店舗データ】
店名:アプサラシアター(Apsara Theatre)
料金:1名様 27$ (税込、雨季、乾季により料金が変わることがあります)
住所:Off Wat Bo Road, opposite Angkor Village Hotel, Siem Reap
Tel:063-963561
URL:http://www.angkorvillageresort.asia/apsaratheatre.php
時間:19:30〜22:00(ショーは20:30-21:30)
公演日:乾季(通常11月〜4月)は毎日公演、雨季(5月〜10月)は火、木、土のみとなります