地元の人が集まる人気ティールーム
前回に引き続き、今回もスコットランドの首都エディンバラのお話です。今回は、とっておきの可愛いティールームをご紹介したいと思います。
「さて、どこへ行こうかな〜」と思ったとき、最初は「せっかく行くのなら、最高級ホテル『バルモラルホテル』や『カレドニアンホテル』のアフタヌーンティーに行こうかな」と考えた私。でも、せっかく日本人の旅行者に紹介するならば、地元の人が集まる気軽に行ける店の方が居心地がいいのではないかと思い直し、路線を変更。いろいろ調べた後、日程の都合もあり、2つの人気ティールームへ行くことにしました。
茶葉も食事メニューも充実の「エチケット」
「エチケット」の名前を知ったのは、毎年日本の百貨店で開催されている「英国展」に出店していたからです。エディンバラ発の紅茶は珍しいので、エディンバラへ行ったら、ぜひ覗いてみようと思っていました。
「エチケット」は、紅茶メーカーとしての歴史は2005年とまだ10年ほど。2008年にエディンバラにティールームをオープンし、2012年には早くもミシュランのドリンク部門で4つ星を獲得。現在は、イギリス各地のホテルやレストランに紅茶を提供するなど、その実力が認められています。
お店はエディンバラのニュータウンの中心街プリンスィズ・ストリートから北に少し入ったフレデリック・ストリートにあります。観光客にもとてもわかりやすいロケーションにあるのも◎。
店内は、テーマカラーでもあるブルーで統一され、オリジナル紅茶の筒型ブルーパッケージがズラリと並んでいました。店内は2部屋に分かれ、テラス席も少しあり、全体としてはそれほど広くはない庶民的な広さです。私が訪れた午後1時過ぎには、若者や中高年のカップル、友達同士の3人連れ、赤ちゃん連れの若いお母さんなど、老若男女がランチやお茶を楽しんでいました。
ランチメニューも充実していたので、ランチを食べずに行った私は、ランチにするかスイーツにするかいろいろ迷った末、サンドイッチもスコーンもケーキ(ミニサイズ)も全部食べられる「エチケット・フェイマス・アフタヌーンティー」をチョイス。紅茶は「オーサムアッサム」を選びました。
サンドイッチはスモークサーモンにしたのですが、他のサンドイッチメニューにもかなり心魅かれるものがいっぱいで正直悩みました。スコーン用に出てきたジャムはスコットランド産、クロテッドクリームはデボンシャー産と、やはりこだわりがありましたね。
そして、何よりこの店で最もこだわりを感じたのがドリンクメニューです。紅茶のほか、ウーロン茶や10種類以上のグリーンティー、ホワイトティー、ルイボスティー、フルーツ&ハーバルティー、フレーバーティー、ティーラテもそれぞれ数種あり、本当にバラエティ豊か。またお茶だけでなく、コーヒーやホットチョコレートも数種類用意するなど、近年のコーヒーブームに配慮したラインナップになっていました。ドリンクメニューだけで50〜60種類あったのではないでしょうか。
「エチケット」では「ティー・テイスティング」や「ティー&チョコレートテイスティング・イーブニング」など、随時イベントも行われているので、訪れる前に、ホームページのEVENTをちょっとチェックしてみるとよいと思います。
さて、その「エチケット」が日本橋三越本店の『英国展』(9月9日〜15日)に今年も出店します。「エチケット」のビッグスコーンが来るというので、特に楽しみにしています。
ケーキ好きにお薦めの「ミミズ・ベイクハウス」
「ミミズ・ベイクハウス」は、『スコティッシュ・カジュアル・ダイニングシェフ・オブ・ザ・イヤー』を受賞しているお母さんのMIMIさんを中心に、家族みんなで切り盛りしている店です。ここはお茶よりもケーキを中心とするフードメニューがとにかくずば抜けて美味と聞き、やって来ました。
スイーツ好きな人でしたら、ケースに入った10数種類のケーキに歓喜することまちがいなしの店。黒白ストライプのインテリアやピンクのソファなど、おしゃれだけどきばっていない、誰からも親しまれるような雰囲気もステキです。
私はもともとフェイスブックでずっとフォローしていたのですが、新聞やブログなど、いろいろな場所でレビューされていたので、その人気ぶりをなんとなく知っていたので、一目見てナットク。店内は満員でした。
場所は、プリンスィズ・ストリートからオーシャン・ターミナル行きの11番バスで15〜20分ほどの距離。海に近いリースにある本店は、規模が広くパーティとかもできる広々とした空間です。目の前にはリース川が流れ、周囲にはそれほど店も密集していません。この周辺には、ミシュランの星付きレストランなどもあり、エディンバラのおしゃれスポットとして注目されているエリアです。
私はなんと週末(土曜日)のピークタイムに行ってしまったのですが、ウェイトレスの若い女性スタッフはみんなニコニコと親切に応対してくれ、サービス前も後も、何かと声をかけてくれました。本来はピークタイムや週末には予約がないと入れないという人気店でしたが、お客さんはどうも常連さん含む地元の人ばかり。私がたった一人の外国人だったせいか、「入口前の席ですが、すぐ座りたいならどうぞ」と言われ、親切に席に案内してくれました。
午前中に「アーサーズ・シート」に登ってきた私は、とにかくお腹がすいていて、ケーキも食べたかったものの、まずメニューをチェック。ケーキは後で頼もうと、人気メニューの「フレンチトースト」と紅茶を最初に頼みました。でも出てきたフレンチトーストは日本の2倍の量。しかもなぜか巨大なベーコン付き。最初は「完食は無理」と思っていたのですが、美味しくて結局完食。とはいえ、ケーキを食べるまでのお腹のスペースは残っていませんでした。
ここのケーキは、「ヴィクトリア・サンドイッチ」や「キャロットケーキ」のようなイギリスの伝統的なケーキのほか、「チョコレート・ビートルート・ケーキ」のように新しく開発したケーキを含め全部で20種類くらいあります。そのほかカップケーキやスコーンなど、お茶をしに来る人には嬉しいメニューがいっぱい!リースという場所はまだあまり知られていないせいか、日本人旅行者を見かけたことはまだないと言っていました。午後には人気のケーキはすぐ売切れてしまうそうですので、なるべく平日のお昼くらいまでに行かれることをおススメします!
[関連情報]
ミミズ・ベイクハウス Mimi's Bakehouse
木谷 朋子
『留学ジャーナル』の編集者を経て1989年より2年間イギリスへ留学。帰国後はイギリスを始め、ヨーロッパ各地やアジア、オーストラリアなど、世界各地を取材。海外の旅文化や最新の旅行情報、語学、留学をテーマに幅広い分野で執筆活動を続ける。イギリス関係の著書:『英語で楽しむピーターラビットの世界BOOK1、BOOK2』(ジャパンタイムズ)、『英国で一番美しい風景 湖水地方』(小学館)、『ロンドンと田舎町を訪ねるイギリス』(共著・トラベル・ジャーナル)、『イギリス留学』(共著・三修社)ほか。