なんとなく懐かしい感じがしませんか?ここは、台北市の西の端にある迪化街(てきががい・ティーホアシエ)です。歴史のある問屋街で、特に乾物のお店がたくさんあります。最近、地下鉄の路線網が増えた台北市ですが、迪化街までは来ておらず、淡水線の中山駅または雙連駅から徒歩15分ほどかかります。
お店の軒が連なって、アーケードのようになっています。
日本では、あまり目にしないような乾物や漢方などがたくさん売られています。
お店をのぞきながらぶらぶら散歩するのも楽しいですし、何よりこの風景にはどことなく懐かしいような、なんともいえない情緒があります。
このアーケードを出て、道の向かいに出てみると、建物にも歴史を感じます。迪化街は、18世紀末ごろから中国より渡ってきた人々によって栄えた町です。このあたりに残る建物は19世紀ごろに建てられたものが多く、外壁に施された精緻な装飾や彫刻などに驚かされます。
先ほどの、レトロな建物が並ぶ迪化街一段から1本東側の小吃街とさらに1本東の靴問屋街を結ぶ小道にある小さな商店街です。こちらは、日本にも昔よくあった市場を思い出させるような通りです。
肉屋の店先には、豚足がそのままの姿で無造作に置かれています。何でもきれいにパッキングされている日本のスーパーに慣れていると、少々ぎょっとしますが、台湾ではではこれが当たり前です。
個人的には、「生き物の命をいただいている」という実感が持てるので悪くないかな、などと思っています。
この通りにある、有名なカラスミ店「永久號」です。カラスミは、ボラの卵巣を干したもので、あぶって食べると深いコクとうまみのある高級食材です。日本のデパ地下などで、万単位の値段で売られているのを時々見かけます。そのカラスミが、2000円ぐらいから買えます。しかも、品質も良く、味もばっちりです。少々くせのある食べ物ですので、好き嫌いが分かれるかもしれませんが、カラスミ好きの方にはお勧めのお店です。
再び迪化街一段にもどってきて、霞海城隍廟(シアハイチョンホアンミャオ)です。周辺の古い建物と同じく19世紀(1859年)に、中国福建省から移住してきた人々によって建てられました。
都城の守り神である城隍爺という神様を祭る廟ですが、それ以外にも様々な神様が祭られています。
その中でも有名なのが、こちらの月下老人です。縁結びの神様で、毎年数千組のカップルがお礼参りに訪れると言われ、ちゃんとお参りすると願いを聞き入れてくれるそうです。金紙と線香3本、お供えセットを購入してお参りするのですが、神様によってお参り方法が違っており、少々複雑です。しかし、堂内には日本語を話せる方もおり、質問すると丁寧に教えてくれます。
霞海城隍は、2015年12月末まで外側の修復工事中です。外観はシートがかけられて見ることができませんが、お堂の内部に入ることは可能で、お参りも通常通りできます。
霞海城隍廟の横にある、大きな建物は永楽市場です。1階には食品を売るお店がびっしりと並んでいます。1階が食品売り場、2階が布市場になっています。
なんと、寿司のカウンターもありました。
魚も切り身がパックになっている日本と違い、そのままの形で売られているのが普通です。一部切り身になっていますが、これは大型の魚です。珍しい魚も多く、見ているだけでも楽しくなります。
懐かしい風景と縁結びの神様の街、迪化街いかがでしたか?
古き良き台湾を感じることができる、情緒ある街です。台北にお出かけの際は、是非立ち寄ってみてください。
阿部 吾郎
24年間旅行会社に勤務した後、2013年に独立し「トラベルガイド株式会社」を設立。「人がそこに行きたくなる写真」をテーマに国内外で写真撮影を行っている。同社が運営するマレーシアの旅行情報サイト、トラベルガイド・マレーシアにも自身で撮影した写真が多数使われている。その他、旅行写真素材の販売、旅行記事の執筆、旅行会社へのコンサルティングなどを手掛る。最近はマレーシアに年4~5回程度渡航。その他、旅行会社時代の経験も含め得意な方面は、台湾、香港、マカオ、シンガポール、アイスランドなど。