アイスランド第2弾は、南部海岸地域の観光スポットをご紹介します。
アイスランド本島最南端の街ヴィークまでは、首都レイキャヴィークから車で2時間程度の道のりですが、今回ご紹介するスポットは、この2都市を結ぶ海岸沿いのルートに点在します。
まず最初は、セリャランスフォス滝です。
40メートルの断崖から水が流れ落ちます。風が吹くと、その水の多くは霧のように白く舞い上がります。
この滝は、後ろに回って裏から見ることもできます。滝壺に流れ落ちる水の向こうに平原が広がる風景は、他では見られない絶景です。滝の裏に回るには、かなり足場が悪い場所がありますし、水しぶきを浴びますのでそれなりの準備が必要です。
続いて、セリャランスフォス滝から車で10分ほどの場所にある、スコーガフォス滝です。
高さ60メートル、幅25メートルの大迫力の大瀑布です。常に水が流れ落ちる轟音があたりに鳴り響き、滝壺周辺は水しぶきに覆われています。
スコーガフォス滝の横には階段が設けられており、滝の上までのぼることができます。海岸が近く、海鳥たちが乱舞しています。あまり近くまでは寄れないものの、下をのぞきこむと足がすくみます。
なお、60メートルの高さを階段でのぼるには、かなりの体力が必要です。
スコーガフォス滝は、スコゥガルという小さな村の郊外にあります。この村に、スコゥガル民族博物館という、ヴァイキングの歴史にまつわる品々を展示する博物館があります。バイキングが実際に使っていた船が展示されています。その他、衣服、漁具、生活用品など、ヴァイキングの生活の様子をうかがえる多くの展示品があり、見応えがあります。
博物館の屋外には、当時のヴァイキングが生活した芝土の家が移築されています。寒さをしのぐために、屋根の上に芝生が植えられています。家の内部には、当時の生活の様子が再現されています。
スコゥガルからさらに南に10分ほど進んだところにある次なるスポットは、ソウルヘイマヨークトル氷河です。ミーダルスヨークトル氷河から尾根沿いに流れてきている氷河、いわゆる氷舌(ひょうぜつ)です。
表面が黒い部分がありますが、これは汚れているわけではなく氷に閉じ込められた火山灰が表面に出てきたものです。氷舌の先からは、氷河の下を流れる川が地表に流れ出しています。
氷河の上を歩くことも可能です。氷表面はざらざらしており、思ったほど滑りやすくはないのですが、トレッキングシューズなどしっかりとした靴を履いた方がいいでしょう。また、ところどころにクレバスもあり注意が必要です。
最後は、このアイスランド南部海岸の旅の最終地点ヴィークのすぐ手前にあるブラックサンドビーチです。砂は火山灰や溶岩を含んでおり、黒い砂のビーチが延々続いています。周辺には多くの奇岩が見られます。とても波が高いビーチで、ツアーに参加すると絶対に波打ち際に近づかないよう注意されます。
ビーチに向かって右奥の方を見ると、大きな穴が開いた岬とそれに連なる奇岩の列が見えます。このあたりにヴィークの街があります。この穴の開いた岬はディルホゥラウエイ(扉の穴)と呼ばれ、高さは120メートルあります。
ブラックサンドビーチ横にある崖には、溶岩が急速に冷やされたときにできる六角形の結晶「柱状節理」が見られます。ここまではっきりした結晶を間近で見られる場所は世界でもそう多くありませんので貴重です。
この崖の上には、海鳥たちの営巣地があります。春先には、オレンジのくちばしいがかわいい渡り鳥「パフィン」も見られます。
レイキャヴィークからアイスランド南部海岸へのツアーは、毎日催行されています(日本語ツアーはありません)。ツアーは、アイスランド本島最南端のヴィークのドライブインで休憩し折り返します。
前回ご紹介した、ゴールデンサークルとはまた違った雰囲気の地域です。こちらも首都レイキャヴィークから日帰りで行けますので、比較的手軽に訪れることができます。
阿部 吾郎
24年間旅行会社に勤務した後、2013年に独立し「トラベルガイド株式会社」を設立。「人がそこに行きたくなる写真」をテーマに国内外で写真撮影を行っている。同社が運営するマレーシアの旅行情報サイト、トラベルガイド・マレーシアにも自身で撮影した写真が多数使われている。その他、旅行写真素材の販売、旅行記事の執筆、旅行会社へのコンサルティングなどを手掛る。最近はマレーシアに年4~5回程度渡航。その他、旅行会社時代の経験も含め得意な方面は、台湾、香港、マカオ、シンガポール、アイスランドなど。