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エジプト最大のミステリー ピラミッドの建築方法

   
アハメッド・ムスタファ
アハメッド・ムスタファ
 

今回のエジプト紀行では、エジプトに来たならこれを見ずには帰れない、ギザのピラミッドへ皆さんをご案内します。

三大ピラミッドやスフィンクスが見られるのは、通称ピラミッドエリアと呼ばれるギザ台地の遺跡地区。オープン時間の午前8時きっかりにゲートが開き入場開始。まず目の前に堂々とその姿を現すのが、全長137m(創建時の高さ146m)、世界最大規模を誇るクフ王のピラミッド(別名大ピラミッド)です。使われた石材の数はおよそ230万個、ひとつの石の重さは平均2.5トン、大きな石だと7トンもあるそうです。

「では、ここで質問です。こんなに重い石を、約4500年前にどうやって積み上げたと思いますか?」

平坦な場所でさえ、建設機械の力を借りずに運ぶのは至難の技、それをどうやってあの高さまで。古代エジプト人の叡智に改めて驚嘆する他ありません。『あくまでも仮説ですが』という前置きで、ピラミッドの建築方法、中でも最大の謎である石の運搬と積み上げの鍵は、土で出来た傾斜路にあるのだそう。
「砂ではなく土で出来た傾斜路だという点に注目してください。砂だと巨石は沈んでしまいますからね。エジプトには沢山の謎がありますが、最大のミステリーと言われるのは、ピラミッドの建築方法とミイラの作り方です。これらの技術は、記録が一切残されていません。それは、神である偉大な王の来世に関わる情報、現代の国家機密より余程大事なものだったでしょう。ですから彼らは敢えて、それを書き残さなかったのではないでしょうか。」

ところでクフ王のピラミッドは、創建されてから13世紀に入るまでの約3800年間、世界一高い建造物であり続けたのをご存知でしょうか。世界記録を3800年ぶりに塗り替えたのはイギリスのリンカン大聖堂、高さ約160mでした。その後世界記録の更新は加速し、21世紀の今、世界一はドバイのブルジュ・ハリーファ、高さ約830m。人類の叡智は、かつてファラオが夢見たであろう天空へと近づきつつあるかのようです。

左上)船の右舷 右下)クフ王の船の全景

次にご案内するのは『太陽の船博物館』、クフ王ピラミッド南側の地下坑で発見された木造船を展示しています。発見されたのは今から60年前、600以上のパーツに分割されており、復元には14年の歳月を要したそうです。全長43mという巨大な木造船を一体何のために造り、どうして坑に埋めて永久に蓋をしてしまったのでしょうか。
「ファラオは死後、天空を太陽神ラーとともに船で渡る、と信じられていました。この船は、そのために建造されたという説が有力ですが、実際のところ確かな目的は明らかになっていません。これも古代エジプトのミステリーの一つ、ということです。」

60年前の発掘時 
太陽の船博物館内で公開されている石坑(実物)

それにしても、見ればみるほど古代のロマン漂う優雅なデザイン、そして立派な木材が使われているようです。
「エジプトでは、古代においても木材は大変貴重でした。わざわざレバノンから取り寄せた杉が使われている贅沢な船ですが、現代ではその価値が更に高まったでしょうね。何と言っても、世界で最も古い船ですから。この博物館もピラミッド見学の際には是非立ち寄って頂きたい。このデザイン、この技術、今から4500年前の傑作です。」

アハメッド・ムスタファ

アハメッド・ムスタファ
1976年生まれカイロ出身・カイロ大学文学部日本語文化学科卒。大学時代の論文テーマは『世界大戦が日本文学に与えた影響』主に安岡章太郎の著作を研究。1998年より日本語ガイドとして活躍中、1児の父。

    

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