オックスフォードは、世界で二番目に古い大学を中心に発展してきた街。正式な創立年がハッキリしないものの、1096年にはここで講義があった記録があるんだそうです。ちなみに世界最古の大学と云われているのは、1088年に創立したボローニャ大学。
そんな古い大学と共に発展してきた街に私たちが行ったのは、考古学関係の展示品で有名なオックスフォード大学付属アシュモリアン博物館が主目的でした。3時間ほど古代ギリシャを中心に見て歩いたところ、お腹もすいて来ました。
そこで博物館を出るときに、受付けにいた係員さん達に「近くにお勧めのパブありますか?」と尋ねたところ、この「ジ・イーグル&チャイルド」を教えてくれたのです。
現在のオーナーは、オックスフォード大学のセント・ジョンズ・カレッジ。同じ大学でも各カレッジは別経営で、副業にも意欲的。以前のオーナーは同大学のユニヴァーシティ・カレッジで、17世紀からここを所有していたそうです。
そしてここは、同大学出身で親友同士だったC.S.キャロルとJ.R.R.トールキンが足しげく通って、熱い文学論議をしていたパブなんですよ。
1650年に出来たパブは、中もさすがにクラシック。それ以後に増改築をした部屋も奥にありましたが、メインの部分は柱やドアが飴色に黒光りしています。
その日は日曜日だったので、パブ飯の定番サンデー・ローストを注文しました。チキンとナッツ・ローフ(菜食者用)とビーフの三択だったので、迷わずビーフです!
付け合せは左から・・・パースニップ、じゃが芋、人参、クレソン、ヨークシャープディング、ブロッコリー。ホースラディッシュも添えて、肉と野菜にはなみなみとグレーヴィー・ソースをかけた、王道スタイルです!
して、そのお味は?奇をてらわず飾らず・・・学究の徒に相応しい、質実剛健なお味と申しましょうか。すなわち、典型的なパブのサンデー・ローストでした。
今も昔も学生と教授たちに愛されているこのパブで、ルイスとトールキンがお酒を飲みながら、それぞれの文学について構想を語り合ったり、批評し合ったりしていた様子が目に浮かびます。
そしてルイスは「ナルニア国物語」を、トールキンは「指輪物語」を書き上げて、それぞれ英国を代表する作家になりました。
実は「不思議の国のアリス」で有名なルイス・キャロルも、この大学出身。でも彼はトールキン達より60歳ほど年上なので、彼らの文学談義にキャロルが同席する機会はなかったでしょう。
そんな事柄に思いを馳せて、ゆっくり食べたランチ。悠久の時間が流れているような、また行ってみたいと思えるパブでした。
ジ・イーグル&チャイルド(The Eagle & Child)
住所:49 St. Giles, Oxford, OX1 3LU
Tel:01865 302 925
URL:https://www.nicholsonspubs.co.uk/restaurants/southeast/theeagleandchildoxford
営業時間:週七日 12:00 - 23:00
小野 雅子
ロンドン西郊外に住む会社員、職場はヒースロー空港周辺です。在英20年以上の経験値を発揮して、初めてイギリスへいらっしゃる方にも興味深く分かりやすいロンドン観光&生活ガイドとしてお役に立てれば…と思います。個人ブログ「ロンパラ!」はこちら♪