ベルギーというと、ブリュッセルやブリュージュが、日本では観光地として有名です。
けれども、ベルギー人に人気の国内旅行先のうち、1,2を争うのは、アルデンヌ地方と呼ばれるベルギー南東部。アルデンヌ地方は、もともと、フランスからベルギー、オランダを経て北海に流れるムーズ川沿いの、緑濃い起伏に富んだ地域を指す名前で、フランスやルクセンブルグにも、ベルギーとの国境近くに「アルデンヌ地方」と呼ばれる地域が存在します。
アルデンヌの森については、紀元前に、あのカエサルも「ガリア地方で最も大きな森」と記述しているそうです。
実は、現代のベルギーでは、公的にはアルデンヌという名前は使われていないのですが、今でもベルギー人の多くは、この地方を「アルデンヌ」と呼びます。
この地方には、有名なナミュール(Namur)以外にも、多くの古城や、城壁に囲まれた小さな町が存在し、観光ポイントには事欠きません。
ブイヨン(Bouillon)もそのひとつ。ブイヨンは、フランス国境からわずか5キロメートル。ねじれたスモワ川に囲まれるように位置する町です。
町の一番の見所は、なんといってもそのお城。岩の上に、スモワ川を360度見下ろすように建てられています。古くは、今の城から少し離れた場所に、岩を直接彫って作った見張り台が置かれたのがブイヨンの始めだったようです。その後、ノルマン人の侵略から身を守るために砦が造られ、改築が重ねられ、今の場所に城ができました。11世紀には、ゴドフロワ・ド・ブイヨン公爵が、ここから第一回十字軍に駆けつけ、その武勇で名を上げたことでも知られています。
小さな門をくぐって入っていく城は、中も自然の岩を利用して作った部屋や塔が多いユニークな作り。複雑な構造の城を満遍なく見て回れるよう、順路もうまく考えられています。
自由に歩いて見て回る場合、入場料は大人7€。時間によってはガイドツアーもあります。
ぜひ見てもらいたいのが鷹匠のショー。3月1日から11月11日まで、毎日、城のテラスで披露されています。ショーは、11:00,14:00, 15:30の一日3回。フランス語とフラマン語の完全バイリンガルで、なかなかユーモアもあるショーでしたが、言葉が分からなくても充分楽しめる内容だと思います。
また、夏だけのお楽しみは夜のお城ツアー。7月と8月の水、金、土、日、夜22:00から催しています。こちらはガイド付きで、大人ひとり10€。懐中電灯持参をお薦めします。有料(2.5€)で借りることもできます。
いずれもガイド料はチップで払うのがマナーです。
ブイヨン城砦
住所:Esplanade Godefroy 1- B-6830 Bouillon
電話番号 :+32(0)61 46 42 02
URL:http://www.bouillon-tourisme.be/fr/accueil
開館時間:7〜8月10 :00〜19 :00、
9月週日10 :00〜18 :00、週末10 :00〜18 :30。
10月週日10 :00〜17 :00、週末10 :00〜18 :00。
11月毎日10 :00〜17 :00。
12月週末とクリスマス休暇中10 :00〜17 :00、それ以外は13 :00〜17 :00。
休館日:1月週日、12/25
入場料:文中参考
ブイヨンへの行き方
・ブリュッセルから、ルクセンブルグ(Luxembourg)行きに乗り、リブラモン(Libramont)下車。約2時間半。
・ルクセンブルグから、ブリュッセル行きに乗ると、約1時間弱。
・リブラモンから8番バスに乗り、ブイヨンまで約40分。
(2015/07/01)
冠 ゆき
山田流箏曲名取。1994年より渡仏。大学院での研究の傍ら、大学や専門学校で日本語日本文化講師を勤める。2000年より、ポーランド、イタリア、中国の生活を経た後、2013年フランスに戻る。旅好きでもあり、今までに訪れた国は約40カ国。六ヶ国語を解する能力と多様な文化に身をおいてきた経験を活かし、柔軟かつ相対的視点から、フランスと世界のあれこれを切り取り、webマガジンCafeglobe、とっておきのフランスInfoなどで日本に紹介中。