擔仔麺は、台南発祥の麺料理です。その起源は1895年に遡り、台南の漁師である洪さんが、海が荒れ漁の閑散期となる4月~10月(小月)の間に一家を養うために考案し、擔仔と呼ばれる天秤棒で担いで売り歩いたところ、その独特な風味で人気を博し度小月擔仔麺と呼ばれるようになりました。
今では、擔仔麺を売るお店はたくさんありますが、「度小月」が擔仔麺の元祖です。
今回は永康街にある「度小月」に行ってきました。永康街は、入口のところにあっていつも店の前に人があふれかえっている小龍包の名店「鼎泰豊」をはじめ、多くの飲食店があつまる注目のグルメスポットです。
度小月は、もともと台南のお店で、台北では忠孝店がオープンして人気が出ました。永康店は2007年にオープンし、忠孝店より小さいのですが、ガイドブックには忠孝店が載っているせいかこちらはいつも混んでいるのですが、永康店は比較的すいておりお勧めです。永康街の入口から、小龍包→擔仔麺→マンゴーかき氷と20mぐらいの間でハシゴすることも可能です。
お店に入ると、入口のすぐ横で擔仔麺を作っています。肉そぼろの鍋にできた土手に驚かせれます。ずっと、継ぎ足し継ぎ足しなんでしょうね。
ご飯のお椀ぐらいの小さな器に、麺を入れエビのだしが効いたスープ、肉そぼろ、そしてにんにく、酢、パクチーが加わり独特パンチが効いた味が完成します。お好みで味玉をトッピングします。にんにく、酢、パクチーは、注文時に入れてもいいかどうか聞いてくれるので、苦手な人は外すこともできます。麺は、定番のたまご麺と米粉麺のいずれかを選ぶことができます。
擔仔麺の他にもたくさんメニューがあります。注文は、伝票の食べたい料理の横に個数を書き込んで店員さんに渡します。写真付きのメニューがありますので、それを見ながら料理を選んで記入します。
ここからは、度小月のおすすめ料理をご紹介します。
まずは、お店の看板メニュー擔仔麺(50元)です。味玉(15元)もトッピングしましょう。エビのだしがよく効いたスープに、肉そぼろ、にんにく、酢、パクチーが加わることにより、かなりパンチの効いた独特の味になります。一口目は、ちょっときついようにも感じられるのですが、食べ進めるうちになじんできて、食べ終わったころにはもう一杯いきたくなる味です。
こちらも度小月に行ったら、必ず食べたい一品です。「烤紹興香腸」(120元)という台湾風ソーセージです。甘辛い味がついており、日本で食べるソーセージにはない、独特の味です。スライスした生のにんにくを一枚ずつ乗せて食べると、絶妙な味になります。一見ただのソーセージですので見過ごしてしまいそうですが、是非食べてみてください。
個人的にとても気に入った料理で、「芙蓉蛋豆腐」(160元)といいます。卵豆腐の揚げ出しです。味は、日本で食べる揚げ出し豆腐の中身が卵豆腐になったものを想像していただければ正解です。あの柔らかい卵豆腐をよく揚げたなと思うですが、衣はカリッとしておりしっかりしています。味そのものは、台湾料理というより和食に近いです。
擔仔麺にかける肉そぼろをご飯にかけた「肉燥飯(小)」(小35元/大55元)です。台湾の定番グルメ魯肉飯(ルーローハン)とほぼ同じです。甘辛い肉そぼろとご飯という単純な組み合わせですが、それだけに毎日食べても飽きが来ない鉄壁なうまさです。炭水化物同士の組み合わせですが、擔仔麺+肉燥飯の組み合わせは最高です。
阿部 吾郎
24年間旅行会社に勤務した後、2013年に独立し「トラベルガイド株式会社」を設立。「人がそこに行きたくなる写真」をテーマに国内外で写真撮影を行っている。同社が運営するマレーシアの旅行情報サイト、トラベルガイド・マレーシアにも自身で撮影した写真が多数使われている。その他、旅行写真素材の販売、旅行記事の執筆、旅行会社へのコンサルティングなどを手掛る。最近はマレーシアに年4~5回程度渡航。その他、旅行会社時代の経験も含め得意な方面は、台湾、香港、マカオ、シンガポール、アイスランドなど。