パリから、列車で北東へ向かい、1時間半の町ラン(Laon)は、フランス文化・通信省により「芸術と歴史の町」に指定されています。
町は、小高い丘の上と、そのふもとに広がりますが、見るべきものはほとんど丘の上にあります。古い城壁に囲まれた丘の上の旧市街は、狭い路地が、大聖堂、聖マルタン教会、城塞、僧院跡、元施療院を縫うように結びます。
ランのノートルダム大聖堂は、パリのノートルダム寺院より古く、1155年の着工。初期ゴシック建築の傑作のひとつに数えられます。
パリのノートルダム寺院同様、ガルグイユの彫刻は見ものですが、その中でも、目に付くのが牛の彫刻。これは、その昔、ランの急な坂道をどうしても登れない荷台を、突如として現れた牛が助け、消えていったという伝説を元にしています。
歴史的建造物の指定を受けた建物が、70も数えられるランですが、なぜか、観光地としての知名度はあまり高くありません。フランスでも、美術史に詳しい人くらいにしか知られておらず静かな町です。古い町の雰囲気をのんびり味わいながら観光したい人にはぴったりな行き先でしょう。
夏の間は、ツーリストインフォメーション前から出ているミニトレインで、旧市街を回ることもできます。
旧市街には、考古学博物館もあれば、その中庭には、十字軍によるチャペルも建っており、見学も可能です。
また、この夏見逃せないのが、ノートルダム大聖堂をスクリーンにして上映される3Dのプロジェクションマッピング「夏の色(Couleurs d'été, les arts en lumières)」。
テーマは、大聖堂のバラ窓にもなっている、リベラルアート(文法、修辞学、弁証法、算術、幾何、天文学、医学、音楽)。
夏の夜に高く映える光のショーは、ラン観光の締め括りにぴったりです。
ラン観光局URL:https://www.tourisme-paysdelaon.com/
ラン・ノートルダム大聖堂
開館時間:9 :00〜18 :30
料金:無料
ミニトレイン
出発点:ツーリストインフォメーション(大聖堂横)
Place du Parvis Gautier de Mortagne 02000 LAON
営業日:火曜〜日曜(4月1日〜9月30日)
出発時間:14 :00(7〜8月は11:00も)
所要時間:45分
料金:6€
十字軍チャペル(Chapelle des Templiers)
住所:32 rue Georges Ermant, 02000 - LAON
開館時間:14 :00-18 :00
定休日:月曜日
入場料:無料
ラン考古学博物館
住所:32 rue Georges Ermant, 02000 - LAON
開館時間:10 :00-17 :00
定休日:月曜日
入場料:4€(日曜は無料)
「夏の色」
場所:ラン・ノートルダム大聖堂
住所:Place du parvis Gautier de Mortagne, 02000 LAON
日時:2015年8月7日、14日、15日、21日、22日、23日の夜22 :30と23 :30
上映時間:18分
料金:無料
(2015年6月24日)
冠 ゆき
山田流箏曲名取。1994年より渡仏。大学院での研究の傍ら、大学や専門学校で日本語日本文化講師を勤める。2000年より、ポーランド、イタリア、中国の生活を経た後、2013年フランスに戻る。旅好きでもあり、今までに訪れた国は約40カ国。六ヶ国語を解する能力と多様な文化に身をおいてきた経験を活かし、柔軟かつ相対的視点から、フランスと世界のあれこれを切り取り、webマガジンCafeglobe、とっておきのフランスInfoなどで日本に紹介中。